マメッド・ハリドヴがメインでTKO勝ち!KSW 83: Colosseum 2

(C)KSW/Polsat

 6月3日(現地時間)にポーランド共和国ワルシャワで『KSW 83: Colosseum 2』が開催された。
 KSW(Konfrontacja Sztuk Walki=コンフロンタチャ・シュトゥク・ヴァルキ)は、ポーランドの総合格闘技団体。団体名はポーランド語で「総合格闘技が激突する」という意味。2009年に地上波Polsatで生中継されたKSW 12は、視聴者数650万人を記録しサッカー EURO 2012に抜かれるまではポーランドのスポーツ中継で史上2位の記録だったほど欧州最大のMMA団体となっている。2017年には本拠地ポーランドで6万人を集めた大会を成功させ、欧州最大のMMA団体として存在感を示している。
 今大会は2017年以来のワルシャワ国立競技場で行われ前売り券で4万5千枚が売り切れ、最終的には5万人を集めたKSWのビッグマッチ。二階級の王座戦が組まれているが、もちろん、王座戦よりも目玉となったのは、マメッド・ハリドヴ、マリウス・プッツナウスキーのKSW二大スターの試合だ。メインでは、KSWが人気だけではなく実力面も世界のMMAで上位であると認めさせた立役者であるエース、マメッド・ハリドヴがスコット・アスカムと三度目の決着戦を行った。アスカムは元UFC戦士としてKSWに乗り込み、白星を重ね、ハリドヴにも一度目では判定勝ちをするも、二度目の対戦でハリドヴが飛び蹴りを決めて衝撃のKO勝利となっており、今回は決着戦となっている。試合は、ハリドヴがグランドで上になって攻めるがアスカムが下から足関節狙いという展開が続いた。そして3R、アスカムの蹴りがハリドヴの急所に直撃し、試合が一時ストップ。再開後、今度はハリドヴがアスカムの腹部に蹴りを入れてから、飛び蹴りでダウンを奪う。そして追撃のパウンドでアスカムの意識が飛んでいて慌ててレフェリーがストップ。ハリドヴが完勝TKO勝ちで決着戦を制した。
 KSWを世界有数の巨大MMA団体にした最大の功労者でありワールド・ストロンゲストマン・コンテスト5回優勝、ポーランドの国民的英雄であるマリウス・プッツナウスキーは、プロボクサーでデオンテイ・ワイルダーのWBCヘビー級王座への挑戦した実績があるアルツール・スピルカと激突。怪力世界一対プロボクシング世界王座ランカーという夢の異種格闘技戦が行われた。試合は、世界ランカーのプロボクサーを相手に殴り合いを避けたいプッツナウスキーがすくさまテイクダウンし、グランドでマウントポジションを奪って攻め続けた。しかし、2R、今度はテイクダウン狙いを読んでいたスピルカがタックルを切ってスタンド勝負に持ち込むと、ボクシング勝負ではスピルカに分があり、ワンツーがプッツナウスキーの顎に命中しダウン。スピルカ追撃のパウンドをレフェリーがストップし、スピルカが逆転のTKO勝ちとなった。
 オープニングでは、あのバダ・ハリとの因縁で試合中に暴動が起きて大会中止事件まで起こしたキックボクサーのアーカディウス・ウルソーセックが、ルーマニアの重量級キックボクシングの第一人者、スーパーコンバット、ダイナマイト・ファイト・ショーのエース格だったボクダン・ストイカとMMAマッチで対戦。ウルソーセックはすでにMMAも2戦2勝の実績があるが、ストイカはMMAデビュー戦。試合は、その経験の差を見せつけてウルソーセックがパンチラッシュ後、すぐにテイクダウン。グランド初体験のストイカはウルソーセックに翻弄され、最後はサイドポジションから、チョークで抑えつけ、ひじ打ちをするウルソーセックに対し、ストイカはタップ。ウルソーセックがフォーアームチョークで一本勝ちした。
 二階級の王座戦は、ライト級王座統一戦、正王者マリアン・と暫定王者サラディン・パルナスで争われる予定だった。下馬評はアフリカ系フランス移民でフランスの100% Fight王者として乗り込んできてKSWで連勝を重ねているフェザー級王座、暫定ライト級王座を奪ったパルナスが有利だったが、なんと試合直前にジョルコフスキーが膝を痛めて試合が出来ず、試合は不成立。ジョルコフスキーはベルトを置いて返上することになった。
 前王者ロベルト・ソルディッチがONEへ移籍に伴い返上されたミドル級王座決定戦はパヴェウ・パウラク対トマシュ・ロマノフスキのポーランド勢同士で争われた。試合は前半こそ打撃でロマノフスキが押す場面も見られたが、ラウンドが進むと元UFCの実績があるパウラクがテイクダウンしグランドで上を奪って攻めて有利に試合を進め、最後はグランドでのパウンド、肘打ちをレフェリーがストップし、パウラクがTKO勝利で新王者に輝いた。

■ KSW 83: Colosseum 2
日時:2023年6月3日(現地時間)
会場:ポーランド共和国ワルシャワ

<ミドル級>
○マメッド・ハリドヴ(ポーランド)
 3R 1分03秒 TKO
●スコット・アスカム(英国)

<ヘビー級>
○アルツール・スピルカ(ポーランド)
 2R 0分31秒 TKO
●マリウス・プッツナウスキー(ポーランド)

<ミドル級王座王座決定戦>
○パヴェウ・パウラク(ポーランド)
 5R 3分25秒 TKO
●トマシュ・ロマノフスキ(ポーランド)

<ヘビー級>
○アーカディウス・ウルソーセック(ポーランド)
 1R 2分09秒 フォーアームチョーク
●ボクダン・ストイカ(ルーマニア)

試合不成立
<ライト級王座統一戦>
マリアン・ジョルコフスキー(ポーランド/王者)
サラディン・パルナス(フランス/暫定王者)