[ファイトクラブ]潮崎豪&中嶋勝彦AXIZ再結成と名古屋GHCに見るノア種蒔き/収穫

 大興行戦争で約2,700人を動員したプロレスリング・ノア5・4両国国技館大会から約10日。
 サイバーエージェント傘下になった2020年以降初となる6月のノア単独ビッグマッチに向けて、要となるカードが5・14後楽園ホール大会で一気に動き始めた。そんな中、この日のメインでは話題と注目を集めた潮崎豪と中嶋勝彦の『AXIZ』再結成が組まれたのだが・・・。


[週刊ファイト5月25日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼潮崎豪&中嶋勝彦AXIZ再結成と名古屋GHCに見るノア種蒔き/収穫
 photo & text by 鈴木太郎
・『AXIZ』再結成がフォーカスされたアフター両国
・解散当日のコスチュームも、突きつけられた厳しい現実
・2020年以降”種蒔き”と”事件性”に富んでいた方舟マットの6月
・大会場でノア単独のビッグマッチがある2023年6月
・今大会で形成された2023年下半期の方舟を占う空気感
・”種蒔き”ではなく、”収穫”を目指す攻めの1ヶ月
・タッグ王者サクソン・ハックスリー撃破!
・稲村愛輝&マサ北宮 文句無し”割り込み”挑戦
・売れっ子ホステスではない 謙遜ジェイク・リー振り向かす猛攻・杉浦貴
・NOAH Jr本隊が反撃の狼煙上げる5・31新宿FACE大会
・事実上の挑戦者決定マッチの空気破壊した清宮と杉浦
・容赦なくジェイクに牙を剥いた杉浦の強いエルボー
・潮崎豪&中嶋勝彦『AXIZ』再結成も実力見せつけた拳王&征矢学
・『AXIZ』勝利のイメージ掴めぬ金剛完勝
・潮崎の状態上がるかが問われる今後
・今の『AXIZ』に関しては”種蒔き”でも良い


■プロレスリング・ノア 『STAR NAVIGATION 2023』
■日時:2023年5月14日(日) 18:30開始
■会場:東京・後楽園ホール
■観衆:935人

 関東圏で大興行戦争の中2,721人を動員した、5・4プロレスリング・ノア両国国技館ビッグマッチから10日。

[ファイトクラブ]GW裏興行犇めく中でも盛り上がり絶えぬNOAH両国国技館の肝は・・・

 5・14プロレスリング・ノア後楽園ホール大会は、6・17名古屋国際会議場ビッグマッチに向けた陣容が決定し始める大会となったが、戦前より注目を集めていたのが、潮崎豪と中嶋勝彦のタッグチーム・『AXIZ』の再結成だった。

 過去に3度のGHCタッグ王座戴冠を果たした名タッグチームの、約2年8ヶ月振りとなる復活試合は、今大会のメインイベントで組まれた。しかも、現世界タッグ王者チームの拳王&征矢学にノンタイトルマッチで挑む絶好のシチュエーションである。
 この日、潮崎と中嶋が着用したリングコスチュームは、『AXIZ』を象徴する黒基調のショートパンツでも、この試合の為に新調したコスチュームでもない。
 金色の線が無数に交錯するパンツデザインを見て、2020・8・30カルッツかわさき大会で披露するも、当日に年6月の『AXIZ』が解散した当時のコスチュームだと分かった。僅か1試合でお蔵入りとなってしまった曰くつきのコスチュームが、こうしてまた日の目を見る事になるとは感慨深いものがある。

 しかし、思い出と期待で充満したメインの雰囲気は、再結成初戦を勝利で飾ることは出来なかった。

 メインで勝利した拳王は、試合後のマイクで6・9に開催される合同興行『ALL TOGETHER AGAIN』について言及。「めちゃめちゃ言いたいことがある」としつつ明言は避けたものの、新日本プロレスや全日本プロレスの面々に向けた拳王の宣戦布告は、6月以降の方舟を楽しませる気概に満ち溢れていた。

 そんな6月のノアは、ここ数年見られなかった、とある違いが仕掛けられている。

”如何に現実で風を起こせるか”問われる2023年6月の方舟

 サイバー・エージェント傘下となった2020年春以降、方舟マットにおける6月という季節は、”種蒔き”と”事件性”に富んでいたように筆者は感じる。

 6月は創始者・三沢光晴の命日も控える、ノアファンにとっては忘れ得ぬ月であるが、コロナ禍とほぼ同時期に親会社が変わったノアにとっては、下半期に向けた雌伏の1ヶ月という印象が強い。
 緊急事態宣言下で興行が打てない状況でも定期的にTVマッチを配信・中継し続けて、翌7月の有観客興行再開に勢いと熱量を繋げた2020年。
 ノア単独の有観客興行は僅か1大会ながら、『拳王vs.グレート・ムタ』の刺激的遭遇に『中嶋勝彦vs.マサ北宮』のケージマッチと無観客マッチに注力した2021年。
 『サイバーファイトフェスティバル』における中嶋の遠藤哲哉KO劇と、Jrヘビー級ブランド・『N-Innovation』新宿大会の前売り完売が記憶に新しい2022年。

 しかし、2023年6月のノアは、直近3年とは色合いが若干異なる。
 2021年から2年連続で開催された『サイバーファイトフェスティバル』と入れ替わるようにして、約11年振りに新日本プロレス、全日本プロレスとの合同興行『ALL TOGETHER』が6・9に開催されるなど、話題性のある月に変わりはないように見える。
 ただ、大きく異なるのは、”大会場でノア単独開催のビッグマッチがある”という点だ。

 6・17名古屋国際会議場大会は、翌18日に大阪大会も行われることでビッグマッチ特有の雰囲気が希薄に感じられたりしたのだが、この日の後楽園ホール大会で一気に状況が動いた。
 既に名古屋大会で決定していたGHC Jrヘビー級王座戦『HAYATA vs.ダンテ・レオン』に加え、GHCタッグ王座戦『サクソン・ハックスリー&ティモシー・サッチャーvs.マサ北宮&稲村愛輝』、GHCヘビー級王座戦『ジェイク・リーvs.杉浦貴』が追加決定。一気にビッグマッチ感と2023年下半期の方舟を占う空気が形成されたのである。

 Jrヘビー級戦線でも、小峠篤司と吉岡世起のJrタッグ王座挑戦が決まったり、小川良成に手酷く裏切られたEitaとHAYATAが共闘したり、イマイチ固まり切らなかった最近のJr勢力図に一石を投じる動きも見られた。
 5月シリーズは未だ半分残っているものの、6月に向けた布石が着々と打たれている。

 現時点で、2023年7月はビッグマッチと言える会場での開催が無い上、8月にはシングルリーグ『N-1 VICTORY』開幕も控えている。その為ノアにとっての2023年6月は、近年の同時期に見られた実験性に代表される”種蒔き”ではなく、”収穫”を目指す攻めの1ヶ月になるのかもしれない。

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