[ファイトクラブ]New Bloodメイン格上げ中野たむ対決 ちゃんよたタッグ戦ベストマッチ

 スターダムの別ブランドであるNew Bloodの品川インターシティホール大会を、タブーに踏み込んで甘井公平が紐解いていく。ルチャxKARATEの姉妹タッグ対決、桜井まい貴婦人のマイク再現とちゃんよた人気の現場描写、渡辺桃の本音と天咲光由のふがいなさに斬り込み、「中野たむ対決」メイン昇格に象徴されるブランドカラーの瓦解を指摘。特に女子プロに興味がなかった方にも、本稿は極めて貴重な情報と示唆に溢れている。


[週刊ファイト5月25日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼New Bloodメイン格上げ中野たむ対決 ちゃんよたタッグ戦ベストマッチ
 photo & text by 甘井公平 w/編集部編
・SHOW-CASEなど過度期に差しかかったスターダムの別ブランド興行たち
・NewBloodはどこから間違えたのか?”期待の超新星”天咲光由が輝かず
・ブシロードファイトの次の一手は?逸脱を始めたNew Blood8回目の瓦解
・本家・突然の大仁田モード「オイ!x3 次は“中野たむ姉妹”でどうだ?」
・吏南、木村花のハイドレンジア炸裂シングル初戴冠!防衛戦はレディC
・メイン予定タッグSLK&KARMA防衛V1 次期挑戦者J.T.Oの稲葉姉妹
・New Bloodでやる意味あるの? おばさん高橋奈七永ラリアット琉悪夏
・ブラック・ピーチ制裁マッチ!“ふわちゃんより弱い”ふがいない天咲光由
・負けて尚強し貴婦人桜井まい& AV女優ちゃんよたタッグ品川の夜咆哮
・妃南ギャル変お披露目とJ.T.O刺客KARATE稲葉姉妹NB次期挑戦者
・変わり行くブランドカラー5分Blow Up月山和香さくらあやに押され気味


 スターダムの別ブランド興行であるNew Bloodは、他のプロレス団体には絶対に貸出さない「新宿住友ビル」やら、この品川もそうだが「地下の大きな貸会議室」を使用。
 新宿住友ビルは株主総会で有名だが、こちら品川インターシティは企業のちょっとした展示会や講演会場として有名だ。きれいに再開発された品川駅港南口から、近代的なオフィスビル群を右手に横切る「スカイウェイ」を5分ほど歩き現地に到着した。

 「所属団体にこだわらず、小会場でNew Blood(しがらみのない新人)が交流しあい、そこから新しい何かが生まれる」というコンセプトは完全に瓦解しており、今回の大会でいえばスターダム以外の選手は横浜アリーナ大会でおなじみになった、現役の人気AV女優「ちゃんよた」と、TAKAみちのく率いる「JustTapOut」女子部の「稲葉ともか・あずさのKARATEシスターズ」。そして「KARMA」の4選手のみ。
 「ちゃんよた」はプロレスラーとしては実質フリーといえど、もはやスターダム所属のようなものだし、稲葉姉妹はJ.T.O最大スポンサーである某社長のご令嬢で毎回のゴリ押し推薦。注目の若手実力者「鈴季すず」は横浜アリーナ大会をもってアイスリボン残党軍団である「プロミネンス」を離脱し、事実上スターダム所属。元マーべラスの星来芽依はスターダムで復帰した。要するに文字通り実力ある他団体若手選手は、全8試合22選手中「KARMA(正体はディアナの梅咲遥)」ただ1人であり、スターダム本線との色分けは全くできていない。

 ちなみにスターダム、もう一つの別ブランドである「SHOW-CASE」に至っては、ロッシー小川がテレビ朝日に「取材に来なくていいよ」と言ったほどのお笑いドタバタ興行であり、事実上は3月以降行われておらず今のところ予定もない。

 さて8回目を迎えたNew Blood、最も話題になったのは、当初は第1試合で発表されていながら当日「メイン」に大格上げされた第8試合「中野たむ対決」である。いわば「ニセ中野たむ」の正体は元アイスリボンの石川奈青だ。先月の横浜アリーナ興行のメインでジュリアから団体の最高峰・赤いベルトを巻いたチャンピオンにこんな小芝居をさせねばならぬほど、「New Blood」はマンネリ化・陳腐化している。

 「NewBlood」ブランドがこうなってしまったのは、ひとえに「期待の超新星」天咲光由がまったく輝かないからだ。本来このシリーズは彼女を売り出すための物であった。ところが天咲は輝くどころか、寮生活での素行の悪さからNew Bloodを3回欠場(すべて前日発表)。表向きは体調不良だが、デビューを前に退団したスターダム寮生などからの評判はすこぶる悪い。
 この天咲、4月23日の横浜アリーナ大会では林下詩美と組み、ふわちゃんのデビュー2戦目の相手(ふわちゃんのパートナーは、トレーナーである葉月)を務め、当夜の「行列のできる相談所」で放映。全国放送の中、解説のくりぃーむしちゅー有田から「本気で勝ちたいなら新人の天咲を狙え!」とのアドバイスに対し、試合ではあえて格上のベテラン林下に向かい、林下ばかりが戦う展開に。
 天咲唯一の見せ場であった、武藤ばりの「対角線を利用したスペースローリング・エルボー」は側転距離の目測を誤って大失敗。テレビ画面前の一般客には「(ブレーンバスターやコーナーからのフライングボディプレス、ジャーマンスープレックスまできれいに決めた)ふわちゃんの方が、よほど強いんじゃないか?」との失笑が漏れた。

 そもそも本日争っている《王者》スターライト・キッド&KARMA vs.《挑戦者》レディ・C&HANAKOのベルト「New Bloodタッグ選手権」も、「天咲+別団体新人枠」のために作ったベルトなのだが、決定トーナメントすら天咲は「必ず私が奪る!」と宣言しておいて、とある事情でバックレ(前日ドタキャン)している。

■ FIBREPLEX presents NEW BLOOD 8
日時:5月12日
会場:東京・品川インターシティホール 観衆407人(満員=主催者発表)

本家・突然の大仁田モード「オイ!x3 次は“中野たむ姉妹”でどうだ?」
<第8試合 15分1本勝負>
○中野たむ
 14分32秒 タイガー・スープレックス・ホールド
●中野たむ


 同じコスチュームに同じ入場曲と、演出で交互に入場する。腰のフリルにピンクが入ったほうが本物、リアル中野たむ。ニセモノは横浜アリーナで着用した紫コスチュームを拝借したようだ。正体は冒頭で述べた「元アイスリボンの石川奈青」だが、セコンドには金髪ショートボブの「ニセ・なつぽい」(正体は3月のTRIANGLE-DERBY‐Ⅰで”7Upp”に加わった、我闘雲舞出身でフリーの水森由菜。金髪ショートボブで登場)まで準備する念の入れよう。旧姓・広田さくらばりのお笑いマッチの様相を呈したが、場外でニセモノたむが紙で作った赤いベルトを破り捨てると、リアルたむの怒りに火がつきプランチャ。リングに戻してハイキック連打から、バイオレットシューティング(ランニング・ニー)、そしてタイガープレックス・ホールドでたたみかけ3カウントを奪った。


 試合終了後のリアル中野たむは、なんと突然の大仁田モード。「オイ! オイ! オイ! 私が本物の中野たむだぁ! オイ! ニセモノたむさんよぉ? そんなに中野たむのことが好きかぁ! 好きなら、中野たむの痛みがわかったかぁ! もっと強くなれ!」。「ニセモノはイカン。イカンよ。しかし、そんなに私のことが好きなら、次は“中野たむ姉妹”でどうだ?」、「いやもう、たむとなつぽい、4人姉妹でどうだぁっ?」とニセなつぽいもリングに呼び込み、まさかの次回タッグ結成を逆提案。
 次回大会(6・2、同じく品川インターシティホール)へ流れをつないだが、何度でも繰り返す。これはもうNew Bloodでもなんでもない。

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