[ファイトクラブ]大谷晋二郎・魂宿った押忍PREMIUM高田馬場391日振りプロレス会場

[週刊ファイト5月18日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

 2022・5・6、大谷晋二郎が391日振りにプロレス会場への来場を果たした。久々の公の場でも、変わらぬプロレスへの熱い思いは大谷晋二郎そのものだった。大谷の来場に応えるかのように、今大会は全試合が熱気と活気に包まれていた。熱闘が展開された押忍PREMIUMベルサール高田馬場大会を振り返る。


▼大谷晋二郎・魂宿った押忍PREMIUM高田馬場391日振りプロレス会場
 photo & text by 鈴木太郎
・朝9時頃から長蛇の列!無料イベントで1,436人来場
・有料興行⇒無料イベントの異例対応は大谷復活への粋な計らい
・欠場後も変わらぬ大谷晋二郎の姿
・井坂レオ技ありフランケンシュタイナー高岩竜一撃破!Jr.二冠王座V3
・高岩コールを上回る勢いのレオコール
・男性、女性、子供、世代・性別を超えた井坂への幅広い支持
・ウナギ・サヤカ『火祭り』内定も”人間国宝”高橋奈七永・試合内容全否定
・火祭り男が直々推薦の破格待遇!
・筆者が生で見たウナギのベストバウトも・・・
・動員と発信には貢献予感も伴わぬ実力
・”口だけねーちゃん”で終わるかどうかは今後次第
・弾丸組・田中将斗&杉浦貴-小島聡&関本大介激闘ドローで会場大爆発
・目覚ましい関本大介の活躍
・試合後のファンサービスに感じた、レスラーの凄さと強さ


■プロレスリングZERO1 『押忍PREMIUM PRO-WRESTLING SHOW~子供たちに夢を!希望を!~大谷晋二郎応援大会』
■日時:2023年5月6日(土) 13:00開始
■会場:東京・ベルサール高田馬場
■観衆:1,436人(超満員)

 大谷晋二郎が、391日振りに公の場に姿を現した。
 ベルサール高田馬場で行われた、押忍PREMIUMの大会。当初は有料興行で開催される予定だったものの、現在長期欠場の中大谷晋二郎来場が予定されていた3・26靖国神社大会が雨天により延期。
 4月に入ってから、急遽今大会の無料イベントへの変更と大谷の来場が発表されると、その期待と意気に応えるかのように、当日は11:30会場にもかかわらず朝9時ごろから入場列が出来るなど、結果的に約1,500人の来場者をマークする大盛況となった。

 当初は有料興行で予定されていたものの、開催まで残り2週間を切ったタイミングで、無料イベント(※)への切り替えと、販売済チケットの払い戻しがアナウンスされた。
(※『子育て支援&大谷晋二郎応援チャリティイベント』の為、来場者1人あたり500円以上の寄付金を呼び掛けた)

 過去に、大会中止や延期の場合に払い戻しが行われる事例は見たことがあるものの、既に販売済の開催予定イベントを無料に切り替えたのは異例中の異例だ。
 払い戻しによって、多少なりとも団体側にとって不利益が起こる事案だろうが、それを承知でイベント開催に変更したのは、大谷が”復帰”する姿を一人でも多くの人達に見て貰いたかったからではないだろうか? そうでなければ、この決断には踏み切れない気がするから。

 大会当日、自身が負傷した2022・4・10両国国技館大会以来となる公の場に大谷が姿を現すと、会場からは割れんばかりのオオタニコールがこだまする。

「ありがとうございます。ああ、プロレスの匂いがする。プロレスの声が聞こえる。プロレスの空気を感じる。帰ってきた…。」

 約1年1ヶ月振りの公の場での肉声は、変わらない大谷節が感じられた。

 大谷による挨拶が終了すると、花束贈呈として、両国大会で対角線に立っていた杉浦貴が登場。
 「僕も負けないくらい、大谷さんをリングで待っています」という杉浦の挨拶に対して感謝を述べた大谷であったが、「ただ、次闘う時は、絶対に負けないからな」と復帰への意欲を口にしたのであった。

 当日、大谷の挨拶やメインイベント後に行われた記念撮影タイムでは、座席にかかわらず多くの観客が各方角から一箇所に押し寄せた事で、オッキー沖田リングアナ周囲に配慮するよう呼び掛ける異例の事態となった。
 このような光景には、通常興行はおろか、商店街などの無料イベントプロレスでも見かけた記憶が筆者にはない。
 決して肯定はできないが、逆に言えば、この日は普段のプロレス会場には来ないような観客が多く訪れていたことの証左だったのかもしれない。

 その後行われた全8試合も、有料興行でもおかしくない満足度の高さを見せていた。大谷が常々述べていた「心の底からプロレスを楽しんでいただく」姿勢を、参戦選手達が見事に体現していたのである。
 不謹慎な言い方になってしまうが、冒頭の大谷来場が大会のピークにはならなかったし、寧ろ、最後まで声援と拍手が飛び交う良い雰囲気の中で大会は終了したからだ。大谷が会場にいられる時間も考慮して、この日は全8試合が20分1本勝負で行われたが、結果として、興行そのもののテンポの良さに繋がっていた気がする。

 その火付け役になったのは、ZERO1所属の若手によるオープニングタッグマッチだろう。
 大谷の挨拶から熱い空気が充満した会場を、より熱くする試合。しかも、20代の所属選手だけで熱空間を生み出した事で、後続のカードに熱を橋渡しする役割を十分に全うしていた。

 「頑張れ!頑張ろう!頑張るんだ!負けてたまるか! そして、一生懸命頑張ったやつが報われなきゃ嘘だ。僕が言い続けてきた言葉を、僕が身体で証明していきたいと思います。」

 久々に見た大谷晋二郎の姿には悲壮感が無かった。あるのは、以前と変わらぬ大谷晋二郎の姿だけ。あの日両国にいた1人として、今回の高田馬場大会の感動を決して忘れることが出来ない。

井坂レオ技ありフランケンシュタイナー高岩竜一撃破!Jr.二冠王座V3

 第6試合では、インターナショナル&世界ジュニア2冠選手権試合・『井坂レオvs.高岩竜一』が実現。
 今大会唯一のタイトルマッチは、ZERO1のJrヘビー戦線を担うMarvelousの若き雄・井坂が、ZERO1 Jrを知る高岩の挑戦を受ける格好となった。

 今大会の客層を見る限り、大谷と共にJr戦線を牽引し、実績もある高岩への声援が大きくなるだろうと筆者は予想していた。しかし、試合が始まると、大きな高岩コールを上回るレオコールが自然発生していたのである。それも、男性、女性、子供と世代や性別を超えて幅広い支持を感じることが出来た。

 高岩の猛攻に苦戦を強いられた若き王者に注がれる声援は、次第に力強さを増していった。終盤、高岩が怒涛の猛攻で井坂を追い詰めるも、カウント3は許さず。最後は井坂が技ありのフランケンシュタイナーで勝利し、Jr二冠王座V3を達成した。
 試合後、オープニングマッチで勝利した北村彰基がリングに上がると、井坂の持つJr二冠王座への挑戦を表明。井坂もこれを受諾し、次回防衛戦は天下一Jr 2022覇者vs Jr二冠王者の頂上決戦になることが決定となった。

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