[ファイトクラブ]”知名度低い”課題も内容の充実度合いでカバーした春の2AW後楽園

 2023年1発目となった2AW後楽園ホール大会。前説で十枝利樹会長より言及される【団体の知名度の低さ】は、今大会の有力カードの告知の弱さにも結び付いていた。
 その一方で、知名度の低さをカバーできるだけの内容満足度が、今の2AWにはあると考えている。そうした2AWの魅力は是非とも多くの方々に知られてほしい。そんな思いも込めて、春の2AW後楽園ビッグマッチ詳報をお届けしたい。


[週刊ファイト4月6日号]収録 [ファイトクラブ]公開中
▼”知名度低い”課題も内容の充実度合いでカバーした春の2AW後楽園
 photo & text by 鈴木太郎
・事前告知の弱さに見た「知名度の低さ」
・反面、充実していた大会内容
・「動画リンクを貼れるか」という情報告知の分水嶺
・Rフジ組-担々麺造多様性8人タッグ浅川紫悠が吉野コータロー撃破!
・初手からエンジン全開!ちゃんよた華麗な丸め込みで笹村あやめ制す
・滝澤大志&若イキの良い松大樹-真霜拳號&十嶋くにお新旧名tag対決
・鬼塚一聖の観衆度肝抜くパワーボム激勝!チチャリート・翔暉の溌溂さ
・本田アユム&CHANGO抜け目ない攻撃も花見達也&仁木琢郎逆転勝利
・吉田綾斗2AW無差別級V3壮絶レフェリーストップ決着 井土徹也激闘


■2AW『GRAND SLAM in 後楽園ホール』
■日時:2023年3月26日(日) 11:30開始
■会場:東京・後楽園ホール
■観衆:325人

「2AWという団体は、まだまだ知名度がありません。」

 2AWの大会前恒例となっている、十枝会長の前説で語られた発言である。

 前身のKAIENTAI-DOJO時代から千葉県を拠点としている2AW。
 2AWスクエアという道場兼会場を有し、週末には『チーバトル』を中心に大会を行っている同団体の、年数回行われる東京・後楽園ホール大会。
 最近でこそ、3・1『ジュニア夢の祭典』にチチャリート・翔暉が参戦し、若松大樹がサムライTVの『インディーのお仕事』主催・『輝く!日本インディー大賞2022』のニューカマー賞を獲得するなど、生え抜きの若手選手による活躍も目立つ団体ではあるが、前述した十枝会長の発言通り、まだまだ知名度が高いわけではない。

 今大会で言うと、『笹村あやめvs.ちゃんよた』だったり、『吉田綾斗vs.井土徹也』だったり、対外的に注目されて良さそうなカードはあったものの、事前告知が弱かった・情報が届いていなかった感は否めない。

 この日は雨天+興行被り(全日本プロレス新木場大会etc)も多かったとはいえ、後楽園で約400人の動員はキツいかもしれない。ただ、試合に関しては満足のいく内容が多かった印象だ。
 前述した2カードも然ることながら、中盤戦に組まれた『滝澤大志&若松大樹vs.真霜拳號&十嶋くにお』はタッグ王者戦でも面白いと思ったし、『鬼塚一聖vs.チチャリート・翔暉』も先を取り合う両者の攻防が良かった。

 メインイベントの2AW無差別級王座戦は、王者・吉田綾斗がGLEATの井土徹也を相手に一進一退のシーソーゲームを展開。苦しい時間帯はあったものも、最後はレフェリーストップという壮絶なる決着により、吉田が王座防衛を果たした。

 試合後、浅川紫悠が現れると、吉田の持つ王座に挑戦表明。次回ビッグマッチが行われる4・23 TKPガーデンシティ千葉にて、『吉田綾斗vs.浅川紫悠』の無差別級王座戦が決定となった。
 2015年デビューの同期で、KAIENTAI-DOJO末期からシングル王座を争うライバル関係を築いた両者が、呼応し合うようにして口をそろえた言葉は「今しかない」というものだった。

 試合後、吉田が放った「4・23、2AWの強さをお見せします」という旨の言葉に偽りはない。団体が提示し得る期待度の高いカードではあるが、前述したように、まだまだ情報告知の面で団体の弱点も感じてしまう。
 例えば、YouTubeで即日バックステージコメントを公開できるスピード感は非常に素晴らしいのだが、Twitterに動画リンクを貼っていないせいなのか、中々再生数が伸びていない。

 都心から離れた千葉県千葉市に拠点を構え、団体の知名度という点でも課題のある2AWではあるが、チケット代金に対する内容満足度は高いという体感がある。また、他団体参戦を経て、支持を増やしつつある所属選手も増えてきた。
 団体規模は大きくないものの、新木場1st RINGや新宿FACEといった都内会場並に客席とリングとの距離が近い自前の会場を持ち、王座戦の前哨戦でも惜しげなく好カードを組む姿勢は素晴らしい。知名度という課題を乗り越える魅力がある2AWを、記事を通じて少しでも伝えていきたいと私は考えているし、これからもそうして周囲に広めていきたいのである。

Rフジ組-担々麺造多様性8人タッグ浅川紫悠が吉野コータロー撃破!

第1試合 8人タッグマッチ 20分1本勝負>
リッキー・フジ 吉田考志(フリー) ○浅川紫悠 ナカ・シュウマ
(6分33秒 ホワイトナックルライド⇒エビ固め)
担々麺造 超人勇者Gヴァリオン(BRAVES) ●吉野コータロー 最上九

 ユニット無所属を中心に編成された8人タッグマッチ。
 2AWに最近ご当地レスラーとして登場している担々麺造や、団体内のトップグループにいる浅川紫悠らが一堂に会したタッグマッチは、ともすれば【ごった煮】という印象も見受けられたものの、双方連携に関しては齟齬もなく無難であった。

 試合は浅川が吉野コータローを下して勝利。フィニッシュ前に浅川の放ったラリアットは、人体同士がぶつかったとは思えぬ、鈍く重い衝突音を場内に残していった。

初手からエンジン全開!ちゃんよた華麗な丸め込みで笹村あやめ制す

<第2試合 シングルマッチ 15分1本勝負>
○笹村あやめ
(8分04秒 笹団子)
●ちゃんよた(P.P.P.TOKYO)

 団体の紅一点・笹村あやめに、P.P.P.TOKYO所属・ちゃんよたが挑んだ一戦。ちゃんよたは、コレガプロレス、スターダムなどに参戦した経験はあるものの、全く初めての他団体参戦は久しぶりという記憶だ。

 ゴングが鳴ってすぐ、双方ショルダータックルでぶつかり合う姿を見て、「これが見たかったのだ」という思いに溢れる。初手から望んでいたもの・期待していた内容を見せてくれたからである。

 ちゃんよたの後楽園登場は、デビュー直後の2021年11月に行われた真琴の自主興行以来と思われるが、当時はバトルロイヤルで触りだけの登場だったことを思うと、この日は本人のパワーを活かした攻めが発揮されていた、堂々たる試合っぷり。
 対峙した笹村も、ちゃんよたの攻撃を受け止めた上で、最後はカウンターの丸め込みにより3カウント奪取。キャリアの差を活かした勝利であった。

滝澤大志&若イキの良い松大樹-真霜拳號&十嶋くにお新旧名tag対決

<第3試合 タッグマッチ 20分1本勝負>
滝澤大志 ○若松大樹
(8分43秒 ダイビングバカチンガーエルボードロップ⇒片エビ固め)
真霜拳號 ●十嶋くにお

 滝澤&若松の『ぶっ飛べ★ミサイルキッカーズ』と、真霜&十嶋の『としましも』という新旧タッグチームが対峙した一戦。
 タッグ王座戦でも見栄えのありそうな対決は、ベテラン3選手に割って入る、若松の堂々たる姿が印象的。大日本プロレスでタッグリーグを制した経験と自信は、ホームグラウンドでも確実に活かされていた。

 試合は若松が勢いそのままに、十嶋からダイビングバカチンガーエルボードロップで勝利。試合後、若松と滝澤は腰にベルトのジェスチャーを示したことで、次期タッグ王座挑戦をアピールしたのである。

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