[ファイトクラブ]若手課題と希望を見た大谷晋二郎不在のZERO1旗揚げ22周年記念

 22回目を迎えた、プロレスリングZERO1の旗揚げ記念大会。
 2022年4月の両国大会で負傷して以降、長期欠場が続く大谷晋二郎不在の中で行われた旗揚げ記念は、若手選手に動きが見られる内容となった。
 引退、実力者との一騎打ち、タイトル挑戦等を通じて課題は見えたものの、昨年春に比べてタイトル戦線に絡む若手が現れたのも事実。大谷不在の23年目は、若手が大きなカギを握っているのではないだろうか?


[週刊ファイト3月16日号]収録 [ファイトクラブ]公開中
▼若手課題と希望を見た大谷晋二郎不在のZERO1旗揚げ22周年記念
 photo & text by 鈴木太郎
・昨春とは異なっていた若手の台頭
・課題は有れど希望も有り
・23年目は若手の躍動がカギ
・朱鷺裕基のエルボー連打炸裂!馬場拓海がオープニング激勝
・不動力也-クリスの強烈タックル合戦!ヴァイス貫録勝利
・ZERO1 Jr.知る高岩竜一が若武者・井坂レオ撃破!Jr.二冠挑戦へ
・ジャングル叫女ウナギ・サヤカ 女子プロ戦は大ベテラン・ジャガー制す
・寂寥と激情の太嘉文引退試合!キャリア約6年半に幕
・松永準也奇襲も動じぬ『火祭り』覇者!関本ジャーマン葬
・”阿部史典封じ”で盤石王座防衛!クボブラがタッグ王座V3
・世代交代胸に挑む北村彰基!田中将斗が容赦なしの世界ヘビーV4
・試合後の北村に見た、かつての小幡優作


■プロレスリングZERO1 『創立22周年記念大会』
■日時:2023年3月5日(日) 11:30開始
■会場:東京・後楽園ホール
■観衆:785人(主催者発表)

 22回目を迎えた、プロレスリングZERO1の旗揚げ記念大会。

 2022年4月の両国大会で負傷して以降、長期欠場が続く大谷晋二郎。大谷不在の中で行われた今回の旗揚げ記念大会は、若手世代に動きが見られる大会だったと感じた。

▼プロレスと親子連れを繋ぐ、栃木プロレスが熱い!

[ファイトクラブ]プロレスと親子連れを繋ぐ、栃木プロレスが熱い!

 今大会で引退した太嘉文、関本大介と一騎打ちが組まれた松永準也、タッグ王座に挑戦した永尾颯樹、メインで世界ヘビー級王座に挑戦した北村彰基。
 いずれも試合に敗れた若手勢であったが、希望はあった。
 両国国技館ビッグマッチの至宝奪還の場に若手がいなかった、2022年春に比べれば確実に前進しているし、珍しく有料興行で会場に響き渡る子供たちの歓声は、栃木プロレスで地道に築いた若手の姿も大きかったのではないだろうか?

 【ZERO1=大谷晋二郎、田中将斗】という対外的な印象も未だに強い中、この1年で特に伸びたのは北村彰基だったように思う。
 この日は自身が主戦場にするJr.ヘビー級ではなく、田中将斗の持つ、階級が上の世界ヘビー級王座に挑戦。そうしてまでも、「今のZERO1は若手が引っ張っていく」という行動と気概を強く感じさせてくれた。


 正直な所、ベテラン相手に結果以上の差を見せつけられた若手の試合もあった。ただ、今後、あと一押し試合が出せるかどうかで印象は大きく変わってくるだろう、とも私は感じた。
 終盤、北村が田中の猛攻を1カウントで返した姿に、私は今後のZERO1に希望を託したくなった。来年の旗揚げ記念までに、とは言わない。若手がいち早くブレイクする姿を楽しみに待ちたい。

 そんな旗揚げ記念大会では、前向きな発表もあった。3・26 ZERO1靖国神社大会に、欠場中の大谷晋二郎の来場が発表されたのである。
 工藤めぐみGMからは、当日の体調次第では来場が叶わない可能性も伝えられたが、実現すれば2022年4月の両国大会以来の公の場となる。
 この約1年、所属が踏ん張ってきたZERO1。旗揚げ記念を終え、23周年に向けて動き出した団体の未来は、若手選手の躍動にかかっている。


朱鷺のエルボー連打炸裂!馬場がオープニング激勝

<第1試合 15分1本勝負>
○馬場拓海
(6分1秒 逆エビ固め)
●朱鷺裕基

 元日デビュー戦以来となる後楽園ホールの地に戻ってきた朱鷺が、馬場拓海に挑んだ一戦。

 朱鷺の放つエルボーは一発一発が安定していて小気味良く、デビュー約2ヶ月とは思えなかったのだが、全体的に馬場を脅かす事はできず、最後は逆エビ固めで無念の敗戦となった。
 しかし、朱鷺の身体の厚みはデビュー戦よりも増し、顔つきも幾分が精悍になった印象を受けた。ZERO1期待の新人が、オープニングマッチで足跡を刻んで見せた。

不動力也-クリスの強烈タックル合戦!ヴァイス貫録勝利

<第2試合 30分1本勝負>
○クリス・ヴァイス 横山佳和
(8分6秒 パッケージ・パイルドライバー⇒体固め)
不動力也 ●アストロ

 この日、アストロマンから改名を果たしたアストロの初戦。コスチュームも一新したものの、ヘビー級の集うタッグマッチでは階級差の不利は否めなかったか。最後はパッケージパイルドライバーでクリスが勝利。

 今のZERO1の中で、クリス・ヴァイスの飛んだり捩じ伏せたりが出来るオールラウンド性は稀有だ。故に、そろそろ世界ヘビー級王座戦前に割って入る所も見てみたい。
 この日は不動力也とクリス・ヴァイスのぶつかり合いが堪らなかった。今年の『火祭り』で当たる機会は訪れるのだろうか?

ZERO1 Jr.知る高岩竜一が若武者・井坂レオ撃破!Jr.二冠挑戦へ

<第3試合 30分1本勝負>
ケンドー・カシン ○高岩竜一
(9分52秒 デスバレーボム⇒片エビ固め)
●井坂レオ 星野良

 Jr.二冠王座を保持する井坂レオが、若手の星野と組んで、大ベテランの高岩&カシン組に挑んだ一戦。

 『ジュニア夢の祭典』出場者を2人も擁した一番は、カシンが星野を場外へ連れ回す間に、高岩がデスバレーボムで井坂から勝利。
 ZERO1ジュニアを知る男が、試合後のバックステージで、若き新星の持つジュニア二冠王座次期挑戦者に名乗りを挙げた。
 井坂にとって、いきなり訪れた試練。強敵ではあるが、高岩という壁を超えられれば、防衛ロードを歩む上でも大きな自信になるはず。果たして若武者は、大ベテランを超えられるのだろうか・・・?

ジャングル叫女ウナギ・サヤカ 女子プロ戦は大ベテラン・ジャガー制す

<第4試合 30分1本勝負>
○ジャガー横田 ジャングル叫女
(12分24秒 リバース・フランケンシュタイナー)
ウナギ・サヤカ ●ななみ

 女子プロレスタッグマッチ。
 ZERO1の旗揚げ周年記念ながら、大谷晋二郎や田中将斗と共にチケットデザインに並び立ったウナギ・サヤカ。ななみとタッグを組んだこの日は、スターダムではCOSMIC ANGELSとGod’s Eyeの別ユニット同士ながら、息の合った連携プレーを披露していた。

 ジャングル叫女参戦というトピックもあったものの、試合ではジャガー横田の動きが際立っていた印象。特に、フィニッシュシーンとなったリバース・フランケンシュタイナーの使用には驚かされた。年齢を感じさせぬ機敏な動きが素晴らしい。

寂寥と激情の太嘉文引退試合!キャリア約6年半に幕

<第5試合 太嘉文引退試合 30分1本勝負>
○菅原拓也 近藤修司
(15分20秒 ラリアット⇒片エビ固め)
●太嘉文 佐藤嗣崇

 太嘉文引退試合。
 かつてWRESTLE-1が運営していたプロレス総合学院の同期に当たる佐藤嗣崇とタッグを組み、総合学院でコーチ役だった近藤修司、ZERO1で影響を受けたという菅原拓也と激突した。

 怪我以外の引退という事もあり、寂寥感も除かせたが、何より太嘉文の負けん気が凄まじかった。2vs1の劣勢に堪らずカットに入ろうとした佐藤を「来るな!」と制して、先輩2人に立ち向かう姿は圧巻。

 最後は太嘉文が両手を広げた状態で菅原のラリアットを喰らい、勝負あり。

 ZERO1入団時にTシャツを手渡した工藤めぐみGMの花束贈呈、太嘉文のマイク、簡潔な10カウントゴングと、セレモニーそのものはシンプルだったが、私の中では栃木プロレスの卒業セレモニーも含めて、別れの場が設けられた事に感謝しかない。
 引退は大変惜しまれるけれど、太嘉文の今後が素晴らしい船出になることを願って止まない。

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