[ファイトクラブ]AEWブライアン獣神バンディートLet’s GoダービーKUSHIDA声援両雄

[週刊ファイト1月26日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼AEWブライアン獣神バンディートLet’s GoダービーKUSHIDA声援両雄
 (c) AEW 編集部編
・竹下「MJFベラベラしゃべりあがって!どうなっても責任取らんからな」


■ AEW Dynamite
日時:1月18日(現地時間)
会場:カリフォルニア州フレズノ セーブ・マート・センター


 番組は交通事故死したジェイ・ブリスコさんの追悼グラフィックからだが、こちらは同じ会場で続けて収録された”celebration”ショーがRampageになるようなのでそちらに回す。また、Dynamiteのメインを飾ったダービー・アレンのTNT王座戦、なにしろ挑戦者KUSHIDAだから、日本の読者を思えば順番を変えてこのトリの攻防から紹介する。


 なにが素晴らしいって、This is AWESOMEだけでなく、「Let’s Go ダービー、KU・SHI・DA」との、両雄を称える声援が大きなうねりとなっていくことに尽きる。そもそも時系列で整理するなら、例えば「NXTこそがWWEで一番面白い、あんな地上波で一般向きにやってるSmackDownとかは好みのスタイルではない」と考える意識的なファン層が大勢いたんだが、そこにAEWが立ち上がり、かなり簡略化した乱暴な決めつけになることを承知の上で定義するなら、やや日本のプロレスに近いことをより鮮明にして、まずはNXTに対抗した経緯がある。だから放送曜日が変わろうが、今でもNXTとAEWの視聴率比較が専門媒体では議論されるのであって、アダム・コールの名前を出すまでもなく、そもそも最初にAEWに飛びついたのはNXTを熱心に見ているデモグラフィックと被るのだ。
 お客の反応からわかるのは「皆さんKUSHIDAをよく知っている」ということ。しかも、正直、記者の予想以上に手ごたえあったのだから、日本から視聴してる諸氏もこれは誇っていいことだろう。


 試合は必殺ホバーボードロック狙いのKUSHIDAが散々ダービーの腕を痛めつけ、LA道場の子分が白旗タオルを投げろとセコンドで騒ぐと、スティングがタオルを客席にポイ捨てとかを挟みつつ、咄嗟のラストサパーで丸め込むフィニシュだった。やや唐突にも思えたが、ベビーフェイス・マッチとしてKUSHIDAがダービーの手を挙げてやるフィナーレで番組が終了している。

 負けて評価が上がったのがこの試合である。あっぱれなお仕事なのであった。


 同じく順番を変えて紹介させていただくなら見入ってしまった、いや魅せられたのがブライアン・ダニエルソンvs.バンディードである。前回の竹下幸之助戦でも紹介した通り、シングルでずっと勝ち進まないとMJFの世界王座戦に辿り着けない条件を飲まされた”アメリカン・ドラゴン”ブライアンなので、大人のファンにはケツはわかっているのだがそんなことはどうでもイイ。恐らく「前半はこの試合のコピーでやろう」と画面の大きいスマホかタブレットで段取りを確認してやったのは、どれだったか思い出せないのだが、明らかに見た記憶のある獣神サイダー・ライガーと誰かの試合だったからだ。

 ロックバンドだって名曲をコピーする際にどうやっているかと一緒なのであって、やる側から見ているファンはプロレスの作り方がわかったと思う。


 日本でやってる試合としてもまるで違和感がない。短い尺でテレビ用にブン、ブン、ブンとまとめてしまう例えばSmackDownの試合と違って、時間も貰って序盤のやりとりがあってと進行していくから、たまたま日本人選手ではないが、明らかな「日本のプロレス」が、平均視聴者数969,000人の大人気番組で全国放送されている。2023年新春から、なんたる光景を目撃することになろうとは。


 後半はいかにバンディードが怪力かのspotを散りばめつつ、ブライアンの試合パターンになって行った。

 最後はブサイクニーだったが、ブライアンの技量が凄いことは周知にせよ、バンディード恐るべし才能の持ち主というのがよくわかった名勝負であった。


 金曜日の発売締切りがあるので簡易的な紹介をお許し願うが、番組はオレンジ・キャシディがオレンジ・パンチで格上職人のジェイ・リーサルを下し、ベストフレンズやダンハウゼンとポッポコーンをほうばるカードから。他に、先週トリオ選手権を奪回したんだからとばかり、今週は若手のトップフライトをoverさせてヤングバックスが負けるタッグ戦も。女子はトニー・ストームがウィロー・ナイチンゲールを丸め込むものの、サレヤと志田光はセコンドで揉めてしまうとかが挿入されてました。

 あと、事前収録セグメントなんで公式写真にはなかったのだが、ジョン・モクスリー夫人レネ・ヤングにインタビューされて、竹下幸之助が、「MJFベラベラしゃべりあがって! どうなっても責任取らんからな」と大阪弁で笑かしてくれてます。