[ファイトクラブ]3150FIGHT前日会見~現場取材から見た『カラマーゾフの兄弟』表と裏

[週刊ファイト8月25日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼3150FIGHT前日会見~現場取材から見た『カラマーゾフの兄弟』表と裏
 photo & text by 大島慶山 編集部編
・「元気ですか!?猪木さん」但馬 石井 藤田が祈りを込めて叫ぶ前日会見
・約30分のインターミッション後に皇治vs.ヒロキングともう一試合ABEMA


■ 『3150FIGHT vol.3 ~最高のボクシング 再興へ~』 
日時:2022年8月15日
会場:エディオンアリーナ大阪第1競技場
主催:亀田プロモーション
認定:日本ボクシングコミッション


 8月15日(日)エディオンアリーナで『3150FIGHT』と銘打たれたボクシングの興行に観戦に行ってきた。
 世界タイトルマッチがラインナップされているわけでもないのに、オオバコ、エディオンアリーナ第1競技場での大博打に売ってでたのは、主催者のkworld3ボクシングジム(旧名/3150ファイトクラブ)にとってちゃんとした皮算用があってのことだ。
 キラーコンテンツとしてAbemaTVがバックにつき、スポンサーが数10社もついている。そのスポンサーのバックアップのおかげで、紙質の良いカラーパンフレット(表表紙/裏表紙含む28p)を無料配付するという、大盤振る舞いなサービスだ。
 協賛スポンサーの広告が大半の内容で、ページ数も少ないのに、高額な価格を設定している団体もあるというのに、顧客サービスを重要視しているのは、プロ興行において何が重要かを、主催者がよく理解している。


 プロフェッショナルスポーツの興行で大事なのは「お客様(観客)」なのだ。観客が払う入場料、視聴料、グッズ購入代金などの収益でプロ興行が成り立っているのに、たまに観客にぞんざいな態度で接したりしている、主催者、選手、関係者がいるが論外だ。
 ただ、強かったらいい。いい試合をしたら評価としか考えてないファイターがいたら失格だ。昭和じゃないのだから、単にガチ馬鹿ではダメなのだ。リングを降りたら、まずは紳士たれなのだ。可能な限り、サインや写メや握手などには応じないといけないだろう。
 プロレスの悪役でも、グッズ売上に結びつく為、リングを降りるとせっせとグッズ売店にたち、ファンとの交流をはかっている。


 ウクライナを反対コーナーに対峙し、散々ヒールファイトを仕掛けているロシアで、約150年前に発表されたドストエフスキーの小説で『カラマーゾフの兄弟』という、長編の名作がある。フィクションだが、その小説の3人の兄弟に勝るとも劣らない数奇な運命なのが、亀田三兄弟だ。
 3人の実績や功罪を列挙する野暮なことをしなくても、読者は十分に認識しているだろう。近年はJBCとの確執、軋轢がクローズアップされることが少なからずあったが、実際のところの両者(JBCと亀田家)の関係は不透明である。裁判で亀田家がJBCを破算に追い込む圧勝で、事実上、張り子の虎のように形骸化したと思われていたが、大会パンフレットにはライセンスJBCが管轄するプロボクサー・ライセンスの説明が記されているし、会場にもJBC関係者が来場し、控室も設置されている。

 亀田家とJBCは宿敵のように、ファンやマスコミに認知されているが、今は ねじれの位置かもしれない。決して交わることのない、2本の平行線というわけではなさそうだ。メビウスの輪のように、繋がっているのかもしれない。
 旧態依然とした既得権、オールド・クラシックな価値観と、事なかれ主義では細分化、多様化した現代の観客の顧客満足度を満たしていくのには限界があるかもしれない。
 もちろん、すべてが悪いわけではないだろうが、一石を投じた亀田家のスクラップビルドが、やがて大きな波になっていくかもしれない。

 この亀田家のボクシング興行も、全員がプロなのか、それともアマチュアなのか分かりづらいところも、正直ある。プロフェッショナルとアマチュアが混在した興行が悪いといってるわけではない。ブロレスや、キックボクシングや、総合格闘技でもそのような興行、イベントは枚挙にいとまがない。格闘技選手しかり、プロレスラーだけではなく、ミュージシャンや記者でも、プロとアマチュアの垣根があるようでない。得てしてアマチュアほど、「アマチュアもプロも関係ない」とか、いいたがるのも事実だ。

 いくら、草野球がうまくても「僕はプロ野球の選手です」と、突拍子もない、はったりを言う人物は皆無だろう。かつて、IBFのプロボクシングをJBCが認めていない時代もあった。アメリカにおける独占禁止法アンチトラストに触れるかは、定かではないが、今は複数の団体とJBCはラインがある。
 JBCが認定していなくても、実際にボクシングの試合や格闘技イベントの中でボクシングの試合は日本中で開催されているし、事実上、罰則規定もない。法律違反でもない。コップの中の嵐にすぎない。沖縄の通称KCが主催する格闘技イベントや、元祖・お騒がせ男イリエマン主催のキングダムエルガイツや、田馬場貴裕率いるインパクトや、近藤哲夫率いるACF、かつては愛知県でCMAがボクシング試合を組んだ。大阪の恵良俊彦が開催しているボクシング興行もある。すべてJBC非公認のアンオフィシャルながら、PCR検査、抗体検査、ボディチェック含めなしくずしではない、きちんとした管理体制の上、興行がおこなわれている。ヤマネボクシングしかりだ。

 日本では現時点、2枚鑑札のライセンス保持を認めていない為、石井慧(いしい、さとし)は、国籍を取得し、移住しているクロアチアで、プロボクシング・ライセンスを取得。日本でプロボクシングの試合をするという裏技で、参戦している。野武士のような髭面で登場したが、リングネームは、姓名を逆に読み上げる「サトシ・イシイ」としての逆輸入選手扱いであった。
 IGF参戦時は、アントニオ猪木の許可のもと、主催者のイメージ戦略か、「炎のファイター(猪木ボンバイエ)」を入場曲に使用していたが、今は用いてはいない。

「元気ですか!?猪木さん」但馬 石井 藤田が祈りを込めて叫ぶ前日会見

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