(c) AEW
■ AEW Dynamite Fyter Fest week2
日時:7月20日(現地時間)
会場:米ジョージア州アトランタ ガス・サウス・アリーナ
様々な観点から問題回だったと評さざるを得ないFyter Fest名義のDynamiteである。なにしろ日本時間の金曜午後1時になっても公式写真がない。いくらいきなりデビュー段階から世界第2位規模のプロモーションとして始まったAEWであるが、やはりまだ新興プロモーションである。これまでも、どうやら公式カメラマンの手配がうまくいかずに、結局写真ないままの回が複数回あった。
今回は、公式Twitterを見る限りは映像キャプチャーではなく、撮影写真は存在するようなのだが、こちらも締切りのあるマスコミである。それを使うにせよ余りに点数がなく、「見る本」を標ぼうする本誌に関するなら今週は簡易的な紹介にならざるを得ない。
ブロディ・キングがダービー・アレンをゴンゾボムで仕留めて、体格差がありにも大きすぎるので試合後のダービーの顔アップだとガチにゼぇゼぇとなっている絵はどうなのか・・・からの番組。スティングが救援というか花道からリングにくれば、House of Blackのマラカイ・ブラックもやってきて老人と睨み合うことに。
ジョン・モクスリー&ウィーラー・ユウタ組が、トレント・バレッタ&チャック・テイラー w/オレンジ・キャシディと闘うタッグ戦は、そもそもベストフレンズとして売り出されたユウタなのに、Black Combat Club入りしたので裏切りになるのかというテーマになる。解説に加わったウィリアム・リーガル卿は、ユウタが半年前にパイル・ドライバーで首をやってしまい、いかにあの技が危険で、怪我しないようにする首の鍛え方がどうのと、その話を全国放送の番組でやるのは興味深いんだが・・・。一方で、団体としてオレンジ君をベストフレンズと合体させて売り出すにあたり、チャックは「いいんじゃないか」なのに、トレントは「違うだろう、俺たちと合わない」だった経緯のようで、そんな裏話も伏線になっているカードになる。ということで、ユウタがシートベルト・クラッチでチャックが寝る役なのであった。
上はキャプチャー画像なんだが、怪我していたジャングルボーイが復帰。クリスチャン。ケイジ&ルチャザウルスがヴェローシティ・ブロンドス(ブライアン・ピルマンJr.&グリフ・ギャリソン)を料理する短いタッグはどうでもよくて、いざジャングルボーイ復帰となると、ルチャザウルスはジャングルの側に行くという絵をやりたかったようだ。ということで、クリスチャンは大きな会場の客席階段を上がってパイプ椅子を持ったジャングル君に追いかけ回されることになる。
リッキー・スタークスと対戦するハンサムな若者コール・カーター、どっとかで見た顔だなぁと思っていたら、やはりNXTのトニーD(ディアンジェロ)ファミリーをドラッグ検査で解雇された2ダイムだった。う~む。
そもそもAEWのファンベースというのは、もともとWWE見るならSmackDown-Rawではなく、イチバン面白いのはダントツにNXTじゃないかと思っている大人のファンをごっそり頂いたところに成功の要因がある。実際、表記上はメインルースターとなるんだが、そこには一度も上がってないアダム・コールが、AEWではもう最初からスターであり、事実としてメインイベンターを何度も務めている通り。ということで、Swerveストリックランドもそうだが、NXTに出ていた選手は契約解除されたら優先的に確保する方針があるのだ。ましてイタリア系の甘いマスクに加えて、どうせ子分役やってた若手のギャラなんか安いから「ランディ・オートンとかには興味ありません」となるのも無理はない。しかしである。薬物検査で解雇された選手を、スグに全国放送番組で使うってどうなのだろうか。
まぁ試合は短いもので、スタークスのスピアーが決まったあと、まだもう1試合やれる、ピンピンしているとうそぶくリッキーにダンハウゼンが花道に出てきて、にもかかわらずピエロ選手は「やっぱり止めとく、来週だ」と、あくまで笑いを取るセグメントだったのだが・・・。
今週もっとも強く印象に残り、感動のスピーチをやったのがFTRのダックス・ヘイウッドである。7・23ROH『Death Before Dishonor』で長年に渡り旧ROHにいたブリスコ兄弟との対戦が決まっているが、ダックスは「医者から心臓に穴が空いている。なんとか塞がる可能性もあるが、そうでなかれば心臓手術が必要になる」との逸話をやり出した。そして「彼女はそれに打ち勝って、いまや成長したんだ。それは俺の8歳の娘なんだ」と。リアルな話なんでグッときた。「だから、俺は8歳の娘のように(ブリスコ兄弟と)闘うのだ」とやったから、早くもTシャツまで本日売り出すことに。
いや、正直AEWのPPVや、新日本プロレスとの合同興行『禁断の扉』はともかく、AEW傘下としてのROH名義PPV大会までは真面目に見るのかとさえ思っていたが、これで一気に変わった。見ます。本誌、きっちりレポートやります。
Even Justin Roberts' microphone is not safe! #AEWDynamite #FyterFest Night 3 LIVE on TBS! pic.twitter.com/8qz2PMcAg9
— All Elite Wrestling (@AEW) July 21, 2022
予告された女子6人タッグは、レイラ・グレイがコロナ検査なのか急遽出れなくなり、通常のタッグ戦になったが駄目試合であり取り上げる価値がない。そしていよいよメインなんだが・・・。なんとリングアナウンサーであるジャスティン・ロバーツの紹介マイクまでもが有刺鉄線巻きという絵から始まったデスマッチ。
そのマイクを奪って額に押し付け、もう早速、中年オカマのフェイスペイント”ペインメーカー”のクリス・ジェリコが流血になるんだが、コラ、コラ、ディレクターはカメラのスイッチングを間違えている。そっちからにしたら、ジェリコがブレイドで切ってるのが丸見えじゃないか!
ということで、いくらWWEとの差別化とはいえ、こうも毎週、毎週に渡って大流血戦をやるのかという問題のみならず、現地水曜夜8時からのプライムタイム(日本表記ゴールデン)放送枠を思えば、こうも刺激的な暴力劇場のはちょっとどうなのだろうか。WWEが対抗上、少しハードルを下げてPG-14(14歳以下は不可)にするとか、しないとかで揉めている最中なのだが・・・。
あとカミソリに関しては、ジェリコは手袋の中だけでなく靴にも隠していて、それをレフェリーのオーブリー・エドワーズ女史に渡す絵までもカメラが捉えていて、一般客にはわからなくとも大人のファンにはミエミエになってしまっている。担当ディレクター、プロレスわかってないのではないか? 困ったことである。
日本ビデオマニアのエディ・キングストンは川田利明のストレッチ・プラムを有刺鉄線巻きでやるとか、本誌的にはもはや失笑するしかない。ケツもジェリコがジューダス・エフェクトで勝利って、若い方を勝たせろよ!
ということで問題回の代償は、ジェリコさんの鼻骨骨折なのでした。自業自得です。