[ファイトクラブ]漢の幕引き男の花道 前田吉朗引退興行

[週刊ファイト4月21日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼漢の幕引き男の花道 前田吉朗引退興行
 photo & text by猫山文楽拳
・前田吉朗現役最後の試合後会見「まだまだいきまっせ」
・「プロレスラーは復帰してきます」「それ頂きました(笑)」
・前田吉朗引退エキシビジョンマッチ 最初で最後の師弟対決
・鎮魂歌足関節地獄で木戸脇に判定勝利
・木村俊也、林RICEに微差判定勝ち
・MG眞介右ハイで藤原大地をKO
・堂園中村に攻め勝つ
・山崎鼓大、上田祐起に僅差で判定勝利
・フェルナンド延命そらを衝撃TKO
・亮我、梅永海世に一本勝ち


 湿っぽさの、みじんも感じられない、堂々たる男の花道。
 前田吉朗の20年間のプロ格闘家人生のドキュメンタリー映画を走馬灯で見たような、鮮烈な興行。
 前田「皆さんの顔を見て『ありがとうございました』と言えることを誇りに思います」
 潔くすがすがしい幕引きだった。

■ 前田吉朗引退興行
日時:2022年4月10日(日)17:00
会場:大阪・梅田ステラホール

 前田吉朗の前に前田吉朗なし。
 あとにも先にも前田吉朗のような格闘家は、もう現れないだろう。
前田吉朗が金原正徳をKO、長南亮不覚、ウェルター級GPは中村K太郎~激闘『SRC16』
 2003年パンクラスプロデビュー戦KO勝利という衝撃的なデビューから快進撃を続け、2006年8月にはパンクラス初代フェザー王者決定トーナメントを制し初代王座を獲得、その後戦場を拡げ2008年6月UFCの軽量級部門WECに参戦、当時バンタム級世界最強と呼び声の高かったミゲール・トーレスと互角の激闘を繰り広げ、アメリカでも名を馳せた。
 2012年2月には第3代DEEPバンタム級王座を獲得、2017年になると主戦場を修斗に移してランキング1位に到達。
 2021年には、RIZIN32に参戦し砂辺光久と対戦して勝利した。

▼RIZIN沖縄Bオロゴン裸締め一本!前田砂辺18年後-RENAヒザ美憂
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 この日、思い出深い梅田ステラホールで、ゆかりの仲間たちと多くのファンに見守られる中輝かしい戦歴に彩られた20年間のプロ格闘家人生を締めくくった前田の表情に憂いはなかった。

 全試合通して、最上級の格闘技を見たという印象。
 これぞエンターテイメントという興行、永遠に続いて欲しいと思える一瞬の連続、最後の闘いの終わりを告げるゴングが鳴ったそのあとまでも、最高に美しかった。

前田吉朗現役最後の試合後会見「まだまだいきまっせ」

 大会終了直後、メインのエキシ3本勝負に加え引退セレモニーを無事に終えたばかりで、興奮冷めやらぬ状態の前田吉朗に控室で心に去来する思いを語って貰った。
前田「全然ダメージないです。これで終わりでええのんか?前田吉朗(笑)。もう見られへんで、なかなか(笑)。
でもやっぱりもうここがプロとして限界。」
ーやり切りましたか?
前田「やりきったと言われてもわからへん。なんにもできんかった、一生懸命自分が持ってるものだけで闘った。それが格闘技として成立していたのかどうか。
 入門した時に稲さんにやっつけられ続けたときよりもきょうのほうができてないんちゃうかなと思う位、必死でした。」

ー19年20年の長い現役生活でした。いまパッと頭に浮かぶことは?
前田「何にもないです。また明日から忙しいな。」
ー明日から日常が変わりますか?
前田「何も変わらないです。現役しててもしてなくても、ずっと一緒。」
―現役生活を振り返ってどんな現役生活でしたか?
前田「楽しかったですよ。楽しい現役生活、ただただ楽しかった、それだけ。」
ー自分のキャリアをどう評価しているか
前田 「すごく良いキャリアだったと思いますよ。やりたいことやらしてもろて、あったかいみんなに送ってもろて。仲間もいっぱいおって、どこいっても偉そうにして。幸せな格闘家人生でした。」

ーありがとうという言葉しかないということでしたが、改めて支えてくれた人に言葉は?
前田「支えたつもりの人は、これからもっと俺を支えろ。まだまだ俺は迷惑かけるよ。まだまだいきまっせ。」
―ジムも立ち上げて第二の格闘技人生と言うか、指導者になっていくわけですが、第二の前田吉朗は?
前田「第二の前田吉朗なんて無理です。前田吉朗は、とんでもなくすごいんですよ、むちゃくちゃすぎて。こんなのは稀なんです。僕のジムでこんなのがいたら、バチバチするか破門かです。よう稲さん面倒みてくれてた。
 (ジムでは)したいことをしたい。僕からなにも与えることはないです。やりたいことをやってくれたら充分。ただ僕が気に入ったやつはボコボコにします、へへ(笑)。」
―稲垣組にはどうあって欲しいか?
前田「正確に言えば僕が稲垣組なんです。僕が抜けることによってあいつらが何を引き継いでいくかはわからない。僕がこうあって欲しいということと人としてこうあって欲しいということを伝えて、そこを踏まえて彼らが作っていってくれたら良い。
 黄金時代を彼らが作り変えてくれたら良い。
 ちゃんと人としてしてくれて、その上で格闘家として強くなって欲しい。」
「プロレスラーは復帰してきます」「それ頂きました(笑)」

ープロレスラーの人って、引退してもわりと復帰してくるんですが?
前田「いいんすか?頂きました!(爆)」
前田「格闘技そんな甘いもんじゃないんで、ふらふら帰ってくる人いますけど、現役時代のように練習できれば戻れますけど僕は出来ないと思うんで、もう戻れないと思います。
 いやいや、10憶とか積まれたらやってと言われたらそりゃ練習しますよ。(笑)復帰は難しいです。」
ー後進の指導について
前田「指導は一切引いているので。頼ってこられたら嬉しいけど。」
ープロフェッショナルとは?
前田「男はやるかやらんかしかない。やりい!」
ー20年間お疲れさまでした
前田「まだ始まってもいねえよ、馬鹿野郎!」

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