地元・寺地拳四朗3RKOでボクシングWBC世界ライトフライ級王座奪回

■ SHINSEI BOXING GYM presents
 ボクシングWBC世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦
日時:3月19日
会場:京都市体育館

[王者] ●矢吹正道
 3R 1分11秒 KO
[挑戦者]〇寺地拳四朗

 冬に逆戻りしたかのように、冷えた1日だった。
 3月19日といえば、昭和のプロレスファンには、アントニオ猪木とストロング小林の世紀の対決が開催された日にちとして、脳裏に刻まれているだろう。
※昭和49年3月19日 蔵前国技館で開催されたNWF世界ヘビー級タイトルマッチ

 約半世紀(実際は48年前)も前の試合ながら、筆者も克明に試合内容を覚えている。類まれなく、名勝負だった。

 令和の関西でも格闘技熱は熱く、大阪・神戸・京都の格闘技三都物語としても、大阪ではコレガプロレス、神戸ではドラゴンゲート(プロレス)、京都では『THE.REAL.FIGHT』と題され、プロボクシングの世界タイトルマッチが開催された。残念ながらフォトジェニックな姫路や奈良でのプロ格闘技の興行はなかったが・・・。

 京都市体育館では、WBC世界ライトフライ級のタイトルマッチをメインイベントに、5試合がマッチメイクされた。テレビ解説は、お騒がせ男というか、ボクシング界の鬼っ子とでもいうか、亀田興毅が担当した。

 チャレンジャーの寺地拳四朗は、『北斗の拳』(フジテレビ系アニメ)の主題歌に乗せて、颯爽と登場。拳四朗のリングネームは『北斗の拳』の主人公からとったものらしいが、寺地拳四朗本人は、アニメも視聴したことないし、漫画も読んだことないらしい。筆者も同じく・・・。
 今年の1月に大阪で開催されたIWDTという、ローカルインディプロレスの幕間で、セミプロのロックバンドが、『北斗の拳』の主題歌をカバーしていたのを思いだした。「ユアーショック!」が耳に残る。

 続くチャンピオン矢吹正道は、『スクール☆ウオズ』(TBS系列・学園ドラマ)の主題歌で登場した。観客席は、ほぼ満員。ラウンドガールが配置されてないのは、残念だった。
 3月13日に岡山で開催された岡山ジムの主催興行・キックボクシングでは、なんと8人も配置されていたらしい。シュートボクシング、K1、RIZIN、アウトサイダーなみのラインナップだ。8人もの数は必要ないとしても、ボクシングの世界タイトルマッチなのだから、せめて2人ぐらいは配置してほしい。

 リングを彩る花はなかったけど、地域柄か、会場内には約10人程の舞妓さんが、艶やかな着物で、1足早い春の息吹を伝えてくれた。
この会場では、30年前に開催された新日本プロレスでの小林邦昭&越中詩郎 対 青柳政司&齋藤彰俊→来原圭吾の新日本勢と、誠心会館の殺伐とした試合が印象深い。このときも、会場内では異様な雰囲気が充満していた。

 本日の拳四朗と矢吹のダイレクト・リマッチは、昨年秋に、拳四朗が9回目の防衛戦だったが、矢吹に敗戦を喫して、満を持して行われた。バッティング騒ぎとかもあったわけだ。
 地元ということもあり、観客の大半は拳四朗を応援している。3分12ラウンドで挙行された試合は、WBCルールで4ラウンドごとにスコアを発表する、オープン・スコアリングシステムが用いられた。

 会場内の設備のこともあるだろうが、やたらと観客に印象操作するビデオ上映もなく、後楽園ホールでのボクシング興行に多い、情報量多すぎのリングアナウンスもなく、見やすかった。でも、勝利者インタビューはメインだけでいいと思う。

 拳四朗は、3ラウンド1分11秒、文句なしの見事なKOで、タイトルを奪還した。ノックアウトしたときに、場内は割れんばかりの大歓声だった。
 赤と青の照明が綺麗にチャンピオンを照らした。拳四朗は感涙、そして大喜びでファンに応えた。本当にいい試合だった。

 拳四朗は、「長谷川穂積さんが”勝ったら見える景色がある”と話してくれましたが、正にその通りにいい景色が見えました」と、大歓声に応えた。
 会場を出ると、雨は止み、明るい太陽の光が眩しいばかりに降り注いでいた。拳四朗の次戦にも期待。矢吹も再起してほしい。WBAの同級チャンピオンは京口紘人がいる。統一戦も実現して欲しいものだ。