[週刊ファイト9月9日号]収録 [ファイトクラブ]公開中
▼不景気な真夏にひとときの涼~プロレス心霊ファイルvol.1
text & photo by 猫山文楽拳
・金縛り「はいってます!」
・「久しぶり」
・撮影中に数珠がふっとんだ話
夏は全般的に売り上げが落ちるという。
曰く「暑いから。」
「暑いとどうして売り上げが落ちるのですか」
タダシタナカ記者曰く「単純に暑いからダウンロードとかしてまで閲覧するのがうざいんじゃない? 知らんけど」
タダシタナカ記者はメールの文言はべらんめえ調の甚だ江戸っ子風だがその実コテコテ大阪まるだしなのが「知らんけど」に凝縮される。
「知らんけど」は関西の特に大阪あたりの人々が、自己の言い分に100パーセント確証が持てないときに茶を濁すように用いる特徴的な言葉だ。
ソフィストケートな標準語で畳みかけてこられても、生来の大阪人気質は隠しきれるものではない。
言われてみると、かつて働いていた新宿に本店のある百貨店の外商担当者も「ニッパチ景気」などと言って、2月8月は販売実績が落ちるとかこぼしていたのを思い出した。
暑さで人の購買欲が落ちる。それゆえ2月と8月は、最終セールと銘打って商品を底値でご提供することになる。
出版業界は、そういうわけにもいくまい。週刊ファイト、ファイトクラブ、2月と8月は通常価格の半額でお試し閲覧セール中!とはならないだろう。
暑さが景気の悪さに拍車を掛ける夏でも、快調に飛ばしている商売のテーマと言えば「オカルト」「ホラー」だ。
このところFMW-Eで大仁田の電流爆破マッチが再び注目の的となって集客に成功しているのも、花火大会を初めとし、ほとんどの夏の風物詩的イベントの中止と、大仁田劇場のお化け屋敷や見世物小屋と共通する、怖いもの見たさをそそる点が時節とあいまった相乗効果を生んだからと記者は見ている。
そこで今回は、記者が実際にプロレス会場で体験した背筋が寒くなる話を幾つかご紹介し、果たしてタダシタナカ記者の主張の通り夏の売り上げ減少が「単純に暑いからダウンロードするのがうざい」に起因するのか検証してみたい。
今回「ファイト心霊倶楽部」がそこそこヒット数を記録したなら、確かに読者の皆さんは「涼しくなるお外題には食指が動く」となるから、以後記者は、どこかの月刊誌みたいにサイキックを売りにプロレスの心霊現象調査担当になるやもしれない。
古い建物に入った時、一瞬人の念が残されているかの圧というか違和感を感じたことはないだろうか。
プロレスは、インディに限らず年季のいった古い建物で興行を開催することが少なくない。
プロレス関係者のみならず、プロレス会場に足しげく通うプロレスファンのみなさんならば、おそらく一度や二度は、ちょっとした不思議な体験をしたことがあるという人、いらっしゃるのではなかろうか。
夏になると、雨後の竹の子よろしく怪談師なる怖い話の語り部たちがテレビの深夜枠を賑わす。
彼らの披露する怪談話に大抵ひとつ位、いわくつきの建物の話がある。
近年常設リングを持てなくなって久しい地方のインディプロレス団体は、市役所に行って子供会や合唱サークルのみなさんと共にくじ引き抽選に参加して手頃な料金で市民ホールを借りて興行を打つのがこのところの主流となっている。
記者がまだ記者ではなく、末席のプロレスファンとして貪欲にプロレス興行を観戦しまくった頃に体験した、とある地方の古い会場での不思議な出来事から一席。
金縛り「はいってます!」
いろいろ差支えあるかと思うので会場の詳細は伏せるが、大阪のとあるプロレス会場とだけ申し上げておく。