秘蔵写真で綴る浪速のアントニオ猪木#16(1968年隅田川決戦宴の後)

1968年新春チャンピオン・シリーズの記念パンフレット、今見てみても秀作である。
[週刊ファイト8月12日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼秘蔵写真で綴る浪速のアントニオ猪木#16(1968年隅田川決戦後の宴)
 by 藤井敏之
・隅田川決戦宴の後の1月6-7日大阪連戦は豪華カードが揃った
・セミ:アントニオ猪木喧嘩ファイトxキング・カーチス・イヤウケア
・カール・ゴッチが試合を行っている事件!ケン・ホリス戦
・当時日プロコーチ!シリーズ帯同も2試合のみに出場の貴重写真
・ゴッチの素晴らしいテクニックが光る!ゴッチ劇場グラフ完全再現
・ハワイ経由で米国に戻る慣例:2・7ホノルル大会にもゴッチ先生


 アントニオ猪木とカール・ゴッチの師弟関係はプロレスファン万人の知るところであるが、今回載せる大阪大会の頃は、ゴッチはなんとあのジャイアント馬場さんと非常に密接な時期があった。

 時は昭和43年、正月明けからプロレス界は老舗の日本プロレスと、新たにTBSテレビと手を組んだ国際プロレスがテレビ中継開始とともに新春レスリングーウォーが勃発。中でも1月3日は、俗に隅田川決戦と呼ばれる、昼の日本プロレスの蔵前国技館興行(インターナショナル選手権試合 王者ジャイアント馬場対クラッシャー・リソワスキー)と、夜のTBS国際プロレスの日大大講堂興行(TWWA認定世界ヘビー級選手権試合 王者、ルー・テーズ対グレート草津)の話題で盛り上がっていた。

 結果的には試合内容でも観客動員でも、日本プロレスがTBS国際プロレスに対し大きく水をあけ、馬場はリソワスキーを倒し18回目の防衛記録を延ばし、一方期待されたグレート草津はルー・テーズのバック・ドロップの前に失神KO負けとなった。そして日本プロレスはしてやったりと、観客動員も順調に動員しながら新春シリーズに突入してゆく。

             同シリーズのインター・タッグ選手権試合の半券

 今回は1月6日、7日大阪連続興行での初日の貴重な写真が残っていた。
 この日のメ-ンイベントは吉村道明&大木金太郎組と“ドクター”ビル・ミラー&リッキー・ハンター組のアジアタッグ選手権争奪戦(60分3本勝負)だが、大都市ゆえの集客を懸念した日本プロレスは揃えてきた。セミファイナルにアントニオ猪木対プリンス・カーチス・イヤウケア、ジャイアント馬場対クラッシャー・リソワスキーというメインでもおかしくない因縁の注目カード(どちらも30分1本勝負)で脇を固めたのだ。
 尚、翌日はジャイアント馬場の19回目のインターナショナル選手権が決まっており、防衛すれば師匠である力道山の記録に並ぶ偉業となるべく試合が用意された。

             日本組の貴重な控室の様子

 ここで俄然、燃えるのがアントニオ猪木である。かつて、憧れの海外初遠征において豊登に連れられ最初に着いたハワイでの米国第一戦の相手になったのが、このキング・カーチス・イヤウケアであったのだ。ハワイではれっきとしたハワイ君主国カメハメハ王朝の血を引くイヤウケア王国の3代目。1939年生まれでまだ28歳という若さを誇り現地ではヒーロー的な存在であり、当時ハワイのタイトルを持っていた。

 猪木は凄い抜擢でタイトル挑戦試合となった1本目はイヤウケアのフライング・ボディープレスに敗れたが、2本目は得意とする空手チョップでイヤウケアを攻め、倒れたところにネックブリーカー・ドロップでタイに持ち込む。3本目はイヤウケアの反則攻撃で流血ノー・コンテストに終わっている。猪木にとっては因縁深い相手でもあり、翌日イヤウケアが馬場さんのインターに挑戦する前に、「俺が一丁倒してやるか」という気持ちに溢れていたかと思われる。
 イヤウケアも力道山に挑戦して以来、8年ぶりのインターナショナル選手権への挑戦ゆえ、「猪木になど負けてられない」と張り切っていたことだろう。  
   
         風格あるキング・カーチス・イヤウケア  若獅子アントニオ猪木                           

             トランプゲームに興ずる外人控室

 試合はかつてのハワイでの試合の続きかのような展開になる。スタートからイヤウケアのメガトン・パンチと猪木の空手チョップを中心とした喧嘩ファイトに終始したが、体力で上回るイヤウケアの反則攻撃を食らい、場外で猪木はダウンしカウントアウト場外KO(7分16秒)負けという屈辱的な試合であった。

         当時お気に入りの“Japan”のガウン    まさにハワイの巨像である

             力比べをする両雄   

             猪木の喧嘩ファイトが爆発する
     
         イヤウケアの強烈なトー・キックが猪木にヒット  

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