[週刊ファイト7月8日号]収録 [ファイトクラブ]公開中
▼プロレスとレゲエの融合神戸に響け魂の咆哮メリプロ ハーバーファイト1
photo & text by 猫山文楽拳
・偉大なるレイパロマ復活のスピリチュアルデスマッチ
・ダブ流仁義なき闘い血祭は沙恵
・ミステリオ親子の上を行くルチャ馬鹿親子
・デビュー1年で頭角ヘルブロス大化けの予感
・衝撃の階段落ち!藤永のBADMAX拳なプロレスに拳剛ブチ切れ説教
・懲りないカス野郎藤永のBADMAX次回大会衝撃告知
「神戸をプロレスの街にしたいねん」元町高架下に店を構えたときからの藤永の口癖だった。
生まれ育った神戸にプロレスで人を招き神戸を好きになって欲しい。神戸をプロレスで活性化したい。プロレスの街にしたい。
ひとりのプロレスカス野郎の壮大な夢への一歩となるであろう大会がこの日ようやく開幕した。
KOBEメリケンプロレスはその設立から新型コロナウイルス感染拡大に泣かされ続けた。
野外を主戦場とする団体であると明言しメリケンパークでの興行開催を発表するも、政府が緊急事態宣言の発令に伴い中止決定を呑まねばならなかった。
主宰者である藤永幸司がオーナーを務める元町高架下にあるプロレスカフェバーリングソウルも営業時間を短縮、酒類の販売も自粛したが、店は藤永の人柄を慕いプロレスに惚れた男女に支えられてきた。
「神戸をプロレスの街にしたいねん」また藤永さんが酔って戯言を言っていると、誰もが笑った。
夢物語に真剣に耳を傾けた男がいた。もうひとりのカス野郎brother”YASSHI”だった。
■ KOBEメリケンプロレス神戸大会 ハーバーファイトVol.1
日時:2021年6月26日(土)18:00
会場:兵庫県・神戸ハーバースタジオ
記念すべきハーバースタジオにおける最初の興行。一歩会場に入ればそこはレゲエミュージックの洪水。音楽に耳を傾けノンアルコールドリンクを飲む者レゲエミュージックに身を委ね踊る者或いはグッズを買いに選手の物販に向かう者、観客は思い思いのスタイルで試合開始を待っていた。
試合中も音楽は途切れることなく、リングコールも試合と試合のはざまにリング上でパフォーマンスを披露したアーティストが務めた。
レゲエとプロレス、両者の強烈な攻撃性メッセージ性が互いに引き立てあって強調され試合を盛り上げ観客の興奮を煽ることに成功していた。
偉大なるレイパロマ復活のスピリチュアルデスマッチ
レイパロマは不死身の男だ。
プロレスラー生活21年目の今年新型コロナウィルスに感染し地獄を見て帰還し、その後様々なメディアで「こんなに苦しむとは思わなかった。コロナをなめていました」と、世に警鐘を鳴らすべく闘病の様子を赤裸々に語るなど力強いメッセージを発信した。
— 猫村融@岡山県矢掛町在住プロレス・格闘技記者 (@nekoyabunraku) June 28, 2021
5月19日に発熱し、コールセンターに相談、翌20日に病院でPCR検査を受診し「陽性」と判定されたが、病院に空きがなく自宅待機を余儀なくされた。
その後ホテル療養に移るが容体が回復せず病院を受診したら肺炎にかかっていることがわかって入院。
これらの経緯を見てわかることは、彼の命を救ったのはほかでもない彼自身が自らの異変に対して迅速に動いていったこと。万一自分の体調に不安を感じた際にどのように対処すべきか大いに参考になった。プロレスラーのように日頃から体を鍛え免疫力も強そうな人間でもコロナはお構いなしなのだ。教訓として、自分は大丈夫などという根拠のない自信は禁物と肝に銘じておくべきだ。
うぉぉぉう うぉううぉう
本日はアカプルコを1日かけてお消毒します。
お消毒だけでなく、エアコンも換気扇も配管も害虫駆除もワックスがけも。とにかくぴかぴかになります。コロナ対策万全で明日から営業します。
私はTKエスペランサで練習。夜はお友達のお店がオープン。『みかど』白島町です pic.twitter.com/i3Y3CwXzwi— レイパロマ (@nidojiro) June 21, 2021
コロナから生還を果たし晴れてプロレスラーとして復帰し、ハーバーファイトに参戦したレイパロマだが試合中しばしばコロナの後遺症?に苦しめられ?そのたびに窮地に陥る。
どうやら記憶障害を起こしたらしく、技のかけ方が思い出せない。頭の中で記憶の糸がこんがらがってしまっているかのようだ。考え込んでしまうその隙をマスポコが突かないわけがない。
窮地に陥ったパロマだがマスポコにタイツを脱がされ恥ずかしい姿になったとたん、おぼろげな過去の記憶がリバースしたか脳内の空白になった記憶パズルのピースがはまったか、目に力が宿っていく。
そして誤爆でダウンのマスポコの足を取った瞬間、ついに十八番の必殺技「恍惚」が蘇った。
壮絶な闘いを制したレイパロマ。負けたマスポコも完全復活を祝して抱擁で好敵手の帰還を讃えた。
<第2試合30分1本勝負>
●マスポコ
7分8秒 恍惚
◯レイパロマ
ダブ流仁義なき闘い血祭は沙恵
「ダブ(プロレス)は、モッシュです」と言い切ったプロレスファンに爆笑してしまった。言い得て妙だ。
この日も試合開始のゴングが鳴ったか鳴らないかのタイミングで観客席に飛び降りて、会場全体をプロレスの潮流に巻き込みながら縦横無尽に無法の限りを尽くしていった。