葛西純のデスマッチ人生に括目せよ!!主演ドキュメンタリー映画『狂猿』が全国で公開中!!

(c) Jun Kasai Movie Project

 5月に公開されて話題を呼んでいる、ドキュメンタリー映画『狂猿』。デスマッチファイターの葛西純の過去、コロナ禍の現在、そして未来を映し出した秀作といえよう。
 序盤は葛西の過去を振り返ることを中心に描かれている。出身地である北海道・帯広時代、プロレス界に入るまでの経緯、金銭苦に陥った新人レスラー時代など。入門した大日本プロレスの頃の数々のほろ苦いエピソードは、インディー団体あるあるに思えた。

 唯一、話題にも出なかったのは、2003年に入団したZERO-ONE時代について。葛西のレスラー人生における迷走期(?)といえる数年間に触れることで、世界中から尊敬を集めるデスマッチファイターとしての現在がより際立つはずなのだが……。

 ZERO-ONE時代は封印しても、風俗トークは全開なのが人間味溢れる葛西の魅力。吉祥寺にあったピンクサロンの名店『エアボート』跡地に立って、風俗にハマっていた若い頃を振り返る場面は、葛西と同世代の男性なら大いに共感するのでは。90年代の一時期、吉祥寺のピンクサロンは全盛を誇っていた。周囲に大学が多いこともあってか、女子大生や20歳前後のギャルが多く在籍していたからである。なかでも『エアポート』は人気店だった。が、今となっては夢の跡。生き残れなかった『エアポート』。今も生き残り続ける葛西純。デスマッチとはリング上だけではない闘い、まさに人生そのものであると訴えているようだった。

 他にもコロナ禍の今の日常生活、怪我からの復帰に向けた練習風景、レスラー仲間とのトークといったプライベートも満載だが、注目はやっぱりデスマッチで闘う葛西。試合会場で観るのとは大きく異なる印象を抱くに違いない。

 蛍光灯の破片やカミソリで肉体が切り刻まれ、血が溢れ出る映像が映画館の大きなスクリーンに映し出されると、観戦歴が長いプロレスファンでも目を背けたくなるはずだ。同時にこれまで会場で何気なく観ていたデスマッチが尊く感じられるのだから、映像マジックとしか言いようがない。 

 なぜ葛西はデスマッチで闘い続けるのか? なぜ葛西に続く若いデスマッチファイターが誕生するのか? そんな問いが頭の中を巡り回るであろう。

葛西純、チラシ裏、川口潤監督


▼伊東竜二vs.葛西純

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▼バーチャルWWE観戦に明け暮れた2020 猫山文楽拳「鷹の爪大賞」

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