[ファイトクラブ]弱り目に祟り目の新日本★DOMINIONは辛うじて開催!大会完全報告

[週刊ファイト6月17日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼弱り目に祟り目の新日本★DOMINIONは辛うじて開催!大会完全報告
 photo & text by 西尾智幸
・弱り目に祟り目な新日。平日に延期も城ホールのワースト記録は免れる
・高橋ヒロム、全治半年だった大胸筋断裂の完治を報告
・10人タッグは、人数多すぎて印象が残らない
・内藤哲也&SANADAがタッグ王座に色気。然しタイチは次期挑戦者に川田&田上指名
・鬱憤は晴らせたか?! デスペラードは、王者の貫録が出てきた
・YOHはプランチャ、トペコン、ミサイルキックと飛んで飛んで飛んで、円広志状態
・飯伏幸太、ジェフ・コブの抗争に本家の膝でピリオド。
・空位のIWGP世界王座戦!鷹木がオカダを制し第3代王者に!
・王者鷹木の逆指名を受けた、ちょいワル飯伏がカッコいい。
・誰も喜ばない乱入劇がなかった大会。ストレスゼロで帰りは快適!


 中々コロナから抜け出せない世の中で、大阪や東京は各団体の大会中止も多くなっている。更に6月20日まで緊急事態宣言の再延長で、大阪の土日興行は無観客要請が出た為、やむを得ず中止かと思われた今年のDOMINIONだが、翌の7日の月曜日に平日開催する事で、なんとか開催にこぎつけた。
 察するに、テレ朝2チャンネルの生放送がある事(放映料が入る)。また、平日になった事で会場費が安く抑えられた事、いつも天井から吊り下げられている大型の円形モニターを無くした事(経費削減)などで、延期しても興行する価値有りとの判断に至ったのではないか?

 大阪城ホールの場合、今回は上限5,000人が適用されるが、平日に移行した事で行けなくなった人の払い戻しは8日からで、当日はどの席が来ないか不明の為、再販出来ず空席のままになる。歯抜け状態は想像出来たが、実際開始10分前でも、歯抜けどころか、会場は悲しい程、ガランとしていた。
 しかし、18時開始なので仕事を終えてから、途中で来られたような方も多かったようで、最終的には3,045人の観衆が集まり、今年2月27日(土)の同会場ワースト記録1,846人はゆうに超え、急な平日への変更を考えれば、まずまずの結果となった。

 そもそも新日は、5月からは攻めの姿勢だった。博多2連戦からビッグマッチが続き、勢いに乗っていく筈だったと思うが、博多は開催されたものの、5・15横浜スタジアム、5・29東京ドームが延期になり、6・4の大田区は中止となった。
 また、その博多初日の3日には、新日内でクラスターが発生し、多くの選手がコロナに感染。
 更に、IWGP世界王者のウィル・オスプレイが怪我を理由にタイトルを返上。予定が次々と狂ってしまう。
 まさに、弱り目に祟り目で、カードの再編成も大変だっただろう。

 そんな逆境の中で、行われる事になった今年のDOMINION。その空位となったヘビー級の王者決定戦を目玉に、王者デスペラードも陽性反応の為、お流れになっていたジュニアヘビー級戦、飯伏幸太とジェフ・コブの因縁の対決が行われた。
 ここのところ、客離れも多くなっている新日の真価が問われる大会でもあると記者は思うが、果たして、試合内容は? 観客の反応は?
 全試合の詳細報告、また感じた事を素直に書かせて頂きたいと思う。

オープニングで高橋ヒロム登場! 大胸筋断裂完治を報告

■ 新日本プロレス DOMINION 6.6 in OSAKA-JO HALL
日時:6月7日(月)18:00
会場:大阪・大阪城ホール
観衆3,045人(主催者発表)

 まず、オープニングで高橋ヒロムがダリルとナオルを抱いて元気よく登場!

 「今日はご報告があります。この痛めていた大胸筋断裂のケガですが、無事完治致しました!」と今年2月19日の盛岡大会で負傷し、全治約半年と言われた大きなケガであったが、予定より早くの復帰宣言! 会場にも祝福の拍手が起こる。
 そして、本日の注目の試合として、3大シングル戦を独自の目線で解説。ハイテンションで会場の空気をあたため、第1試合へと繋ぐ!

<第1試合>
エル・ファンタズモ
〇石森太二
チェーズ・オーエンズ
高橋裕二郎
EVIL
 11分50秒 ブラディークロス⇒片エビ固め
●SHO
YOSHI-HASHI
石井智宏
後藤洋央紀
棚橋弘至


 CHAOS&本隊棚橋弘至vs.バレットクラブの図式。開始早々、棚橋をからかうようにエアギターを場外に投げるオーエンズに、棚橋はヘッドロックより強烈なテキサスブルドーザー、振り返りざまのボディーアタックと果敢に攻める。その後も、ファンタズモがトップロープからの長距離ダイブしてる時のカッコよさと、結局飛ぶ意味があったのか、ただ背中を引っ掻いただけのダサさに笑ってしまう攻撃があったりする中、10選手ゆえ、特に見どころもなく試合は終わってしまった感じ。
 最後は石森がブラディークロスでSHO を仕留めた。
 後藤などは、最初のコーナーの印象しかなく、EVILもほぼやられてるシーンしか出てこないし、個々のインパクトが薄いのは否めない。というか、10人タッグに期待してはいけない(笑)。
 試合後は、EVIL&裕二郎&東郷で、後藤&石井&YOSHI-HASHIの6人タッグ王座への挑戦のアピールを行った。

<第2試合>
DOUKI
●ザック・セイバーJr.
タイチ
 11分31秒 オースイスープレックス
BUSHI
〇SANADA
内藤哲也

 10人から6人に減ると、同じ11分やれば、多少見どころが見えてくる。DOUKIとBUSHIのジュニア戦士の闘いも見応えがあったし、ザックとSANADAのテクニック合戦も面白い。

 内藤は佐藤レフェリーに、最後までちょっかいばかり出して、楽しんでいたが(笑)。
 終盤、ザックとSANADAが技の切り返し合い。そして、最後はザックのジャパニーズレッグロールクラッチホールドが決まったかと思いきや、SANADAが下から腕を極めて、変型のオースイスープレックスでフォール勝ち。オースイスープレックスって久々に聞いた(笑)。スープレックス=投げ技のイメージの中で、正調も腕を極めても投げずに、自分の腹の上を転がすようにし、ブリッジでフォールする地味な技。昭和では通じたが、2006年に丸藤正道が復活させたが、技が派手になった昨今では、単にタイガースープレックスの失敗と思われる残念な技。
 しかし、今回の攻防では、巧く生かされたと思う。流石、SANADAだ。最後は、内藤&SANADAがタッグ王者へアピール。長々と、4人楽しそうに立ち話をていたが(笑)、結局バックステージでタイチは「次の挑戦者は決めている・・・川田&田上組だ! おい新日本、伝えとけよ、あつらに」と言い放った(笑)。

王者デスペがコロナ感染で延期のJr戦★その鬱憤は晴らせたか?!

<第3試合/IWGPジュニアヘビー級選手権試合>
[挑戦者]
●YOH
 23分40秒 ピンチェ・ロコ⇒体固め
〇エル・デスペラード
[第89代王者]
※デスペラードが初防衛に成功

 本来なら、5・4の福岡で行われる筈だったこのカード。王者デスペラードにコロナ陽性反応が出た為、お預けとなってしまった。(この当時は、誰がかかったのか名前は伏せられていたが)

 2月にベルトを獲ってから、段々王者の風格が出てきたなと思うデスペ。
 ケガでベルトを返上した、前王者高橋ヒロムの復帰が発表されたこの日、何としてもYOHに勝利し、ヒロムとの真の王者の決定戦を行いたいところ。そういう意味でも、絶対落とせない一戦。

 ロックアップからスタートし、ヘッドロック、アームホイップなど、ベーシックなムーブが続くが、一旦場外に出ると、デスペがレフェリーの死角をついて、YOHの古傷がある左脚に椅子を叩きつける。
 そこから、リングに戻っても、左脚に攻撃を絞るが、YOHもエルボーで反撃すると同じく脚に的を絞り、逆回転のドラゴンスクリューやスピニングトーホールドを見舞う。
 今度は、投げ技で容赦なく攻めるデスペ。

 しかし、すぐさまYOHは、プランチャ、ノータッチ・トペ・コン・ヒーロ、ミサイルキックと、飛んで飛んで飛んで! 円広志状態(笑)。

 その後も、大技のやりとりは続くが、お互い決定打にならず。
 しかし、その流れを断ち切ったのは、一度は阻止されたものの、やはりトドメとなったのは、デスペのピンチェ・ロコ。これで、YOHは3カウントを聞かされた。

 試合後、石森とファンタズモがリングに上がり、まずファンタズモがタッグ王者のYOH&SHOにマイクアピール。更に、途中でそのマイクを奪い、石森がコーナーに座りこんでいるデスペに挑戦表明をした。

 試合後、リングを降りるまで座り込んでいたデスペを見て、試合の激しさを感じた。コロナ感染後、まだ体調が万全ではなかったのかもしれないにしろ。
 また、デスペのマイクは、ストレートで入ってきやすいし、とても人間味を感じる。その中にちょっぴりユーモアがあるのもいいし、人気が上昇してきているのも頷ける。

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