[ファイトクラブ]予定調和崩しこそIWGPの真骨頂 世界ベルト戦線開始でいざスタジアム決戦 新日本

[週刊ファイト4月15日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼予定調和崩しこそIWGPの真骨頂 世界ベルト戦線開始でいざスタジアム決戦
 text & photo by TERUZ 新日本4・4両国レポート
・Xはアーロン・ヘナーレ エンパイア軍のテーマは「脱・自己犠牲」
・ピアノの旋律とともに六本木復活 欠場明けYOHいきなりタッグ戴冠
・「呪われたIWGP」継承 世界ベルト初防衛戦は飯伏が猪木ばり失神
・後楽園苦戦も両国満員ツンデレ新日本 仕掛け続けてこそプロレス
・5・4福岡「オスプレイvs.鷹木」勝者にオカダが5・29ドームで挑戦


■ 新日本プロレス SAKURA GENESIS 2021
日時:4月4日(日)17:00
会場:東京・両国国技館 観衆4484人(主催者発表)

 ファンが総反対状態だった新王座「IWGP世界ヘビー級」誕生。IWGPヘビーとIWGPインターコンチネンタルの統合による新ベルトの初防衛戦がついに4・4両国国技館大会にて開催となった。年始ドーム決戦で2冠王者となり初代統合王者となった飯伏幸太が、ニュージャパンカップ覇者であるウィル・オスプレイと対峙したメイン。緊急事態宣言解除後初のビッグマッチで新日本プロレスが魅せた闘いとは!? 現地写真をまじえてレポートする。

 
Xはアーロン・ヘナーレ エンパイア軍のテーマは「脱・自己犠牲」
 

<第3試合>
ジェフ・コブ
グレート-O-カーン
○アーロン・ヘナーレ
 9分51秒 Streets of Rage⇒体固め
●SANADA
鷹木信悟
内藤哲也

 ファンの間で予想合戦が繰り広げられてきたが、ユナイテッド・エンパイアのXとして登場したのはトーア・ヘナーレあらためアーロン・ヘナーレ・ヘナーレだった。前哨戦シリーズでヘナーレの不穏ぶりはクローズアップされてきたため、きわめて順当。それでいてファンを掌に乗せたように盛り上がるため、いつもながら新日本としては万々歳な展開となる。ヘナーレは技を絞りつつ自軍サポートを得ながら、いきなりSANADAを突破してみせた。

<ヘナーレ バックステージ>

ヘナーレ「5年間、ホンタイでやってきたが、きっとファンのお前たちには俺が日々どれだけの努力を重ねて来たのか想像もできないだろう。タナハシもマカベも誰も責めるつもりはないが……いや、もしかしたらあいつらの後ろに隠れていなければ……いいや、責めるべきは自分自身だ。ずっと自分で自分を抑えつけていた。本当の自分の姿を見せられずにいた。

(本隊として)求められるイメージに合わせないといけないとばかり思っていた。でもそれが間違っていたんだ。自分を偽ってまで他人が望む自分を演じる必要はない。今日拍手が聞こえたけど、2週間前の俺はファンから拍手なんてもらえなかった。それぐらいみんなに注目されてなかった。興味を持たれるのは(マオリ族の民族舞踊の)”ハカ”だけ。でもこれからはもう自分を偽らない。

俺の人生で戦いより大事なものはない。本当の俺はこんなもんじゃない。俺はもっと危険だ。(カメラに向かって)何だ、また俺のコメントをカットしようってか? やっと自分の進むべき道がわかった。その道は、血と金と栄光で覆われている。それがUNITED EMPIREだ!」

<オスプレイ 一夜明け会見>

オスプレイ「この俺がユニットはすべてにおいて信頼関係、忠誠心によって成り立っている。そして、その忠誠心というのは仲間内だけではなく、新日本プロレスに対する忠誠心というものも含めて大事にしている。ジェフ・コブ、グレート-O-カーン、そしてアーロン・ヘナーレ。自分自身、この4人とは日本に引っ越してきて、ともに過ごしている時間も含めて強い絆で結ばれている。一つ、自分がほかの外国人レスラーと違うのは、オーストラリア、アイルランドなど英語圏から参戦してくるレスラーはたくさんいるが、俺は本当の意味でこの日本に自分自身の人生を賭けるために引っ越してきて、少ないリスペクトしか得られないとわかっていたとしても、そういったところも含めて、俺はすべてを賭けてここに来ている。ただお金のためとか、環境を整えるためとかではない。

そんななか、俺はもうすでにファンに頼ることもなく、そしてこの会社に頼ることもなく、ゴングが鳴ったあとのリングで自分自身だけを頼りにこのベルトを獲得することができた。そして、UNITED EMPIREのメンバーであるこの4人は、『もう自分たちを犠牲にするのはやめよう』という結論に至った。そのうえで、いま俺が新日本プロレスの頂に立っている。ユニット設立から1年足らずでこのベルトを獲得したというのは、そういった4人の大きな決意から成り立っているものだ。」

 エンパイア軍のテーマは「脱・自己犠牲」。さらに言うなら、本当の意味での新日本プロレスへの忠誠となる。オスプレイが「ともに過ごしている時間も含めて強い絆で結ばれている」としたが、メンバーのコメントの一貫性にもそれが現れた。これからとなるヘナーレの本領発揮を含めて、エンパイア軍の快進撃が期待される。

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