UFC 260:ヘビー級の新王者誕生! ガヌーがミオシッチをノックアウト

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 日本時間3月28日(日)、アメリカ・ネバダ州ラスベガスのUFC APEXを舞台にUFC 260が開催され、メインイベントで実現したスティペ・ミオシッチとフランシス・ガヌーのヘビー級タイトルマッチは、ガヌーがその強力なパワーをいかんなく発揮してミオシッチをノックアウトし、新王者に輝いた。タイロン・ウッドリーとビセンテ・ルーケが対戦したセミメインイベントのウェルター級マッチはルーケがウッドリーからタップを引き出し、一本勝ちを収めた。

■ UFC 260:ミオシッチ vs. ガヌー2
日時:現地時間2021年3月27日(土)、日本時間28日(日)
会場:アメリカ・ネバダ州ラスベガス/UFC APEX

【メインイベント】
<ヘビー級タイトルマッチ 5分5ラウンド>
○フランシス・ガヌー
 2ラウンド(0分52秒)KO
●スティペ・ミオシッチ

フランシス・ガヌー
「最高だ。この感覚はとにかく最高。人生でずっと欲しかったものを想像して、それを手に入れるために苦労して、ときには溺れそうになりながら、もがいて這い上がってきたこともあるけど、今こうしてここにいる。俺たちはやったんだ。本当に最高。自分の感情を整理して実感するには時間をかける必要がありそうだ。今はいろいろな感情があるからね。それが一番大きくなりそう。実感するだけの時間がまだないってことさ。もちろん、最高の気分だけど、今はそれ以上考えられない。頭の中は今ここにいるってことだけ。ああ、なんて最高なんだ。感情や、みんなの思いを考えると特にね。ベルトだけじゃなく、それが何を表しているかも重要だ。理念であり、倫理であり、夢であって人生でもある。俺の後ろにいてくれる人たち、自分の夢と旅路に加わってくれた人たち、俺のことを信じて目標を達成するために必死になってくれた人たち。それがすべてだ。自分自身なんてはるかに超えるものだ。たとえ、タイトルマッチじゃなかったとしても、スティペとは再戦したかった。2018年1月に彼に負けて以来、ずっと彼を相手にタイトルマッチがしたかった。リベンジしたかったし、彼の経歴が物語っているように、彼は史上最高だし、そこで名を挙げられたらいいことだろ。自信はかなりあった。もちろん、自分が背中からダウンしたくなかったのもあるけど、彼をテイクダウンすることさえ考えていたんだ。ずっと力を入れて取り組んできたことだし、グラウンドゲームでもグラップリングでも彼を手こずらせられる自信はあった。彼の倒れ方を見るとケガをしているんじゃないかと思ったけど、彼はタフだから、絶対にチャンスを与えたくなかった。だから追撃した。今日は俺のためだけじゃない。全員のもの。汗をかいてくれた人たち、信じてくれた人たち、世界中の人々、俺のファン、信じてくれたみんなのものだ。それがとても重要だと思っている。そういう人たちが必要なときに力を与えてくれるし、疲れてトレーニングをサボりたくなったときにはモチベーションを高めてくれる。喜んでくれていると思うよ。母に電話したところなんだ。話せなかったけどね。今はカメルーンにいる誰とも話せる気がしない。やばいことになりそうだからね。最高だ。いい意味でクレイジーだ。前回は悪い意味でたくさん涙を流したけれど、今は幸せの涙だ。次はどうするか? ジョン・ジョーンズだろうね。彼がきて、その試合について話したばかりだから。実現させよう」

【セミメインイベント】
<ウェルター級マッチ 5分3ラウンド>
○ビセンテ・ルーケ
 1ラウンド(3分56秒)サブミッション(ダースチョーク)
●タイロン・ウッドリー

ビセンテ・ルーケ
「でかい1勝だ。ものすごく興奮している。頭の中にこのビジョンがあった。このためにトレーニングしてきたしね。でも、それが実際に現実になると違う。もっともっとエキサイティングで爽快だ。今回の勝利はものすごく興奮している。俺は常に対戦相手のベストを引き出す傾向があるから、誰に対しても過小評価せず、ベストバージョンの相手に備えることにしている。今日もそうだ。ウッドリーはきっと過去の試合よりもアグレッシブにくるだろうと思っていたし、実際、いい右を当ててきた。そういう試合になると気づいたときは、“よし、やってやろうじゃん”と思ったよ。そういうのには慣れている。これが俺のホームだ。戦闘が好き。最高だったし、どでかい勝利だ。彼に打たれて少しバランスを崩したとき、相手が3人いるように見えていたけど、いずれにしても向こうが積極的にノックアウトしてこようとしているのはなんとなく分かっていたんだ。対戦相手にカウンターをしかけるならそれが絶好のチャンスになる。だから、俺はしっかりと立って、相手のショットが見えたら同時に打っていくつもりだった。それがうまくいったのさ。向こうがオーバーハンドを打ってきたから、こっちは頭をかがめて右でいった。それが最初の一発で、向こうは倒れたし、その後は何発か打って気絶させ、最終的にはグラウンドに連れ込んだ。ノックアウトを狙っていたんだけど、あのサブミッションがいけると思ってそうした。まずは家に戻って妻と時間を過ごす。もうすぐ初めての息子、俺の初めての子供が生まれるんだ。その瞬間を楽しみたい。今はその瞬間に立ち会いたいし、いくらか休みもほしい。それにふさわしいとも思っている。その後はこの階級のトップを目指していくつもり。元チャンピオンを相手にこういう形で勝利できたから、トップ5の相手とやれるチャンスになると思う。もしそれがうまくいかず、ディアスが復帰したいというのなら、それも最高の試合になりそうだな。ネイト・ディアスとなら喜んでやるよ。彼のスタイルは最高だと思うし、ずっと楽しませてもらってきた。最高のマッチアップになるだろうね」

【メインカード】
<バンタム級マッチ 5分3ラウンド>
○ショーン・オマリー
 3ラウンド(3分52秒)KO
●トーマス・アウメイダ

ショーン・オマリー
「とても満足している。いろんな人にいろんなことを言われた。8カ月間、それに対応してきたし、メッセージをもらったり、そういうことを言ったり。俺の足を狙おうとしていた優れたキックボクサーを相手に戦えて・・・いいパフォーマンスだった。みんなを黙らせることができてうれしいよ。まあ、そういう人たちが黙ることはあるのかって話ではあるけど、でもいい気分だ。試合になったら流れるようになる。3ラウンドもできてよかった。第2ラウンドでフィニッシュするつもりだったんだけどね。試合前には1ラウンドで倒して2ラウンドでやっつけようと思っていた。トーマスはタフだし、本当に手強くて尊敬もしているけど、3ラウンドを戦えたことはいい気分だった。何をもっていいパフォーマンスと言うのか分からない。エディ(ワインランド)戦のように殴られなきゃいいのか。ちょっと殴られるのか。自分の試合をたくさん見た。振り返って、ホセ(キノネス)の試合も、エディの試合も見た。その試合はかなりあっという間だったけど、今回はしっかり見直せるね。戻って振り返るのが楽しみだよ」

<女子フライ級マッチ 5分3ラウンド>
○ミランダ・マーベリック
 判定3-0(27-30、28-29、27-30)
●ジリアン・ロバートソン

ミランダ・マーベリック
「私は自分にかなり厳しい。戻って試合を振り返ってみないと。第2ラウンドでは明らかにミスした。正直、どうやってテイクダウンされたのか具体的には覚えていないの。サブミッションはうまく防げたけど、もう少し早く形成を逆転してマウントを取りたかった。自分にその力があるのは分かっているけど、彼女のゲームプランが一本を取りに来ることだと分かっていたから関節技を受けないように慎重になっていたの。それはそれとして、打撃はかなりうまくいったわ。もっともっと自分の力を発揮して次の試合ではさらにいろんな技を身につけ、カーディオを改善させたいと思っている。私にしてみれば、すべてのラウンドを取ることには慣れているから、頭の中では“OK、たとえ数秒打たれたとしても、あきらめないこと、ダメージを受けないように。あきらめずに戦い続けよう”って感じだったわ。なんとか立ち上がれたし、グラウンドを脱したらすぐにパンチを打ち続けて攻撃していった。もう一度、彼女をテイクダウンできたから、それは良かったと思う。試合中に自分を責めてしまうという自分の精神的なハードルを乗り越えるようなものね。ひとつは年齢について言われること。若くて前途洋々というのはいいんだけど、ダメだったときの言い訳にはならないと思う。メイシー(バーバー)もとても若いし、UFCには若くして活躍しているファイターが何人もいる。私も、ただ持ち上げられるんじゃなくて、そういう存在になりたい。自分が有望株であること、その力があることを証明したい。ただ、もしかしたら若さは関係ないかもしれないけれど、このスポーツに長く携わっている人たちよりも、私の方が素早く戻って何かを変えたり、改善したりできるという事実はあると思っている。5年やって、まだ強くなっているから、とてもうまくやれているんじゃないかしら。自分がかなりなんでもできるってことを示せたと思う。テイクダウンディフェンスのことをよく酷評されるけど、それだけじゃなくて、テイクダウンを仕掛けていけるんだってことも示せたはず。私にはレスリングがあるし、打撃だってあるから両方を兼ね備えている。UFCのデビュー戦ではその一部しか見せられなかった。みんなは過去の試合なんて見ずにそこだけ切り取っていく。でも、基本的に私は何でもうまくできるし、もっと成長して強くなれる。私よりも経験豊富な人たちとだって戦えるわ。他のインタビューでも何度か言ったけど、ワレンチナ・シェフチェンコは誰もが目指す先にいる。私はUFCデビューのときに批判された。“すでにチャンピオンを指名している”と。私にしてみれば“そうじゃない”の。2年以内にワレンチナとタイトルをかけて戦えるようになりたいってそう言ったの。今でもその気持ちに変わりはないし、まずは彼女のお姉さんとやりたい」

<ライト級マッチ 5分3ラウンド>
○ジェイミー・ムラーキー
 1ラウンド(0分46秒)KO
●カーマ・ワーシー

ジェイミー・ムラーキー
「とても気分がいい。ホッとしたのはもちろんだけど、UFCデビューをどういう風に飾りたかったかってことは考える。思い通りとはいかなかったけど、これでいい。これが俺の戦い方。こういう形で自分のスキルを発揮できたことに興奮している。反応を見ていたんだ。鋭いジャブを打ってきたから、相手のパワーを気にしていた。彼はとても強いパワーを持っている。経験も豊富だ。それも考慮に入れていたこと。相手は経験豊富なベテランだからね。相手の反応をうかがうためにフェイントをかけたり、右から左のフックを出したりしていたけど、それがキレイに決まった。おもしろいことに、試合が近づくにつれて安心感が増していった。不思議なんだけど、試合が近づくと自信がわいてきた。ブラッド(リデル)は彼の試合当日の朝に中止になって、アレックス(ボルカノフスキー)の試合が中止になったときは自分が仕事をやり遂げないとと思ってモチベーションが少し上がったんだ。あれが自分を奮い立たせた。できるだけ早く試合に戻りたい。巻き返さないといけない。ケガで1年休んでいたし、2020年は出だしでくじかれた。その埋め合わせの時間が必要だ。もしかしたら、アレックスがベルトを防衛しようというタイミングでやるかもしれない。気分はいいよ」

ファイト・オブ・ザ・ナイト:

タイロン・ウッドリーvsビセンテ・ルーケ

パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト:

フランシス・ガヌー

ショーン・オマリー