ケン・片谷『メシとワセダと時々プロレス』70[ファイトクラブ]大波乱の3・21WWS寄居大会

[週刊ファイト4月1日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼ケン・片谷『メシとワセダと時々プロレス』70
 大波乱の3・21WWS寄居大会
・乗り合いで巡業気分を味わう
・ラーメンマン大奮闘!
・中間管理職? ケン・片谷
・ボンバー力抜岩、誕生日おめでとう!
・雷神矢口と語る東日本大震災
・ようやく果たされた約束
・誰得? バレバレの“X”
・プチ減量で臨んだ試合

会場使用自粛! どうなるWWS伊勢崎大会!? 大波乱の予感 果たしてお客さんは来るのか?


 今回は、3月21日に行われたWWS埼玉県寄居町大会の様子をお届けします。

 東京を含む一都三県で、コロナ禍による緊急事態宣言が解除されたこの日。埼玉県の片田舎でドタバタのプロレス興行が行われていたことを、いったいどれだけの日本人が知っているでしょうか(笑)。

 この大会は当初、WWSのお膝元群馬県伊勢崎市で行われる予定でした。毎年定期的に開催されてきたWWSの伊勢崎市大会ですが、折からのコロナ禍の影響もあり一昨年を最後に行われていませんでした。久しぶりの“WWS伊勢崎凱旋”にチケットの売り上げも好調だったのですが、大会直前にまさかのアクシデントがWWSを襲います。

 世界中に猛威を振るった新型コロナウィルス蔓延から一年以上が経過しました。
東京やその近隣県に先駆け、既に群馬県は緊急事態宣言から脱していたので、予定通り大会は行われるはずでした。

 ところが…。
 大会一週間前になって、伊勢崎市から突然下った自粛要請!
 会場となる伊勢崎市第二市民体育館は伊勢崎市の持ち物であるため、新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から集客を要する使用を認めないと言ってきたのです。
 しかし、大会告知はもちろん、もう既にチケットは販売していますし、伊勢崎市の繁華街を歩けば至るところに大会ポスターが貼られています。大会を心待ちにするファンがいる限り、今さら興行を中止にするわけには行きません。

 ところが、文字通りお役所仕事しかできない伊勢崎市の立場からすると、『市民の安全』さえ謳っていれば、興行のことやファンの気持ち、ひいては我々プロレスラーの生活のことなどどうでもいいことなのです。

 そこで打ったWWSの苦渋の決断は、『会場を変更してでも大会を行う』でした。北関東には、『マジックボックス』というリング常設会場があります。マジックボックスの代表で、WWSの常連でもあるMASAMI選手の協力により、急遽ここで行われることになりました。

 しかし、問題は山積みです。マジックボックスは、埼玉県の寄居町に位置しています。ハッキリ言ってしまえばど田舎です(笑)。隣県とはいえ、群馬県伊勢崎市からのアクセスもかなり悪いです。急な会場変更で、伊勢崎市のお客さんからキャンセルが出る可能性は大です。
 WWSは地域から愛されている団体なので、地元のお客さんが多数を占めます。このお客さんが一斉にキャンセルしてしまったら、団体は大赤字を被ることになってしまいます。

 悪いことは重なるもので、当日は朝から激しい雨が降っていました。風もかなり強いです。無情にも、天気予報よると一日中こんな天気が続くそうです。会場変更に加え土砂降りとなると、益々当日キャンセルのお客さんが増えることが懸念されます。

 現場のそんな心配もよそ目に、オイラは会場に向けて出発しました。今回は、WWSのパンサーキッド選手と鶴巻伸洋選手と乗り合いです。怪我で長期欠場していた鶴巻さんは、久しぶりのWWS参戦です。リングスやW☆INGで活躍された、総合格闘技からデスマッチまで何でもこなす大ベテランです。
 道中では、プロレス界の表話から裏話、はたまた業界に真しやかに伝わる“プロレス都市伝説”まで、とにかく話が尽きませんでした。あまりに楽しくて、長い道中もあっという間に時間が過ぎてしまいます。
その様子は、まるで巡業バスの中のよう。最近では長期の地方巡業も珍しくなったので、少し懐かしい思いがしました。

 会場に到着しても、代表のラーメンマンさんの姿がありません。
 何でも、元の会場であった伊勢崎市第二市民体育館でチケットのキャンセル対応に追われているそうです。ポーゴさん亡き後、ラーメンマンさんはWWSを潰すまいと必死に頑張って来られました。今回の急なアクシデントは、ラーメンマンさんの上に重くのし掛かったことでしょう。

 選手の間でも、『こんな状況でお客さんは来るのか?』 という声が上がり始めました。お客さんが来なければ興行は大赤字となり、最悪選手のギャラが支払われないという事態にもなりかねません。そうなると、選手にとっては死活問題です。

 雨は益々強くなる一方。果たして、無事に大会は行われるのでしょうか?

 控え室に入ると、兜山リングアナウンサーが血相を変えてオイラに近づいてきました。
『片谷さ~ん、助けてください!』
 挨拶もそこそこに、何やら兜山さんがオイラに助けを求めてきたのです。

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