1.31 大阪 DEEP☆KICK 50激闘! メイン-70kgタイトルは籔中謙佑が僅差防衛!!

 1月31日に大阪で行われた『DEEP☆KICK 50』公式レポートと画像が到着したのでお届けする。

ダブルメインイベント2は籔中謙佑が判定1-0でのドロー防衛

■ DEEP☆KICK 50
日時:1月31日(日) 開始16:00
会場:大阪・泉大津市・テクスピア大阪

 コンスタントに興行を打つことで、関西キックの核となりつつあるDEEP☆KICK。新春第1弾興行は昼の部をミネルヴァにすることで、夜の部は-70㎏級と-57㎏級の2大タイトルマッチを軸に、これからキック界で這い上がろうとする西日本在住の選手たちの熱い闘いが繰り広げられた。次回51&52大会は4月11日DEEP☆KICKの聖地・テクスピア大阪で開催される。
(文・布施鋼治/写真・花井康成)

<ダブルメインイベント2 DEEP☆KICK-70kgタイトルマッチ 3分3R>
△籔中謙佑(KUMAGYM)
 判定1-0(29-29、29-28、29-29)
△慎太郎(teamBonds)
※籔中謙佑が初防衛に成功

 新春第1弾興行のトリは王者・籔中譲佑(KUMAGYM)に慎太郎(teamBonds)が挑戦するDEEP☆KICK-70㎏級タイトルマッチだった。
 両者は昨年2月9日に初対決。そのときは引き分けに終わっている。

 1R、攻勢に出たのは慎太郎の方だった。ヒザ蹴りやミドルキックで籔中のボディに集中砲火を浴びせたのだ。それでも、王者はポーカーフェースを貫いたが、試合後にはダメージがあったことを打ち明けている。
 2R、圧が強くなった籔中に対して、慎太郎は右フックやローキックを返していく。そんな挑戦者に対して、籔中は右ボディストレートで削りに出た。セコンドからは
「パンチはいいから蹴ろ」
という指示が出ていたが、籔中は足が出ない。オープンスコアは2者が1ポイント差で慎太郎を支持した。

 もうあとがない籔中は3Rになるとさらに距離をつめ乱打戦へ。慎太郎はなんとかサバこうとするが、藪中の必死のプレスに押され気味。そうした中、慎太郎をロープに詰めた籔中は伸びのあるワンツーを何度かヒットさせ、土壇場で試合の流れをたぐり寄せた。

 ジャッジは1-0(籔中)でドロー。勝利こそ収められなかったが、籔中が王座防衛に成功した。

 同じ相手に2試合連続引き分けたことで、籔中は
「自分は進歩していない気がする」
と肩を落した。
「挑戦者は右の前蹴りで距離をとろうとするなど、前回とは違うことをしようとしてきた。逆に僕は距離を詰めようとしていたので、その部分で噛み合っていたんですけとね」
 さらに、藪中は
「最近はボクシングの元世界王者の長谷川穂積氏にボクシングを習っている」
ことを打ち明けた。
「だいぶ伸びたと思うけど、そこからのつなぎが課題。なかなかスパー通りにはいかない。僕はRISEでの戦績がメチャクチャ悪いので、今年はRISEのリングで過去の自分と決別したい」
 昨年12月緑川創を破った憂也同様、籔中もRISEで大化けすることができるか。

<ダブルメインイベント1 DEEP☆KICK-57.5kgタイトルマッチ 3分3R>
△宮崎就人(TARGET)
 判定0-1(29-29、29-30、29-29)
△山田直樹(KSS健生館)
※宮崎就人がドロー防衛に成功、暫定から正規王者に
ダブルメインイベント1 宮崎就人 VS 山田直樹

 籔中vs.慎太郎同様、宮﨑就斗(TARGET)vs.山田直樹(KSS健生館)のDEEP☆KICK-57.5㎏級タイトルマッチもサイドストーリーに事欠かない一戦だった。
 というのも、もともとこの顔合わせは昨年9月開催のDEEP☆KICK47で組まれる予定だった。しかし、山田が盲腸となりドクターストップ。急きょ試合は中止となったため、宮﨑が暫定王者に。3カ月後に結婚した宮﨑にしてみればラッキーな戴冠劇だったが、納得できるわけもない。そこで今回は仕切り直しの正規王者を決める一騎討ちとなった。

 宮﨑がサウスポーならば、山田はオーソドックス。
 1R、宮﨑が左ストレートからミドルキックを放つと、山田は蹴り足を掴んで次の一手を狙おうとする。ラウンド終了間際、宮﨑はテンカオを決め、印象点をたぐり寄せる。
 2R、宮﨑は左の攻撃で前に出れば、山田は右の攻撃を返す。試合は完全にシーソーゲームに。
 3R、宮﨑は先手必勝とばかりに最初から仕掛ける。お互い下がらないインファイトとなるのに時間はかからなかった。そうした中、山田は離れ際にハイキックを狙うなど、際に勝負をかける攻撃が目立っていた。これが好印象だったのだろう。結局、判定は0-1(山田)でドロー。


 辛くも王座防衛に成功するとともに、第2代DEEP☆KICK同級王者に就いた宮﨑は
「ベルトは戻ってきたけど、全然うれしくない」
と首を左右に振った。
「とくに後半は自分の調整不足があったのかと思います。思ったより動けなかった」
 晴れて正規王者になったとはいえ、宮﨑はまだ試合の出来不出来が激しい。次の防衛戦が正念場になってくるか。

<セミファイナル DEEP☆KICK-55kg挑戦者決定トーナメント決勝 3分3R 延長1R>
〇麻太郎(NJKF健心塾)
 判定2-0(30-29、29-29、29-28)
●翔磨(多田ジ厶)
※麻太郎が-55kg次期挑戦者に決定

 大会前、対戦相手の印象を聞くと、ともに
「友達なので」
と口を揃えた。セミファイナルに組まれた麻太郎(NJKF健心塾)と翔磨(多田ジ厶)による-55㎏級挑戦者決定トーナメントは非情な友人同士の激突となった。

 麻太郎はハイキックを得意とするのに対して、翔磨はジャブと左ミドルを十八番とする。最初に仕掛けたのはたくさんの応援団を従えた麻太郎の方だった。1R半ば、右の三日月蹴りとストレートの連打で攻勢に出る。しかし2R終盤になると、翔磨は乱打戦に持ち込み、逆に麻太郎に圧をかける。
 続く3Rになると、麻太郎は笑顔で翔磨をハグすると、そのまま右ミドルからハイ。翔磨は右フックを狙うが、両者には6㎝の身長差がある。それを活かす形で麻太郎はそのまま試合をまとめ、2-0の判定で翔磨を振り切った。




 現在、-55㎏級王者は拳剛(誠剛館)。
 試合後、マイクを握った麻太郎は
「4月11日にタイトルに挑戦させていただきます」
と宣言。さらにリングサイドで観戦していたRISEの伊藤隆代表に「DEEP☆KICKの王者になったら、RISEに参戦させてください」とアピールした。

<第7試合 DEEP☆KICK-57.5kg契約 3分3R>
〇村上真基(ROYAL KINGS)
 判定3-0(30-29、29-28、30-28)
●小田武司(NJKF拳之会)

 NJKFフェザー級1位で
「従兄弟の薦めで」
キックを始めたという小田武司(NJKF拳之会)がDEEP☆KICKに初出場。-57.5㎏級5位の村上真基(ROYAL KINGS)と激突した。
 小田はアトム山田(武勇会)に勝ったことで知られ、
「早く国崇先生と同じレベルに立ちたい」
と願っている。そのステップとしての参戦だった。

 果たして1Rの小田は右ストレートを中心に攻勢に出る。2Rになるとようやく村上も手数が増してくるが、動きが固い。
 勝負が動いたのは3R。2分すぎになると、村上は左のストレートとミドル。さらにとどめとばかりに左のテンカオを打ち込み、勝負を決定づけた。

<第6試合 DEEP☆KICK-60kg契約 3分3R>
●岩郷泰成(HIGHSPEEDGYM)
 1R 1分00秒 TKO レフェリーストップ
〇上野コウキ(直心会)

 試合前から第15代NKBフェザー級王者の岩郷泰成(HIGHSPEEDGYM)はケンカ腰に上野ユウキ(直心会)を威嚇しまくる。これまでに上野は2勝(1KO)3敗1分と負け越している選手なだけに、試合前から格の違いを見せつけたかったか。

 案の定、試合開始のゴングが鳴ると、岩郷は右のストレートやローで上野を押しまくる。そして右で先制のダウンといってもおかしくないスリップダウンを奪う。


 この攻防によって上野は覚醒したのか。立ち上がるや、岩郷と果敢に打ち合う。先にクリーンヒットしたのは上野の左。

ダウンカウントが進む中、岩郷は立ち上がってきたが、腰がフラついていたのでレフェリーは試合を止めた。劇的な逆転KOに上野は涙を見せた。

<第5試合 DEEP☆KICK-51kg契約 3分3R>
●清志(NJKF KTF)
 TKO 2R3分00秒 レフェリーストップ
〇大夢(WIZARD)

 ともに2勝同士のマッチメークながら、清志(NJKF KTF)には6戦のキャリアがある。デビュー以来大夢(WIZARD)は全勝で3戦目を迎えたわけだが、この日も長い手足を活かして1Rから右ストレートで清志に圧をかける。
 さらにパンチの3連打を打っても、大夢は軸がブレない。痛烈なワンツーをヒットさせると、清志のアゴが上がる。とどめは痛烈な右からの左で粘る清志をキャンバスに這わせた。

 これで3戦全勝。今後は寺山遼冴が王者に君臨する53㎏級に照準を絞るか。

<第4試合 DEEP☆KICK-57kg契約 3分3R>
●湧也(BOSS GYM)
 判定0-3(27-29、27-29、27-30)
○紀之定健真(BLACK☆Jr) 

 関西のアマチュアキックで腕を磨いてからプロに転向した者同士の一戦。地元岡山で日々汗を流す湧也(BOSS GYM)はボディへの攻撃を得意とする21歳。そんな相手に対して紀之定健真(BLACK☆Jr)は1Rからパンチの3連打を中心に攻勢に出る。湧也も左のクロスで逆転を狙うが、第1Rは紀之定のRだった。
 続く2R、湧也は得意のボディフックで試合の流れを逆に自分の方に引き寄せる。2Rまでのオープンスコアは1-0で紀之定。勝負は3Rにもつれ込んだが、ここで紀之定は右でフラッシュダウンを奪い、粘る湧也に引導を渡した。

<第3試合 DEEP☆KICK-63kg契約 3分3R>
〇中澤友(魁塾/ビンチェレあべの)
判定2-0(30-29、29-29、30-29)
●有馬伶弐(team Vertigo)

 目力の強さが印象的な中澤友(魁塾/ビンチェレあべの)はJTAテコンドー全日本選手権で3位に入賞した実績を持つテコンドーファイター。キックを始めたきっかけは
「テコンドーと違い、参加できる試合数が多いと思ったから」
だという。
 果たして中澤の蹴りは普通のキックボクサーとは異なり、サイドからのそれを多用してきた。しかもスタミナも十分。最初から最後まで攻め続けている印象だ。
 有馬伶弐(team Vertigo)は闘い辛そうだったが、左の攻撃で応戦したが、手数で中澤の方が圧倒的に上。土壇場で有馬は左ハイをヒットさせたが、時すでに遅し。中澤が判定勝ちを収めた。

<第2試合 DEEP☆KICK-57.5kg契約 3分3R>
〇濱田祐生(山口道場)
 判定3-0(30-28、30-28、30-27)
●祐輝(OU-BU GYM)

 この対決は濱田祐生(山口道場)に軍配があがった。1R、祐輝(OU-BU GYM)はスイッチを繰り返して相手を幻惑しようとするが、濱田は冷静に祐輝が入ってくるのを待つ。そして2Rになると、濱田は右のローで祐輝を攻略。足元をフラつかせる。3Rには右フックもヒットさせ、熱い対決に終止符を打った。


<第1試合 DEEP☆KICK-68kg契約 3分3R>
●KAZU(NJKF健心塾)
 3R 2分00秒 TKO ※レフェリーストップ
〇稲井良弥(TARGET)
第1試合 KAZU VS 稲井良弥

 四国出身で新空手のJAPAN CUPで優勝した実績を持つ稲井良弥(TARGET)がDEEP☆KICKに初見参。地元のKAZU(NJKF健心塾)と激突した。
 キャリアはKAZUの方が上だったが、稲井は1Rからワンツーで試合の流れを掌握。その後も攻撃をし続け、何度もKAZUを防戦一方に。とどめは右ストレート。KAZUは頭をボトムロープを枕にした格好で10カウントを聞いた。稲井はこれで2戦全勝(2KO)。


 これからの成長が楽しみな存在だ。

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