1・22新木場、SEAdLINNNGのリング上はやはりカオスが支配していた。
開始直後には予想されたスターダムの登場、大会終了後には、後楽園で伏線があった高橋奈七永突然の全ユニット解散宣言もあった。
そしてメインのSEAdLINNNG BEYOND THE SEA Tag Championship選手権試合が、渡米準備に入るSareeeの国内最終戦である事も、予め解っていた事だった。
今生の別れでは無い。
「日本の女子プロレスのスゴさを世界に魅せる」
「頑張れ」
と、万歳三唱で見送り、見送られるべき旅立ち。
だから武闘派で鳴らすSEAdLINNNGの涙は、予想の外だった。
「この1年間の経験があるから、世界に通用する自信が持てた」
レスキュードアニマルネットワークを訪ねたあとの囲み取材で、Sareeeはそう断言した。
ムダな事をしたくない若者気質ではなく、本心からの吐露だった事を、このメインイベントが証明してみせた。
「世志琥がSareeeともっと仲良くしてくれたらな…って思う」
そう高橋奈七永は、3年前を振り返った。
「世志琥とSareeeの出逢いは伝説だから」
とも言った。
去年、プロレスラーSareeeの第1章はピリオドを打ち、舞台は世界へ転じる筈だった。しかしコロナ禍によって生じたエキストラステージで、世志琥との「鬼に金棒」は誕生した。
二度と噛み合う事がないと思われた歯車が、運命の悪戯で再会し、1+1が無限の力を発揮した。急造の筈のユニットが最高に輝いた奇跡の1年間だった。
しかし今宵、世志琥とのタッグのベルトを置き土産に、Sareeeは日本での試合に一区切りを付けた。
プロレスなのに、否、プロレスだからこそ、旅立ちがこんなにも哀しい。
この夜の涙が、Sareeeが広める日本の女子プロレスそのものだった。
コロナ禍で、2020年は世界中暗い話題ばかりだった。
しかし鬼に金棒が、いつかこの1年間を振り返った時に、悪い事ばかりじゃなかったなという温もりをもたらしてくれるに違いない。
Sareeeからのメッセージ
「Sareee WWE カウントダウン、今日でファイナルとなります。
1年前に渡米すると言って…出来なくなってしまって…
スゴく不安になったこともあったし、落ち込んだこともあったんですけれども、こうやってSEAdLINNNGにまた上がらせてもらって…また新たに、日本に大切な仲間が出来ました。
世志琥も…あんなにうちら仲悪かったのに…こんなに今は仲良くなって、大切な存在になって…ああ…もう、離れなきゃないけいんだな、と思うとスッゴい寂しいし、まだまだ一緒にタッグ組んで、最強伝説を女子プロレス界に遺して行きたかったけど、それ、今日で終わってしまたけれど…今日はただの一区切りだと思っています。
奈七永さんと…間違えた、奈七永とも、中島さんとも、まだまだ、今日で終わりじゃないし、世界に行って、おっきくなって還ってくるので。また必ず、どこかのリングの上で逢いましょう。
そして、応援してくださった皆さん、あっちに行って、辛い時、どうしようもなく辛い時もあると思うけど、そんな時は、皆さんの顔を思い出します。そうすれば絶対に、どんなことも乗り越えられると思うので…
必ず、おっきくなって還って来ますので、それまで皆さん待っててください。本当にありがとうございました」
■ SEAdLINNNG~SHINKIBA NIGHT!~
日時:1月22日(金) 開始18:00
会場:東京・新木場1stRING
観衆:200人(感染対応での満員札止め=主催者発表)
大会の模様はSEAdLINNNG LIVEにて1月29日23:59までアーカイブ視聴可能
https://seadlinnnglive.com/
<メインイベント SEAdLINNNG BEYOND THE SEA Tag Championship 30分1本勝負〜世志琥10周年記念&Sareee渡米前最終試合〜>
[王者組]鬼に金棒
●世志琥 Sareee (WWE Count Down)
25分46秒 ワンセコンドEX⇒片エビ固め
〇高橋奈七永 中島安里紗
[挑戦者組]
※第7代王者組鬼に金棒、2度目の防衛に失敗。高橋奈七永&中島安里紗組が第8代王者となる
<第3試合 ユニット対抗タッグマッチ 15分1本勝負>
[MAX VOLTAGE]
△水波綾 青木いつ希(ショーンキャプチャー)
15分00秒 時間切れ引き分け
△小林香萌 笹村あやめ(2AW)
[世志琥組]
<第2試合 ハイスピード4WAYマッチ 20分1本勝負>
〇藤本つかさ(アイスリボン)
9分00秒 ビーナスクラッチ
●AKARI(PURE-J)
真琴は6分46秒につくしルールで禁止された技を使ったので強制退場
※つくしルール適用(当日発表)
※レフェリー 南月たいよう
あと1人は春輝つくし
<第1試合 シングルマッチ 20分1本勝負>
〇山下りな
11分27秒 胴締めスリーパー
●花穂ノ利
※詳しくは電子書籍版『週刊ファイト』、有料ページ『ファイトクラブ』にて