[ファイトクラブ]コロナ禍ビッグイベント理想形これが岡山開催モデル  1・17岡山ジム主催興行

[週刊ファイト1月28日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼コロナ禍ビッグイベント理想形これが岡山開催モデル
 1・17岡山ジム主催興行
 photo & text by 猫山文楽拳
・コロナ禍に覇者を誕生させた岡山ジムの偉業
・ぼっけぇ平松地元の大会でチャンプ白幡を判定で破り岡山に錦を飾る
・ベテラン喜多村プロフェッショナルファイターの凄み
・勝者吉田の足に残された奥足ローキックの壮絶痕
・テレビ放映スケジュール


 岡山県の新型コロナウイルス感染者数は、東京都に比べればはるかに少ないけれども、減少傾向にはなく、むしろこのところじわじわと増加の兆しがうかがえる。
 そうした中での、県下においておそらくもっとも大きな格闘技の興行ということで、取材に行くにあたり、県内であっても、人が集まる場所に出向くのは不安を伴うものだったが、主催の方の「このようなときに開催に踏み切るからには、万全の体制を取る。」との言を、信じることにした。
 実際現場に着いてみたら、それでなくても大きな会場で天井は高く換気も行き届いており、いわゆる地方ならではの、開放的な空間が維持されていた。
 最も驚いたのは、リング周りの匂い。病院の待合室に漂うあの匂い、そう、消毒液の匂いがこれでもかというくらいリング下に充満していたのだ。
 それというのも、リングと観客席の柵がこいされたはざまのスペースに、消毒液を噴霧する機械が数台セットされており、試合中も空気を徹底的に滅菌することで、選手も安心して試合が行え、リング下のスタッフや私たちカメラマンも不安なく仕事が出来る環境が確保されていた。

 受付でプレスパスとともに、パンフレットが手渡された。
 開けてびっくり、そこそこ厚みのあるパンフの中身2/3以上たくさんの協賛スポンサー様の広告で占められていたのだ。
 なるほどこれだけ支えがあればこそ、万全の感染予防対策も打てて、この厳しいご時世のなかで開催も可能なのだ。
 それでなくてもコロナ渦大恐慌下、スポンサーの方々の心を掴んで離さないとは、いかなる理由があってのことか。
 単に「やり手」だからであろうはずがない。
 会場の中に入ってまたびっくり、試合開始前からこれでもかという明るさが確保されていた。
 ギリギリ採算の興行は電気代を節約するために明かりを落とすから、照明が暗いという傾向が多々発生する。
 同じ体育館の興行でも、甲の団体の試合はめちゃめちゃゴージャスにきらびやかに光り輝いていたのに乙の興行はなぜだろう写真映りが悪かったなどというときは、観客動員数を比較してほしい。つまりは、そういうことだ。
 しょっちゅう強盗が入って困っていたコンビニが、蛍光灯を増やして店内を明るくしたところ、ぴたりと来なくなったという話は有名だ。
 暗いより明るいほうが人の心も前向きになるのと、隠れる場所がないところには心に後ろ暗いものを抱えた人間は寄り付けない。

 暗いと不平を言う前に進んで灯りを点けましょうという教えがキリスト教にもあったけれどもこれは確かに真理。
 贅を尽くし燦燦と輝くライトの下で存分に闘いを披露する姿にこそ値千金の価値があろうというものだ。
 そもそもステージが明るければカメラマンもストロボで光を補う必要などない。
 選手の安全を真剣に考える主催が、もとより満足に明るさを確保できない興行など打つわけがない。
 格闘技はなおさらだろう。
 
 13時30分。
 最上級の音響でオープニングを告げる音楽が鳴らされ、照明が色鮮やかに全開の明るさでリングと、花道を照らす。
 
 首都圏で大みそかに全国ネットでテレビ放送された、アレの華やかさがここ岡山で再現されようとしていた。
 その瞬間、協賛スポンサーの気持ちがわかった。
 夢への投資に見合った満足度。
 贅を尽くした空間の共有は、それを支える人間にとって、ステイタスであり誇りとなる。

 
 コロナ禍で、これでも規模を縮小したと、主催者は言った。

コロナ禍に覇者を誕生させた岡山ジムの偉業

■ JAPAN KICKBOXING 認定 第7回岡山ジム主催興行
日時 2021年1月17日(日)
会場 コンベックス岡山・大展示場(岡山市北区大内田675番地)

<第10試合 セントラルグループpresents 岡山 ZAIMAX MUAYTHAI 55kg賞金トーナメント 決勝戦 3分3回戦(延長1R)>
〇加藤有吾(カトウ・ユウゴ)/RIXIX/WMC日本スーパーバンタム級王者/54.6kg)
 判定3-0(30-24 30-24 30-25)
●壱・センチャイジム(イッセイ・センチャイジム/センチャイムエタイジム/JAPAN KICKBOXING INNOVATION/元ルンピニースタジアムジャパン認定バンタム級王者/54.85kg)
※1R、壱ダウン×2、3R、壱ダウン×1 
※加藤が「岡山ZAIMAX MUAYTHAI 55kg賞金トーナメント 優勝

【1R】
 準決勝で岩浪を下した勢いそのままに意気揚々として登場してきた壱とは対照的に、ごく淡々とした足取りの加藤

 壱が、神童さながらにトリケラトプス拳の構えで挑発しても眉一つ動かさず。

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