[ファイトグラブ]KNOCK OUT CHAMPIONSHIP.2 第1部&第2部で漂った神興行の残り香

[週刊ファイト9月24日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼KNOCK OUT CHAMPIONSHIP.2 第1部&第2部で漂った神興行の残り香
 Photo & Text by こもとめいこ♂
・第1部、クロスポイント吉祥寺が2KOで躍動したアノ人
・女子はTRY HARD GYM 2連勝! 
・第2部、渡慶次幸平キックデビュー戦は歯を折る激勝!
・渡慶次幸平はラウェイ王者!?紅闘志也氏による解説
・神興行の残り香が漂った後楽園ホールから考察するKNOCK OUT今後の展望。


 

 今週、最高に感銘を受けた「ファイター」をあげろと言われれば、9月12日にテニスの全米オープンを制した大坂なおみであろう。テニスの事は何も知らないし興味も無いが、理不尽に命を奪われた人種差別の犠牲者7人の名前を7枚のマスクにそれぞれ入れ、決勝まで全7試合を勝ち抜いたと聞く。
 北米の、警官による理不尽な暴力に端を発した一連の人種差別反対のBLM運動に呼応した形だが、元々テニス競技でもそういった政治的なメッセージ禁じられていた。
 8月、前哨戦だったツアーでボイコットを示唆し、運動への連帯を示す権利を勝ち取り、堂々と政治的なメッセージを世界に発信したのである。

 ハイチ人の父を持ち、3歳まで日本で育ち、2019年まで米日の二重国籍を持っていた大坂なおみが日本国籍を取得するのか、「日本人」になることを選ぶのか、メディアで話題となった。
 それまでメディアは「大阪」「なおみ」という名前とそのビジュアル、流暢とは言えない日本語のギャップを含み笑いで伝えていたが、「日本国籍を取得した」事は、「日本スゴい」に喜びを感じる人々の自尊心を満足させた。
 大坂なおみは、イチローや野茂がそうだったように「海外で活躍するスゴい日本人」=「日本スゴい」に変換され、日本と自分を同一視して自己満足を得ると層の記号としての役割をこなしてきた。
 同時に、「日本スゴい」に喜びを感じる層は、同時に、政府、官憲への批判を極度に嫌う。
 それは北米に対してもそうであり、BLMは、あたかも無政府主義者や犯罪者によるテロリズムだとして糾弾してきた。
 だから大坂なおみがそこに賛同した事は耐えがたい苦痛であり、一斉にバッシングを送る事となった。だが大坂なおみはその雑音をものともせず勝ちきり、逆にそれらのプレッシャーによって勝つ事が出来たと最高のカウンターをお見舞いしてみせた。
 北米では、ベトナム戦争下に兵役を拒否して王座を剥奪され、後に奪還したモハメドアリと並び称賛されていると町山智浩氏も語っていたが、まさに最高のファイターであった。

 大坂なおみはテニスという社会的に認知された競技のプレイヤーだからこそ社会的メッセージを発信してもサマになるという考え方も出来るが、例えば68万人のチャンネル登録者数を誇る朝倉海は、ポイ捨てを注意する動画は、格闘家である事で発せられる社会的メッセージを含ませている。

 鈴木千裕も日菜太も、メッセージは発している。

 それはコロナ禍で来場してくれたファンへの感謝だったり、利他的なメッセージを含んでもいるし、悪い事ではない。
 しかし格闘技が社会や政治に無関心である事は可能だが、無関係ではいられない。
 むしろコロナ禍で人々が困っている人がいる事は、政治と密接に結びついている。
 闘う事で何かを感じとってくれたら…というのはストイックな発想ではあるが、高田延彦の様に直接でなくとも、本質を見つめれば、社会の仕組みへの批判的な意見は出てくるはずで、その疑問をパッと出してみれば、それが世間へ向けた普遍的メッセージとなる。
『創世のタイガ』は、原始時代にタイムスリップした若者が、人類創世期の「闘い」の創世に関わっていくという物語である。
 せっかくのコラボでもあり、「闘い」の根源を世に問うてみても良いように思う。

■ KNOCK OUT CHAMPIONSHIP.2 HTハウジング presents 第1部 BLACK
日時:9月13日(日) 開始12:00
会場:東京水道橋・後楽園ホール
観衆 未発表

<メインイベント 第6試合 73kg契約 3分3回戦(延長1R) BLACKルール>
○日菜太(クロスポイント吉祥寺/REBELS-BLACK 70kg級王者)
 1R KO
●田村聖(拳心館/NKBミドル級前王者、NKBミドル級1位、PRIMA GOLD杯ミドル級トーナメント優勝)

<第4試合 64kg契約 3分3回戦(延長1R) BLACKルール>
○鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)
 3R TKO ※レフェリーストップ
●昇也(士魂村上塾/Bigbangスーパーライト級王者)


<第3試合 80kg契約 3分3回戦(延長なし) BLACKルール>
○吉野友規(スタージス新宿)
 判定 3-0
●竜矢(伊原道場稲城支部/第27回全日本新空手道選手権大会 K-2GRAND PRIX 2016軽中量級&中量級優勝)


<第2試合 47kg契約 2分3回戦(延長なし) BLACKルール>
●KAREN(DRAGON GYM)
 判定0-3
○宮崎小雪(TRY HARD GYM)

<第1試合 50kg契約 2分3R(延長なし) BLACKルール>
○宮崎若菜(TRY HARD GYM)
 判定 3-0
●大塚愛莉(上州松井ジム)


■ KNOCK OUT CHAMPIONSHIP.2 HTハウジング presents 第2部 RED
日時:9月13日(日) 開始18:00
会場:東京水道橋・後楽園ホール
観衆:未発表

<メインイベント 第9試合 創世のタイガGRAND PRIX 61.5kg RED 初代王座決定トーナメント決勝 3分3回戦(延長1R) REDルール>
●重森陽太
 判定 0-3
〇スアレック・ルークカムイ
※スアレックが創世のタイガGRAND PRIX61.5kgRED初代王者になる



<セミファイナル 第8試合 REBELS-RED 55.5kg級王座決定トーナメント 1回戦 3分3回戦(延長1R) REDルール>
○小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺/ISKA世界バンタム級王者)
 1R 1分37秒 TKO レフェリーストップ
●壱・センチャイジム(センチャイムエタイジム)


<第7試合 57.5kg契約 3分3回戦(延長1R) REDルール>
○安本晴翔(橋本道場/REBELS-RED フェザー級王者)
 2R 1分12秒 TKO ドクターストップ
●ウィサンレック・MEIBUKAI(MEIBUKAI)


<第6試合 56kg契約 3分3回戦(延長1R) REDルール>
○宮元啓介(橋本道場/元INNOVATIONフェザー級王者)
 判定3-0
●栗秋祥梧(クロスポイント吉祥寺)



<第5試合 51.5kg契約 3分3回戦(延長1R) REDルール>
○老沼隆斗(STRUGGLE/REBELS-RED スーパーフライ級王者)
 2R 1分47秒 KO
●清志(新興ムエタイジム/NJKFバンタム級2位、WMC日本バンタム級3位)



<第4試合 清水工業株式会社presents 73kg契約 3分3回戦(延長なし) REDルール>
○渡慶次幸平(クロスポイント吉祥寺)
 3R 1分59秒 KO
●釼田昌弘(テツジム/NKBミドル級4位)



<第3試合 創世のタイガGRAND PRIX 61.5kg RED 初代王座決定トーナメント一回戦 3分3回戦(延長1R)REDルール>
○スアレック・ルークカムイ(スタージス新宿/REBELS-REDライト級暫定王者)
 本戦判定 1-0 延長 0分45秒 KO
●髙橋一眞(真門ジム/NKBライト級王者)





<第2試合 創世のタイガGRAND PRIX 61.5kg RED 初代王座決定トーナメント一回戦 3分3回戦(延長1R)REDルール>
●小川翔(OISHI GYM/WBCムエタイ日本統一ライト級王者、ホーストカップスーパーライト級王者)
 判定 本戦1-1 延長0-3
○重森陽太(伊原道場稲城支部/WKBA世界ライト級チャンピオン)


<第1試合 創世のタイガGRAND PRIX 61.5kg RED 初代王座決定トーナメントリザーブマッチ 3分3回戦(延長1R) REDルール>
○古村匡平(FURUMURA-GYM)
 判定 3-0
●中澤良介(TRY HARD GYM)



 PPVで試合を観れて、一夜明け会見で勝った選手のインタビューを聞く事ができる時代である。ついリアルファイトにおける活字媒体の役目とは?という事を考えざるを得ない。

 大坂なおみが今週最も感銘を受けたファイターだというのは話のまくらでもあるが、決して奇をてらった訳ではない。
 キックボクシングに思い入れがあるファンはともかく、そうでないライトユーザーにとっては、その時々で優先順位は違ってくる。そしてそういった幅広いユーザーを取り込んでいかなければ、興行のブレークは望めない。

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