無観客を逆手に取った!? 視殺戦も寝技もやり放題のノア後楽園は潮崎豪が豪腕ラリアット57分47秒勝利

 29日、新型コロナウイルス感染拡大による政府のイベント自粛要請でノア後楽園ホール大会は無観客試合として開催となった。

 ノア参戦後“無敗”の藤田和之を王者・潮崎豪が迎え撃つ格好となったメイン。ここで前代未聞の事態が起きる。お互いに間合いを詰めないままの視殺戦は実に30分超! 無観客ゆえにブーイングも発生しないことを逆手に取ったのか。潮崎と藤田は相手への視線を外すことがないままに仁王立ち。インターネット中継とCSテレビチャンネルによる中継がされていながら、まるで“フリーズ”したかのような試合となった。

 さりとて30分経過となると、藤田が間合いを詰めてタックルからグラウンドに持ち込む。静から動への展開が止まらない。エレベーターホールやバルコニーにまで潮崎を連れ回した藤田はリングイン。ここで45分経過となり、今度は袈裟固めでの“かわいがり”全開だ。無観客だからこそ、周りのマスコミにも配信先にも藤田の声がダダ漏れとなる。

 「これがラッパだよ、勉強しろ」「袈裟固めっていうんだよ」「おい、エスケープするなよ」。ポジションを変えて首を取りレフェリーが潮崎にギブアップかどうかを問いにいけば「がぶってるだけ、極めてないぞ」。試合前に東スポ紙面で「密室で密着して、密度濃くかわいがってやる」と宣言していた展開そのものとなる。

 潮崎にとっては実に苦しい試合となったが、逆水平チョップと豪腕ラリアット連打で57分47秒、ギリギリの勝利。60分タイムアップを許さず、勝利による防衛を果たしてみせた。潮崎はマイクを握ると「画面の向こう側にいるノアのホーミーズたち、ひとつだけ。I am NOAH!」と短くアピールしてリングを降りた。

 無観客を逆手に取ったような試合展開ともなったが、意識が「相手に勝つ」ことに集中するのは当然の流れでもある。配信を見る側も、視殺戦にせよグラウンド合戦にせよ、精神・肉体両面でのプロレスを堪能したのではなかろうか。ノアがプロレスの新境地を切り拓いたかのような無観客試合がここにあった。

 
■ ノア PRO WRESTLING NOAH 20th ANNIVERSARY NOAH the CHRONICLE vol.2
日時:3月29日(日)11:30
会場:東京・後楽園ホール ※無観客で開催

<第1試合/GHCジュニアヘビー級タッグ選手権試合>
[挑戦者]
YO-HEY
〇HAYATA
  22分34秒 へデック⇒片エビ固め
●小峠篤司
鈴木鼓太郎
[第38代選手権者]
※鼓太郎&小峠が2度目の防衛に失敗。HAYATA&YO-HEY組が第39代選手権者となる

<第2試合/GHCナショナル選手権試合>
[挑戦者]
●田中稔
  14分35秒 アンクルホールド
〇杉浦貴
[初代選手権者]
※杉浦貴が4度目の防衛に成功

<第3試合/GHCジュニアヘビー級選手権試合>
[挑戦者]
●原田大輔
  26分39秒 フットスタンプを切り返して⇒エビ固め
〇小川良成
[第41代選手権者]
※小川が初防衛に成功

<第4試合/GHCヘビー級選手権試合>
[挑戦者]
●藤田和之
  57分47秒 豪腕ラリアット⇒体固め
〇潮崎豪
[第33代選手権者]
※潮崎が初防衛に成功


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