[ファイトクラブ]日本的同調圧力でセンバツ中止! プロレス・格闘技は無観客試合でパンデミックに打ち勝てるか!?

[週刊ファイト3月19日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼日本的同調圧力でセンバツ中止!
 プロレス・格闘技は無観客試合でパンデミックに打ち勝てるか!?
 Photo & Text by こもとめいこ♂
・パンデミック認定でコロナウイルス見えない出口
・高校野球だけ特別か?メディアの五輪特別扱いの二枚舌
・スターダム無観客試合、岩谷麻優階段オチの着地点
・制御不能の新日本プロレス、木谷オーナーは何を思うか?
・興行関係者必見!! ブシロード今後の対応基準他、囲みコメント書き起こし!


 新型コロナウイルス“SARS-CoV2”による肺炎(WHOの呼称“COVID-19”)は世界的に流行している「パンデミック」であるとWHOが認定した。
 発信源とされる中国は徹底的な移動制限などで感染拡大を強引に押さえ込んだが、イタリアを中心にヨーロッパ、イランを中心に中東で感染が拡大中。
 オーストラリアでも、滞在中のトム・ハンクスが、奥さんのリタ・ウイルソン共々陽性反応とTweet。

 さらに高額な医療費がネックとなって風邪程度での通院、検査をしない北米ではもっと以前から大流行していた事が明らかになり(北米発祥説も出るほど)、
「風邪が流行ってるだけで大騒ぎするな」
と楽観視していたトランプ大統領が慌てて入国禁止措置を打ち出したが、株価が急落、再戦に黄色信号とも言われる。

 翻って我が国はと言えば、当初の静観から、場当たり的に対策を講じる一方、重篤になるまで検査を行わないという対応で、見かけの観戦者数を封じ込める事に汲々としている。
 麻生太郎財務相の
「風邪とかわらない」
発言は政権としての本音であろう。
 それが世界的にパンデミックと認定されるにつれ慌てて表面上取り繕っているのは、なんと言っても首相の後見人たる森喜朗が執念を燃やす東京五輪開催の為であろう事は想像に難くない。
 その反面、緊急事態宣言で壊憲派の悲願たる「人権の制限」に向けた地ならしをし、事態が収束しつつある韓国・中国に限定した入国制限でネトウヨ層の支持を取り付けるなど、自分に都合のいい『神風邪』化しようとしているのが見てとれる。
 それは、自粛という体裁で各種イベント、興行の延期・中止を強要しつつ、東京マラソンは強行した事でも明らか。
 無観客での開催を予定していたセンバツが、1924年に始まって以来、第二次世界大戦の中断はあったものの、史上初の中止に追い込まれたのは、日本人特有の同調圧力によるものだろう。
 休校中に子供が公園で遊んでいる事を問題視して通報したり、宝塚の再開に執拗に抗議するなど、かつての「隣組」による相互監視が未だ続いている事に暗澹たる気持ちになる。

 そんな社会情勢ではあるが、プロレス界では、木谷オーナーが『スターダム』の大会中止と無観客試合発表で対応の先鞭を付けた。
 ブシロードには中国から来た呉雪プロデューサーも在職、大陸のアプリメーカーともビジネスをしており、現地の情報を知り、いち早くコロナウイルスに対し危機感を抱いただろう事は想像に難くない。

呉雪プロデューサー

新型コロナウイルス影響深刻化…ONE無観客、ブシロードはスターダム興行大幅変更!!

 本稿執筆の3月12日時点で経平均株価も、黒田日銀総裁が日銀の損益分岐点と明かした19500円を1000円近く割り込んだが、マザーズのブシロード株価も冴えない。
 一時期は初値の倍近い4000円超に駆け上がり、サイバーエージェントを抜こうかという勢いだった株価は、ここ最近急落。公開時の2204円を割り込み、公募価格の1890円スレスレの1910円と低迷している。

 昨年、木谷オーナーが掲げたブシロードの収益面での3本柱は、『新日本プロレス』『BanG Dream! 』『カードファイトヴァンガード』で、それぞれ50億円を叩きだしていたとされる。
 今回のコロナウイルスの影響で、興行、イベントの中止による影響が数字として出てくるのはまだ先だが、急遽ブシロードとして80億円の融資を受けた事を発表した。
 事業に対する影響は軽微としているが、ある程度長期化する事を想定して事業資金を確保したものと推察される。

 そんな、日々目まぐるしくコロナウイルス感染の状況が変化する最中の3月8日(日)、後楽園ホール『スターダム』は既報の通り無観客試合として開催された。

 当日は会場に入るにあたり、我々報道陣も全員マスク着用の義務付けられ、検温を行った。
 筆者は特に体調に不安は無かったのだが、体温計が中々鳴らず、ようやく測れたと思ったらまさかの36.9度。平熱36.5度の人間も歩いた直後はそのぐらいになるという事で、ギリギリセーフ(37度以上は取材不可)の値であった。

 場内は当然、関係者、報道陣以外の姿は無し。また、リングサイドには折りたたみ椅子が並べられ、各所に以前KNOCK OUTでも見かけたVRカメラが置かれていた。

 You Tubeでの配信はVRではないので、試しに収録しただけと思われるが、あるいはいずれVR化される可能性もある。

 試合の方は、星輝ありさが当日朝体調不良で起き上がれず欠場、というアクシデントがあったが、無観客を活かしてのノビノビした場外乱闘や、岩谷麻優の身体を張った階段オチなど、対応力を存分にみせた。





 試合後、岩谷麻優の背中は打ち身で凸凹になっており、松永光弘のバルコニーダイブ同様、後楽園ホールのプロレス史に新たな伝説を刻んだと言って良いだろう。

 解説をしていたライガーは

「女子プロレスを、初めて1試合目から最後まで観ました。解説をやらせて頂きましたけど、ファンに戻った感じで、ギャーギャー言いながら見させていただきました。
 お世辞抜きで面白かったです。これはもう、本当に。『ブシロード』どうのこうの関係なしに。
 今日観客がいない状態で、選手もやりにくいんじゃないかなと、元選手としては思ったんですけど、普段と変わらないような感じだったんじゃないですか?
 凄くやる気も感じたし、勉強してるなと思ったし、今後、同じブシロード系列の会社なんで、新日本プロレスも共に成長していければと、心から思います。
 あとは、皆さん怪我だけはしないように! と。
 今日も見てて『うわあっ…』って場面が何回もあったんで、怪我だけしないように…それだけですね。
 本当にもう、素直に面白かったです」

と、興奮気味にコメント。

 さらに木谷オーナーも囲み取材に応じた。

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