中嶋勝彦「手負いの挑戦者に声援を」 カズ・ハヤシ「全ての雑念を払って挑む」 WRESTLE-1 3・15大田区直前インタビュー

 武藤敬司が旗揚げし、6年9か月に渡って繰り広げられた「WRESTLE-1」の闘いに終止符が打たれようとしている。4月1日の後楽園ホール大会を最後に無期限活動休止に突入するが、来たる3月15日の大田区総合体育館大会は最後のビッグマッチ。

 メインでは、外敵ノア所属ながら王者である中嶋勝彦がカズ・ハヤシ社長を迎え撃つ。二度とないシチュエーションで繰り広げられる王座戦の行方は!? 両者のインタビューをお届けする。

■ WRESTLE WARS 2020
日時:3月15日(日)15:00
会場:東京・大田区総合体育館

<シングルマッチ>
仁木琢郎
(1/30)
藤村加偉

<6人タッグマッチ>
SUSHI
本田竜輝
タナカ岩石
(1/30)
エル・イホ・デル・パンテーラ
アレハンドロ
アンディ・ウー

<6人タッグマッチ>
鬼塚一聖
T-Hawk
CIMA
(1/30)
田中将斗
ペガソ・イルミナル
頓所隼

<8人タッグマッチ>
歳三
MAZADA

伊藤貴則
(1/30)
エル・リンダマン
立花誠吾
征矢学
近藤修司

<シングルマッチ>
岡林裕二
(1/30)
羆嵐

<スペシャル6人タッグマッチ>
KAZMA SAKAMOTO
崔領二
河野真幸
(1/30)
中之上靖文
浜亮太
武藤敬司

<WRESTLE-1クルーザーディビジョンチャンピオンシップ>
[挑戦者/CRUISER FES 2020優勝者]
ヒート
(1/60)
吉岡世起
[第15代王者]
※吉岡が初防衛戦

<WRESTLE-1タッグチャンピオンシップ>
[挑戦者組]
土肥孝司
稲葉大樹
(1/60)
児玉裕輔
芦野祥太郎
[王者組]
※芦野&児玉が4度目の防衛戦

<WRESTLE-1チャンピオンシップ>
[挑戦者]
カズ・ハヤシ
(1/60)
中嶋勝彦
[第16代王者]
※中嶋が2度目の防衛戦

 


「全ての雑念を払って、中嶋勝彦とのタイトルマッチに挑む」W-1最後のビッグマッチに社長が決意の挑戦! カズ・ハヤシインタビュー


3月15日(日)の『WRESTLE WARS 2020』大田区総合体育館大会で、中嶋勝彦が持つW-1チャンピオンシップに挑戦することになったカズ・ハヤシ。ここ数年はタイトルマッチ戦線から一歩引いていたカズが、なぜ今回大舞台での挑戦を決意したのか? そして、団体の活動休止が発表された中でのタイトルマッチへの思いとは? カズに話を聞いた。

──2.12後楽園ホールでのメインイベント後、チャンピオンの中嶋勝彦選手が、カズ選手を呼び出しました。カズ選手もそれに応じて、リング上に上がりましたけど、どういうお気持ちだったんですか?

カズ 彼は本当のW-1の姿を知らないんだろうなって思いましたね。あそこで僕の名前を出したということは、彼の中で時が止まっているんでしょうね。確かに昔、全日本プロレス時代に中嶋選手とは試合をしていましたよ。でも、最後にやったシングルマッチは約13年半前の大田区体育館ですからね。

──『ジュニア・ヘビー級リーグ戦』の決勝戦ですよね。

カズ そうなんですよね。だから、あれから彼の時は止まっちゃってるんだろうなって思いました。

──確かに中嶋選手はもう10年以上もノアのリングを戦場にしているわけですし、そこまで他団体のことを気にすることもなかったと思います。

カズ うん。だから、出す名前も限られちゃうんでしょうね。ぶっちゃけ、あの当時、彼と試合していたのはジュニアの僕や近ちゃんになりますからね。

──ただ、中嶋選手の挑発に対して、カズ選手も蹴りという形で応えました。あれは「自分が獲り返しにいかないといけない」という気持ちに駆られての行動だったのでしょうか?

カズ そうですね。行かなくちゃいけないなという気持ちでしたね。実際、僕もタイトル戦線からは随分と離れているわけですよ。なぜかと言うと、僕はこのW-1の選手のポテンシャルの高さとかを信じているし、実際に高いと思っているからです。彼らが一生懸命にやって、自分たちでメインイベントを張っていく。そういう状況を経験することは、プロレスラーとして一つの財産になるし、それをやっていけていた。こちらが作った大きな壁もあったし、それを乗り越えて、自分たちでチャンスをドンドン掴み、メインイベントを張っていけるまでに成長した。だから、引いていたわけですよ。

──もう若い選手たちにメインを任せても大丈夫だと。

カズ そう思っていました。だから、一戦を引いた立場で何をやらなきゃいけないかって言ったら、大舞台を用意することだなと思ったんです。それが大事だと思ったんですね、今の僕のプロレスキャリアを考えたら。W-1ではW-1でのポジションがあると思っているし、現在はそういった舞台を作るポジションだと思っていたから。まずは、彼らが活躍できる舞台を作ることですよね。

──それが大晦日の『WONDER CARNIVAL』であったり、今回の『WRESTLE WARS 2020』でもあるわけですよね。でも、そういう立場にありながら、あえて中嶋選手の挑発に応じて行動に移したのは、やはりプレイヤーとして燃えるものがあったということなんでしょうか?

カズ 芦野や稲葉たちが「俺らのベルト!」っていう意識で作り上げてきたものを、放り投げたという行為は僕にとってはやっぱり許せないことなんですよ。若い彼らにとって、「メインイベントでタイトルマッチをやれ」、「興行を締めろ」っていうのは大きなお題なんですよ。それをこなすことは大変なことですからね。それを彼らはずっとやって来た。その気持ちを考えちゃいましたよね。そういう思いの詰まったベルトなんですよ。それを僕は言いたかった。それがあの蹴りという形で表れちゃいましたね。W-1は歴史の浅い、若い団体ですよ。そこをみんなの思いで歴史を作り上げ、ベルトの価値を作り上げきたんです。だから、それを放り投げたことはとてもじゃないけど許せないですよね。

──旗揚げしてから6カ月分の思いは積み上げられているわけですからね。

カズ そうなんですよ。長くベルトを持っていた芦野にしても、この団体でデビューしているし、思いは強いですよ。稲葉だって、日本でのデビューはこのW-1ですからね。

──彼らの思いを代弁した行動だったということですね。

カズ そうですね。だから、今回ばかりは僕に行かせてくれという気持ちです。

──わかりました。では、現在の中嶋選手についてもお聞きしますけど、じっくりと試合を見たのは久しぶりですか?

カズ そうなりますね。しかし、えらい変わりようでしたね。全日本時代はジュニアでしたけど、今はヘビー級でやっているわけじゃないですか。身体も大きくなったかもしれないけど、コンディションもよさそうだったし、何より体格とか関係なく、彼が醸し出すオーラが全然違いましたね。さらに脂が乗っている印象を受けました。

──あの当時はまだ10代でしたけど、現在はもう30代ですからね。だから、一番変わった部分はレスラーとしての見せ方ですよね。爽やかな少年だった頃と違い、今はW-1に対してかなり上から目線の挑発が目立ちます。

カズ あれはあれで本気でムカつくし、いいんじゃないですかね? 相手を本気にさせなくちゃおもしろくないですから。実際、僕も本気になっちゃったわけだし。ただ、試合もとても余裕を持ってしていましたよね。以前は最初から最後までグアーッてアクセル全開だったんですけど、今は力を抜く時は抜くし、見る時は見る。そういう緩急のある闘い方ができるようになりましたよね。だから、もう以前闘った時とは別人ですよ。当時の彼と比べること自体がかわいそうだし、僕の頭の中では別人として、イメージトレーニングをしていますよ。

──そういう中嶋選手との闘いで、何をファンに見せたいと思っていますか?

カズ プロレス人生というか、歴史っていうんですかね? レスラーそれぞれに人生と歴史がありますし、その違いを見せられたらなと思います。昔、彼と闘っていた時は、彼もまだ駆け出しだった。でも、今はノアを代表するトップレスラーになっている。一方の僕はリング上のことは若い人たちに任せる部分も出てきたと。それがこの10数年間でできた違いだと思うんですけど、それも人生ですから。そのぶつけ合いを見せたいですね。

──また、今回は4月1日の後楽園ホール大会をもって、団体が無期限で活動休止という発表がありました。そういう状況下でタイトルマッチに臨むわけですけど、改めてファンの皆さんに何かありますか?

カズ 僕らの力が及ばずにW-1を活動休止という状況に追い込んでしまったことは申し訳なく思っています。確かにその状況でのタイトルマッチは精神的にもきついですし、足の怪我もありますよ。でも、全ての雑念を払って、万全の状態で僕は中嶋勝彦とのタイトルマッチに挑みます。それだけの相手だと思っていますし、皆さんに楽しんでもらえるような試合をしたいと思いますので、ぜひご来場ください。

 


「W-1ファンは声援を送って、手負いの挑戦者の背中を押してあげてよ」余裕の王者は挑発三昧! 中嶋勝彦インタビュー(プロレスリング・ノア)


3月15日(日)に開催される『WRESTLE WARS 2020』大田区総合体育館大会で、カズ・ハヤシの挑戦を受けることになったW-1王者の中嶋勝彦(プロレスリング・ノア)。上から目線でW-1の選手たちを挑発し続けるこの外敵王者が、嫌味たっぷりにカズとのタイトルマッチを語った。

──改めて、カズ選手を次の挑戦者に指名した理由をまずは教えてください。

中嶋 まあ、2月12日の後楽園ホール大会のリング上でも言ったんだけど、やっぱりカズ・ハヤシのあの一言だよね。年始に稲葉とのタイトルマッチを要求された際に、「逃げる中嶋勝彦にはがっかりしました」っていうコメントをカズ・ハヤシが出したでしょ? 

──ありましたね。稲葉選手とタイトルマッチをやるように要求したんですよね。それが引っかかっていたということですか?

中嶋 だって、そんなことを言っておきながら、芦野戦もそうだったし、自分は高みの見物をしゃれこんでるじゃない。だから、こっちも一言言ってやりたかったので呼んだら、わざわざ高い所から降りてきていただいたんでね。「ベルトに挑戦したいですか?」ってあえて聞いたんだよ。もちろん、俺の答えはノーだったんだけどね。

──挑戦させるつもりはなかったけど、あえて呼んだということですか?

中嶋 そう。でも、俺がベルトを捨てた時に渾身の一撃を放ってきたからさ。あの痛みは忘れないよ。だいたいね、俺は逃げてないから! 稲葉との勝手に決められたタイトルマッチだって、そちらの言う通り受けているじゃない。芦野とのタイトルマッチだってやってるし、心優しい俺はちゃんとW-1の要求に応えているよ。何からも逃げてないから。

──カズ選手のトラースキックを食らってしまったということもあるし、じゃあその言葉の責任を取ってもらおうというのが、今回のタイトルマッチを受けた理由になるんですかね?

中嶋 そういうことだね。

──ただ、現在のカズ選手はタイトル戦線からは一歩引いた存在です。中嶋選手にとって、そういう選手とタイトルマッチで交わる意味はなんですか?

中嶋 いや、噛みつかれたから噛みつき返しただけだし、それ以外になんの意味もないよね。でも、他のW-1の選手は俺を囲んだだけで、手を出さなかったでしょ? 俺、かわいそうだったでしょ? 一人でみんなに囲まれてさ。リンチされるかと思った(笑)。でも、何もしないし。別にされたっていいんだよ、俺がおいしいだけだから。でも、手を出さない。何でだろうなって思うよね。

──中嶋選手が逆の立場だったら手を出してました?

中嶋 出してるでしょ、普通は。悔しくないのかね?

──会見でもおっしゃっていましたけど、カズ選手は怪我をして現在欠場中だと。それなのに代わりに名乗りを上げる選手もいない。こういうW-1の選手たちの姿勢を見ていると、興味が湧かないということですかね?

中嶋 だって、逆に興味湧く? みんなでW-1を守っていかなきゃいけないんでしょ? それなのに手を出してきたのはカズ・ハヤシ社長だけですよ。じゃあ、他の奴らは何? あそこで手を出せないような雑魚には俺は興味ないよ。そこがカズ・ハヤシ社長と他の選手の違いなんじゃないの? 強いとか弱いとかそういうことじゃなくて、この団体を盛り上げる、ベルトの価値を高めるということを行動で表すことができるかできないかの差は大きいよね。結局、行動したのはカズ・ハヤシ社長だけだったということでしょ。だから、そこの覚悟は持っているんだろうね。さすがオトコの中の色男だよ。

──現状のW-1で考えれば、次の挑戦者に相応しいのは行動で示したカズ選手のみということですよね。

中嶋 正直、手負いになっているわけだから、俺もナメられたもんだなと思うよ。ただ、団体が活動を休止する。そういう状況の中でハヤシ社長の立場になって考えてみれば、社長の自分がベルトを獲り返すっていう気持ちや覚悟は伝わってくるよ。逆にそういう状況になった時の人間は強いと思うし、だからこそ強いカズ・ハヤシを期待したいね。じゃないと、俺もおもしろくないから。

──カズ選手とは中嶋選手が全日本プロレスに参戦していた時にジュニアで闘っていた間柄です。振り返ってみて、当時はどのような存在だったんですか?

中嶋 やっぱりジュニア時代は全日本のリングで揉まれたし、いい経験もさせてもらったよね。まだ18か19ぐらいだったけど、世界ジュニアのベルトも獲れたし。その時のトップで牽引していたのがカズ・ハヤシ社長だったし、顔だよね。ただ、カズ・ハヤシ社長が言ってたけど、最後にシングルをやったのが13年ぐらい前なんでしょ?

──2006年の大田区体育館でやった『ジュニア・ヘビー級リーグ戦』の決勝戦ですよね。

中嶋 今の大田区総合体育館になる前だよね。当時はジュニアのトップだったけど、この間の後楽園でカードを見てみたら、なんか若手の教育マッチみたいなのをやってたよね? だから、今は教育係っていうイメージ。

──この十数年の間に、お互いの立ち位置は相当変わったということですよね。

中嶋 ただ、怪我もしていて、団体の活動も休止するという逆境の中でも挑戦するんでしょ? だったら、あとはW-1ファンだよね。もっとカズ・ハヤシを応援しないと。そうしないと、俺、本当に勝っちゃうよ? 気を遣って負けることなんてしないから。それは期待するだけ無駄。勝てる時にきっちり勝ちに行くから。だから、一丸となって応援してあげてよ。

──この間の芦野戦はまだW-1ファンの応援が足りてなかったですか?

中嶋 足んない! だって、結果、勝っちゃったじゃん、俺(笑)。ファンの応援するパワーって計り知れないし、俺も経験していることだからね。応援って何よりも力になるから。それができないんだったら、またベルトをぶん投げるよ(笑)。だって、いらないんだもん。でも、稲葉戦から比べると、選手もお客さんも少しずつよくなっているかもしれないね。そういう意味では、俺がW-1の本当の教育係かもしれない。

──試合を通して、ファンも選手も教育しているということですか?

中嶋 うん、俺の教育も実ってきたかな? ただ、中嶋先生としたら、まだまだ足りない! 

──では、大田区が最後の試験になるかもしれないですね。

中嶋 いや、追試があるかもしれないよ? 何回も言うように、俺はベルトは興味ないけど、勝負に負けるのはイヤだから。たとえオトコの中の色男が手負いでも、団体の活動休止が控えていようが、俺は気を遣わないからね。リングは戦場だから。戦場では気を遣わない。じゃあ、あとはファンがどこまで補うかでしょ。絶好調のチャンピオンvs手負いの挑戦者。楽しみだねえ(笑)。手負いの挑戦者、カズ・ハヤシにW-1ファンの皆さんはぜひとも声援を送って、彼の背中を押してあげてよ。そして、W-1のプロレスを楽しむこと。カズ・ハヤシを応援するこれ以上のシチュエーションはないんだから。マスコミの皆さんも、カズ・ハヤシを応援する記事をバンバン書いてください。


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