BS朝日『ノゾキミ企業参観』に新日本プロレス営業社員が登場!

 2月29日(土)、19時から放送されたBS朝日『ノゾキミ企業参観』という番組で、新日本プロレスの若き営業社員が登場した。
 この番組のコンセプトは、我が子がどんな企業で働いているんだろう? という両親の疑問や不安を解決する、というものだ。我が子にバレないように両親がその会社に潜入し、仕事内容や職場仲間などをモニタリングするのである。

 番組のナビゲーターは、カンニング竹山と高橋みなみ。一時は倒産の危機にあった新日本プロレスが、いかにしてV字回復したのか、若手営業社員の働きぶりを観察しながらその秘密を紐解いていく。


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前回、苦戦した茨城県の古河大会に挑む

 今回の依頼人は、山梨県にお住いの椚(くぬぎ)謙一さん(53歳)と明子さん(52歳)のご夫妻。ご長男の仁徳(まさのり)さん(25歳)が新日本プロレスの営業社員ということで、その仕事ぶりを見てみたいということだった。
 仁徳さんは子供の頃からサッカー少年で、山梨県の国体選抜に選ばれたほどの逸材だが、家族全員がプロレス・ファンということで、仁徳さんもプロレス好きになり、新日本プロレスへの就職を志望して、それが叶ったというわけだ。
 しかし、ご両親はプロレス界が浮き沈みの激しい世界だということを知っている。プロレス団体で働くことの不安と、営業として務まっているか確かめたい、というのがノゾキミポイントだ。

 ご両親は上京し、新日本プロレスの本社へ。仁徳さんの先輩社員と共に、録画してあった仁徳さんの働きぶりを見ることにする。もちろん、仁徳さんはそのことを知らない。ただ単に、テレビ局が新日本プロレスの営業社員に密着する、という趣旨を伝えただけだ。
 今回、仁徳さんが担当するのは、茨城県の古河市中央運動公園総合体育館での大会。仁徳さんは、新たにこのエリアを担当することになった。仁徳さんが古河市の体育館に来た日は11月13日、大会が行われるのは2ヵ月以上先の1月25日である。ちなみに、新日では一つの大会で営業を担当するのは、たった1人だ。入社3年目の仁徳さんには厳しい仕事である。
 仁徳さんは体育館を視察し、メジャーで館内の寸法を測る。どれぐらいのパイプ椅子を並べられるのか、調べるためだ。パソコンで座席の図面を作るのも、営業の仕事である。
 古河市の人口は約14万人で、体育館は古河駅から車で約15分。3年前に当地で行われた前回大会は、1,100席のうち614人しか埋まらなかった。今回の目標は1,077人以上の動員である。

 大会の1ヵ月前となる12月24日、大会ポスターが出来上がった。クリスマス・イブどころじゃない仁徳さんはポスターを持って、古河市へ車を走らせる。古河市で唯一、チケットを売っているスポーツ店へ挨拶に行った。この時、ちょうど流れていたのが古河大会のラジオCM。地元局でラジオCMを流すというのは、仁徳さんの発案である。VTRを見ていた仁徳さんのご両親に、ここまでくると営業というよりプロデュース業です、と仁徳さんの先輩社員は説明した。
 午前中の一仕事を終えた仁徳さんは、昼食のためラーメン屋さんに入る。と言っても、本当の目的は食事ではなく、店内にポスターを貼ってもらうことだ。他にも、市内にある約30ヵ所の店や公共機関に立ち寄り、ポスターを貼ってもらうようお願いする。地元にお金を落とす対価としてポスターを貼ってもらい、さらに地元の人と触れ合うことでその土地の情報も得られるのだ。

▼新日本プロレス古河大会の営業を担当する椚仁徳さん

BS朝日『ノゾキミ企業参観』公式サイトより

地元のラジオ局で地道なプロモーション活動

 年が明けて、古河大会まであと10日の1月15日。新日本プロレス伝統の選手プロモーションを行う。今回、プロモーションするレスラーは、元IWGPヘビー級王者の永田裕志。永田は地元の放送局でのラジオ番組に出演した。
 永田がラジオで喋っている姿を、仁徳さんは写真を撮って、随時SNSにアップしていく。今やプロレス界にとって、SNSは必要不可欠のコンテンツだ。

 なぜレスラー自らが現地でプロモーション活動を行うのか? 永田はこう語る。
「今はテレビとかで選手の認知度も上がってるけど、昔は地方に行ってお客様と直に触れ合って、その輪をどんどん大きくしていったとか、そういう時代もありました。それをやり続けて、ファンに支持されてスターになったのが棚橋弘至選手ですね。1回レスラーと会うと、ファンも気持ちが入り込んで、プロレスを好きになってくれますね。そういう地道な作業が、今の新日本プロレスの隆盛に繋がっていると思いますね」

▼ファンと直に触れ合う地道な努力が、今日の隆盛に繋がったと語る永田裕志
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 突然、場面が変わって真壁刀義がVTR出演。仁徳さんのご両親に対しメッセージを送った。
「椚のお父さん、お母さん。アイツのスゲエところを今から言うからよ。(仁徳さんは頑張ってますか? という問いに対し)頑張ってるか頑張ってねえかと言ったら、言えねえこともいっぱい……、いやそれはねえわ(笑)。アイツすげえ頑張ってるからね、ホントに。プロレスってさあ、レスラーは勝った負けたで済むんだけど、それだけじゃあ広がらないんだよね。営業の奴らの一致団結した力がないと、俺たちの宣伝能力だったりとか、その効果がドンドン広がっていかないわけよ。だから今、もの凄い広がりを見せてるからスゲェわけよ。椚のお父さん、お母さん。ご心配されると思います。俺みたいなワケわかんない野蛮人と立派に、一生懸命頑張ってるんで、だからこそ俺たちも彼を信頼します。ですから心配なさらず、応援よろしくお願いします」

 こんなんで本当に真壁の思いが伝わったのか不安だが、母親の明子さんは「もったいないお言葉です」、父親の謙一さんは「ワンチームで新日本プロレスという会社を作っているというのを凄く感じました」と語った。

予想外の事態にも、臨機応変に対処

 いよいよ大会当日、仁徳さんのご両親も古河にやって来た。もちろん仁徳さんには内緒である。ご両親は体育館の隣りにある建物で、仁徳さんの働きぶりをモニタリング。

 試合開始の7時間前、午前11時に仁徳さんは独りで会場入りした。仁徳さんは設営のために、パイプ椅子やリングの設置場所を区分けしていく。
 1時間後の正午、スタッフがやって来た。仁徳さんがリングのセンターさえ決めれば、設営はスムーズに進むという。仁徳さんが示した場所に、スタッフはテキパキとリングやパイプ椅子を設置していった。
 僅か2時間後、プロレス会場はあっという間に完成。しかし、仁徳さんの仕事はこれからだ。

 午後2時、試合開始4時間前なのに、既に客が並び始めていた。チケット発売まで2時間もあるにもかかわらず、前売り券を持っていない人が当日券を求めている。
 試合開始2時間前の午後4時、チケットの発売開始。仁徳さんもチケット売り場にいたが、突然もう一人の社員にチケット販売を任せて、売り場から離れた。マル秘アイテムが到着したのだ。
 マル秘アイテムとは、内藤哲也の顔出しパネルである。これも仁徳さんの考案だ。2012年までの、新日本プロレス・ファンの男女比は、男性9割、女性1割だった。しかし、ブシロード傘下になってからは男性6割、女性4割となっている。仁徳さんが考案した顔出しパネルは、インスタ映えを意識して、女性や子供のファンに喜ばれる秘策の一つだ。

 その頃、会場の外には長蛇の列ができていた。実は前売りの段階で、目標だった1,077枚を大きく上回り、なんと1,531枚も売れていたのである。残りは僅か50枚弱、当日券として急遽、立見席も販売することになった。
 しかし、それが原因で新たな問題が発生する。並ぶ列の数によっては、試合開始時間までに客が全員、会場に入れない可能性が出て来たのだ。ここからは仁徳さんの腕の見せ所である。
 試合開始1時間前の午後5時に客の入場開始。しかし、仁徳さんの指示は2列隊形だった。これでは全員が時間までに入場できないかも知れないと、仁徳さんのご両親と一緒にモニターを見ていた先輩社員が指摘する。

 その頃、仁徳さんは会場内で仕事をしていた。入場してくるファンに、レスラーたちは握手をしたり写真を一緒に撮ったりなどのサービスをしている。こうしたことも、人気獲得には重要なことだ。仁徳さん考案の顔出しパネルも人気上々である。
 しかし、会場の外を見た仁徳さんがようやく気付いた。客が全然はけてないのだ。試合開始まであと35分なのに、長蛇の列は一向に短くならない。
 ここで仁徳さんは、ドアをもう一つ開けるように指示。入口を2ヵ所にして、客には4列で並ぶようにお願いする。すると、客はドンドンはけていって、無事に全員が時間までに入場できた。
 だが、問題は他にも発生。駐車場が満車になってしまったのだ。これは会場側も予測していない事態だった。そこで、職員用の駐車場を開放してもらったのである。営業マンには、常に臨機応変が求められるのだ。満員だからと言って満足してはいられない。

 午後6時、いよいよ試合開始。あとはレスラーに任せるだけ……、とはならない。試合開始後に、チケットを求めるファンもいるため、仁徳さんはチケット売り場いる。もっとも、その頃になると客はほとんど来ないが、その間にチケットの計算や報告書の作成などを行うのである。営業マンには全く休む暇がない。
 事務作業を終えた仁徳さんは、2階席へ行った。SNS用の写真を撮るためだ。そして全体を見回し、トラブルがないか確認する。幸い、この日は目立ったトラブルもなく、試合は順調に進む。

 いよいよメイン・エベント、ここで仁徳さんのご両親が動いた。バレないように変装し、仁徳さんがいる近くの席に座る。しかし、仕事に没頭する仁徳さんは、我が親に全く気付かない。
「今日1日、仁徳がこれを準備して、段取りしたかと思うと、親としても嬉しいですね」
 と、父親の謙一さんは感慨深く語った。

 ようやく全ての試合が終了。この日の入場者数は1,675人(筆者注:主催者発表では1,677人)。3年前より千人以上も増えている。もちろん、札止めの発表となった。
 仕事を終えて、仁徳さんは『ニセ番組』のインタビューを受ける。そこへネタばらし。仁徳さんとご両親との対面となった。
 インタビューを受けている背後から、ご両親が登場。気付いた仁徳さんは声をあげるわけでもなく「なんだよ~」といった表情だった。

 父親の謙一さんは「新日本プロレスさんは、みんなが力を合わせて運営してるんだなと感じました」と感心し、母親の明子さんは「次から次へと色々なことが起こるのを、フットワーク良く対処して、若さだなあと思いました」と我が子の成長ぶりに目を細めた。
 仁徳さんは、
「この前、先輩の阿部さん(今回、ご両親と一緒にモニターを見て解説していた人)とメシ食ったときに、なんで初めて(仁徳さんに)担当を任せたかっていう話になって、『お前の食べ方が綺麗だったから、外に出しても恥ずかしくないと思ったからだ。ご両親の育て方が良かったということだから、感謝しなくちゃダメだぞ』って言われました」
と、ご両親に対して感謝の言葉を述べた。ご両親の目には、薄っすら光る物があった。

 仁徳さんの目標は、東京ドーム大会の営業を担当すること。これは入社試験の面接で、仁徳さんが言い放った言葉だ。それが今でも新日内では語り草になっているという。
 今度、あなたが新日本プロレスの東京ドーム大会に行ったときは、椚仁徳さんが営業担当かも知れない。


BS朝日『ノゾキミ企業参観』公式サイトより

 これで、今回のノゾキミ企業参観は終了。次は、どんなプロレス団体をノゾキミするのだろうか。
 しかし残念ながら、『ノゾキミ企業参観』は今回で最終回。最後にプロレス団体の裏方さんを取り上げてくれてありがとう。


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