番組全体でメジャー感出すAEW:ヤングバックス対P&Pハチャメチャ締め!

(c) Lee South/AEW


 マット界全体を見渡して、やはり「水曜生TV戦争」がピカ一であることに変わりないのであるが、それにしても新興プロモーションでしかないのにAEWのメジャー感は半端ではない。今回もジョン・モクスリーがスクワッシュするところから、最後のヤングバックスとPRIDE & POWEFULL(サンタナ&オディーズ)まで、RAWやSmackDownに対抗する新たな対抗団体が2019年に誕生したということを、一般大衆に植え付けた功績は強調して足りない。そして2月29日、年4回開催に絞っているPPV大会REVOLUTIONの発表である。今回もシカゴなんだが、今回はダウンタウンにあるウィントラスト・アリーナからだ。会場規模は小さくなるが、どうせスグ完売だし、要は世界でどれだけ多くが有料テレビで見るかだから、恐らくはジョン・モクスリーvs.クリス・ジェリコの世界王座戦なのだろう。

■ AEW Dynamite
日時:12月11日(現地時間)
会場:米テキサス州ダラス郊外ガーランド カーティス・カーウェル・センター 


 本誌でも[ファイトクラブ]記事にて、「プロモが最高のMJFを番組後のSNSやAEW Darkで流すのでなく、番組本篇でやれ!」と活字にしたのだが、やはり皆さんそう思っていたようで、今回はMJFの憎たらしいヒール演説も番組中にたっぷりと。レスリング重視、スポーツ中継主義とは強調されるものの、裏番組のNXTを意識するのでなく、プロモ時間もあれば、コントなスキッドのセグメントもあってと、2時間エンタメ番組としてのバラエティな構成がメジャー感を打ち出す要因になってる。もっともブランディの肢体はセクシーでそそるんだが、ブゥードゥー教?に入信させた女子を丸刈りにして子分につけるとか、相変わらずよくわからないスキッドも挿入されてはいるのだが・・・。

 番組はそのMOXが例によって会場の上から階段降りて出てきて、jobberを簡単にやっつけるものの、クリス・ジェリコに「お前は(WWEでは)俺にアドバイスを求めてきたり、お前の母ちゃんとも会ったし・・・」とのプロモになるんだが・・・。それでインナー・サークル入りを勧誘してTシャツを肩にかけるものの、客席は「やめとけ」なのは想定内の展開である。AEWの場合、シナリオ班の台詞でなく、各自が自分の言葉でプロモやってるそうだが、客の反応を計算してデリバーしてるんだから凄いことなのだ。


 まもとに尺とってやる試合は、No.1ベビーフェイスのCodyが、QTマーシャルと組んで、ブッチャー&ブレイドとやり合うタッグなんだが、後者のタッグは最初出てきた時、「誰やねん?」と実況ジム・ロスもわからなかったものの、美人のアリーが変身したバニーちゃん(奥さんなんだそうな)とともに、ちゃんと認知させるように持っていけている。ということで、ここはQTマーシャルが寝ることでoverさせてもらえると。

 続いてがMJFのプロモなんだが、どうやらCodyとの対決は来年冒頭(現地時間1月1日)のAEW本拠地ジャクソンビル大会からのようだ。

 女子戦は、若い細見黒人のスウォールというのが出てきて、本誌だけでなく同じく会場もテレビ視聴者も「誰?」となるんだろうが、相手はベテランのさくらえみである。なるほど、意外にもさくら先生、このところ結構勝たせてもらっていると思っていたら、ここでまだまだグリーンな新人を売り出す役目なのであった。ただ、フレディー・マーキュリーは結構浸透してきているのが凄いことだ。いいお仕事でした。ちなみに志田光は観戦する絵が画面に映る役割だった。

 後半戦では、一応は自分の意志でエリート軍から離脱したハングマン・ペイジが、副社長業の方が重要で、自身を売り出すタイミングではないと広言するケニー・オメガと組んで、ショーン・スピアーズ&キップ・セイビアン組と対戦するカードに。入場の際に、スピアース会長にタリー・ブランチャードが付いてないからどうしたのかと思っていたら、途中に会場暗転、テレビ画面も真っ暗になったかと思うと、椅子にロープで括り付けられる姿で花道にタリーの出番である。そしてここにジョーイ・ジャネラが絡み、スピアーズ会長は消えると。あと、ペネロペ・フォードがハイヒールでなくシューズだったので、やはりというか試合にも絡んでくる展開に。実況でもキップ・セイビアンのガールフレンドだと明言されていた。最後はハングマン・ペイジがラリアットを一人残っているセイビアンに決めて、勝率に恵まれてなかったペイジが勝ったと実況が強調するのである。うまいこと考えているなぁと、作る側のお勉強になる組み立て方なのだった。

 セミに抜擢はサミー・ゲバラである。ルチャザウルス相手なんだが、”スパニッシュ・ゴッド”君の場合、勝ち負けはどうでもイイのであって・・・。ちゃんと次回、クリス・ジェリコ相手に「10分間持つか」のカードが発表されているジャングルボーイ・ペリーも絡んで、試合とは別枠なんだがジェリコを丸め込んで仲間の極小マルコ・スタントが3カウントを数えるというスポットも用意されており、次に繋げる仕込み満載の展開が楽しめる。


 メインはようやくヤングバックスであり、PRIDE & POWERFULのサンタナ&オティーズ相手に、会場地もあってテキサスストリートマッチだから、場外もなんでもありなんだと。だから、テーブルは次々と破壊されるし、ダラス・カーボーイズのヘルメットが出てきてと、お約束のハチャメチャ展開である。NWA POWERから解雇になったold schoolジム・コーネットにしたら、1試合でテーブルを5,6,7?個と壊していくヤングバックスをボロクソに言うんだろうが、2019年はこういう試合が絵的にも映えるというのは時代の要請だろう。しかも、ニックは風邪で最悪コンディションであり、直前までずっと横になっていたというから驚きなのだ。

 ここはエリートが勝利して、来週はSCUが保持するAEWタッグ王座に挑戦という流れに持って行った。大変良く出来ましたと、エンタメ番組としての完成度に驚くしかない。


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’19年12月19日号全日最強タッグ AEW-NXT 新日本キック MLWオペラカップ 鷹の爪大賞