AEW志田光シングル勝利!ジョン・モスクリー死体袋ダービー・アレンなど笑激連続

(C) Lee South/AEW

 そうか、今回のAEWはインディアナポリスからだが、次回はWWEがこの週末にSmackDownから始まるシカゴ連戦のあとに、感謝祭のイヴにシカゴなのかと・・・。対抗意識剥き出しなんだが、やはりマット界で「水曜生TV戦争」がイチバン面白いことには変わりない。その第8回目の客席には、ダービー・アレンの半分骸骨メイクの女性客ファンが最前列にいたり、”VINCE SUCK IT”のプラカードを掲げるAEW信者とか、どんどん競争やってくれなのである。非常に面白い大会中継の激突戦争で特をするのはプロレスファンなのだ。米国在住なら、チャンネルを変えながらの視聴も出来るんだが、今は時間をずらして見られるのだから、むしろ両方をちゃんと全部見た方がいい。国内プロレスにしか興味持たない方が多いことは把握しているが、はっきり言って8回目にして「見なきゃ損!」という高レベルに昇華していることは間違いないのである。

■ AEW Dynamite
日時:11月20日(現地時間)
会場:インディアナ州インディアナポリス インディアナ・ファーマーズ・コロシアム


 番組はニック・ジャクソンとレイ・フィニックスのシングル戦から。ヤングバックスとルチャ・ブラザースは何度も何度もやっているとはいえ、なんでもニックがシングルで試合するのは何年ぶりとかになるらしい。ただ、そんな冒険を裏番組との競争上からも重要な冒頭に持ってきて勝負するところがAEWの革新的なところかも。NXTは冒頭にベッキー・リンチを送り込んだから、そりゃ知名度から視聴率で負けるかもなのだが、問われているのは半年後なり、1年後にこの戦争がどうなっているかであって、今週はどっちだったではないのだ。あえてタッグ屋で知られる二人を信頼して、絶対に凄い試合になるとマッチメイク判断したAEWは長期の競争を見据えている点を評価しなければなるまい。そして二人は、期待以上の目まぐるしい攻防を実践して会場客を沸騰させたのだから見事というほかない。今回はフェニックスの勝利だが、どちらも落とせないとNXTはうやむや結末や全員乱入の大乱闘を連発していくのだが、目先の視聴率で負けようが、長期のAEWファン育成を抑えている点は、大河ドラマのあとから効いてくることになろう。


 そして続けて志田光vs.Dr.ブリット・ベイカーD.M.Dである。普通に考えて、米国のライト層にはまだ知られてない志田と、会社の期待は大きいことはわかるのだが、正直まだまだグリーンなベイカーに、ちゃんと尺を与えてTVマッチをさせるのかと。これまでの米国の常識だと、6分くらいで台割するのがセオリーなのに、じっくり女子戦を組むということがどれだけもの凄い変革であることか。そして期待に応えた志田は、ちゃんとハードヒットなバチバチで攻めて、ベイカーは鼻血するんだが、二人ともやり遂げるのである。前回も、さくらえみvs.初代女子王者の里歩という、純日本人対決を平気でマッチメイクして、2019年を感じさせたものだが、クッション置いてアメリカ人王者の次に志田ではなく、このまま里歩vs.志田を組んでいきそうなAEWなのであった。「時は来た!」のである。


 クリス・ジェリコの「重大発表!」プロモも傑作だった。どうしても「ごめんなさい」を言えないジェリコが、インナー・サークルの用心棒ジャック・ヘイガーに、Sorryの箇所だけマイクを向けてMMA戦士に言わせるコントは、アメリカのコメディ・ドラマによくある場面の再現であろう。また、前回「まぐれ」でジェリコを丸め込んで勝利したスコーピオ・スカイとのやりとりも絶妙だ。「お前なんかランキングも格下だから、いきなり王座挑戦なんかありえない」と言いながら、結局は自分が自分で、「やはり王座戦だ」と言ってしまう展開に。スコーピオは、「いやまだ自分なんか王座戦には早いんですが・・・」とか、合いの手を入れるSCUも「来週では早すぎる、数週間の準備が必要!」とやったにもかかわらずである。AEWは、基本は乱暴に言うなら日本流の本格的なレスリングを見せることをWWEとの差別化にしているのだが、かといって試合、試合、試合で番組を構成する団体でもない。プロモをやらないわけではないどころか、評論家CMパンクにover produceの弊害を指摘されるまでもなく、一字一句シナリオ班の作った台紙を覚えてマイクするWWEに対して、明らかにジェリコが自分でコントのセグメントを作って、自身の言葉でアドリブ交えて話している。そこが凄いのである。


 トリは、ジョン・モスクリーvs.ダービー・アレンである。インディーではクレイジーな試合する奴くらいは聞いてはいたが、大半の客、いや世界ではミリオンズの番組視聴者はダービー・アレンなんか知らなかったハズなのに、小さい体格なのにハチャメチャな試合をするダービー・アレンが、早くも認知されて番組メインをこなしているんだから、ケツがダウン役なのは誰もがわかっているカードなんだが、落ちないどころか、むしろ試合終わって上がっていることこそがプロレス芸術の底なし沼であろう。スプレイでMOXと書いた死体袋を引きづって出てくる映像からして、なんかやってくれそうと期待を抱かせているし、実際、メイクを真似た客が複数会場に来ているというのは、とんでもないアップなのである。つい数ヶ月前までは、せいぜい多くて数百人のインディー会場で狂った展開をやっていた選手なのだから。

最後は2階からのパラダイム・シフト(デスライダー)が炸裂!

 AEWのプロレス番組プロデュース能力、恐るべしである。これまで無名だった兵隊たちに、どんどん感情移入させている。そして名前も覚えられるようになっている、ということだ。そういえば、わずか深夜30分の『ワールド・プロレスリング』中継、惰性で毎週録画にしているが、飛ばしながら見ようかと再生ボタン押したら、フィギュア・スケート中継で休みだった。即刻「番組消去」にするだけなんで怒りもクソもないが、全世界でミリオンズが見ているAEWとWWEの戦争とはあまりに規模が違い過ぎてアホらしくなる。例えば「志田光」は、日本のプロレスファン間でも広く知られていたとは言い難い存在だったが、すぐに世界がHikaru Shidaを覚えることになるだろう。あらゆるギャップの格差がさらに巨大化したことを痛感した「水曜生TV戦争8」なのであった。


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’19年12月05日号WWEシカゴ4連戦 メイ社長 鷹の爪大賞1 スターダム会見 ペイジ映画