ケン・片谷『メシとワセダと時々プロレス』64[ファイトクラブ]19年ぶりの“里帰り”キングダムエルガイツ20th北沢タウンホール大会参戦!

早稲田大学在学中52歳プロレスラーがガチンコに挑んだ記録は歴史に刻まれた!

[週刊ファイト10月17号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼ケン・片谷『メシとワセダと時々プロレス』64
 19年ぶりの“里帰り”キングダムエルガイツ20th北沢タウンホール大会参戦!
・プロデビュー戦のキングダムへ19年ぶりの里帰り
・一夜限りのレスラー“片谷健”復活!
・世界初? ノーロープ・場外戦有り
・肘攻撃・頭突き・金的討ち何でもOK
・セコンドはなんとサバイバル飛田!
・フィニッシュまで19年前と一緒
・52歳でこのリングに上がる勇気のある奴はいるか?


 2000年6月、キングダムエルガイツ北沢タウンホール大会にて、オイラはプロデビューを果たしました。
 あれから19年の月日が経ち、今日再びオイラはデビュー戦を行った団体に帰ってきました。それも、場所も同じ北沢タウンホールへ!

試合前に行われた選手ミーティングとちょっと雑な(笑)控室案内。ちなみにオイラの名前は“建”?

 オイラのプロデビューより少し前に旗揚げしたキングダムエルガイツは、この日が旗揚げ20周年記念のメモリアル大会となりました。大きな節目となる大会に、また呼んでいただくことができてとても感謝しています。

 実は昨年、伏線はありました。『キングダムエルガイツ 旗揚げ20周年記念』のプレイベントとなった新宿FACE大会に、代表である入江秀忠さんから18年ぶりに声を掛けていただいたのです。
 その時は、対戦相手が二転三転するハプニングもあり、どうもスッキリしない参戦でしたが、今回ははじめから団体トップである入江さんが対戦相手の候補に上がりました。これは願ってもないチャンスです。
 しかも、会場がデビュー戦と同じ地であることに興奮が抑えられるはずはありません。

▼10・6キングダムエルガイツ下北沢!超人イリエマンvs.ケン・片谷

 かつては頻繁にプロレス興行が行われていた、世田谷区の下北沢にある北沢タウンホールですが、最近めっきり興行数が減りました。オイラが試合をするのは、2010年4月のトウカイブシドー引退試合以来ですから、かれこれ10年ぶりということになります。

 久しぶりに降りた下北沢駅。そこは再開発で様子が激変していました! あれほど通い慣れた会場だったのに、右も左もわかりません。普通なら徒歩5分くらいで到着するところですが、10分以上掛かってしまいました。

 試合会場では、週刊ファイトの“別冊”豪華(?) ブックレットが配布されました。表紙は、入江選手のファイティングポーズが大写しになっており、見開きには今日の対戦カードが写真入りで載っています。これを見て『あれっ!?』と思った方も多いかもしれません。
 そう、リングネームが“ケン・片谷”ではなく、本名の“片谷健”となっているのです!

 デビューからしばらくの間、オイラは本名で試合をしていました。20周年記念大会の今日の試合は、『あの頃に戻って本名で戦ったらどうか?』という、キングダムエルガイツ入江代表の粋な計らいにより、およそ18年ぶりに“片谷健”でファイトすることになったのです。

 しかも、対戦相手は“超人イリエマン”こと入江秀忠代表本人です! こんな名誉な舞台はありません。
 思えば、19年前のプロデビュー戦は、当時のキングダムエルガイツNo.2とセミファイナルで激突! 大袈裟に言えば、ついに団体のトップを引っ張り出すことに成功したのです!

 しかし、対戦カードは決まったものの、肝心なルールがなかなか決まりませんでした。そうこうしているうちに、例の“N国”との一連の絡みや、“煽り運転”のトラブルなどが次々と勃発し、カードそのものが流れてしまう懸念もありました。
 そんなこんなで決まったルールが、『エルガイツルール レベル4』。つまり通常のルールでは禁止されている肘討ち・頭突き・金的などが全て許される、ほとんど何でも有りの過激なルールです! さらに今日は、総合格闘技史上世界初となる、ノーロープ&場外での決着有りの特別ルールなのです!

 先の6・23WWS籠原大会で左鎖骨にヒビが入って以来、欠場を繰り返してきたオイラにとって、今日は3ヶ月半ぶりの復帰戦となります。本来なら“リハビリマッチ”に留めておきたいところですが、復帰戦にしてはあまりに荷が重すぎるルールとなってしまいました。

 控室で、盟友のサバイバル飛田選手と合流。20年以上の付き合いになる飛さんですが、“U系”の団体の控室で会うのはとても違和感がありました。

 飛さんも、ルールのことをとても心配してくれていました。
『相手は殺す気で掛かってくるぞ!』
『目ん玉をくり抜かれるかもしれないぞ!』
 こんな物騒な言葉が飛び交います。
 しかし、それも無理はないのです。そもそもそういったことが許されるルールなのですから・・・。

 いつも通り、リラックスムードで会場入りしたオイラも、こんな会話をしていたらだんだん不安になってきました。試合後、無事に二本の足でリングを下りられる保障はどこにもないのです。

 飛さんは、オープン・フィンガーグローブの手配や、ファールカップの心配までしてくれました。ルールの過激さでは何ら引けを取らない飛さんですが、ことオイラのことになると、親身になってくれました。飛さんの意外な一面を見られたような気がします。

 キングダムエルガイツの北沢タウンホール大会には、選手入場時に特別な演出があります。それは、通常の花道でなく、ひな壇座席の一番後ろからお客さんの間を通って階段を下りてくるというものです。それも、限られた試合でしか行わない演出なので、これができるのも一つのステイタスなのです。

 メインの杉田拓也選手の引退試合が終わり、ロープを外している最中、オイラは客席の後ろから19年前と同じ景色を見ていました。デビュー戦ではセミファイナルに出場し、リングに向かって左側の青コーナーから入場しました。そして今夜もあの時と同じ青コーナー。二つの景色がダブったのです。

 19年前は緊張で心臓が口から出そうでしたが、今日は妙に落ち着いています。腕の一本や二本、いや、命を落としてもおかしくないようなルールだというのに、不思議と恐怖感はないのです。

 あの日と同じテーマ曲が、北沢タウンホールに鳴り響きました。スポットライトを浴び、一段一段ゆっくりと花道の階段を下りていきます。あの日とただ一つ違っていたことは、跨ぐロープが無かったことだけです。

 程なくして、対戦相手の超人イリエマンもリングインしました。鼻先50センチくらいの位置で、超人イリエマンと対峙したのです。

 厳しいボディーチェックを終え、いよいよ試合開始を告げるゴングが鳴りました!

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