[週刊ファイト6月6日号]収録 [ファイトクラブ]公開中
▼放送権革命2018からAEW旗揚げ2019令和へ！#ChangeTheWorld
photo by Ricky Havlik, James Musselwhite text by タダシ☆タナカ
・WWE選手起用法と番組のお粗末が問題視されたタイミングでの旗揚げ戦
・プロレス芸術の真骨頂！泣かせたCodyダスティンの流血戦と兄弟愛
・Joshi世界侵攻開始！魂のスリーカウント志田光「秋から米国移住」へ
・ブレット・ハートの登場！ケネリス夫婦「3週間後に契約切れ」挑発SNS
・オメガ不覚αジェリコ締めもDアンブローズ乱入！「知覚を擽る」AEW
・ジョン・モクスリー6・5『BEST OF THE SUPER Jr.26』両国来襲自己発信
■ AEW Double or Nothing
日時：5月25日（現地時間）
会場：ラスベガス MGMグランド・ガーデン・アリーナ
後世において「歴史の転換点だった」と語られるであろう5・25AEW『Double or Nothing』だったかも知れない。なにしろ本誌はマット界2018年総括を「放送権革命」として、UFCとWWEが信じられない高値でのコンテンツ契約が成立したものの、ちょうどそれを合図にというか、内容が下り坂になりだしたタイミングでの、新興プロモーションの旗揚げである。
WWEに絞るなら、ただでさえ日本と比べて途中のCM時間が長い、まぁだからこそ、放送権が高値になると指摘されればそれまでだが、現地月曜夜に3時間、途中で何度も何度もぶった切られるRAWを見せられると、それだけでも飽きてしまう。まして、選手を海外団体に貸し出したら勝ち負けのマッチメイクに注文をつける癖に、自身の番組では選手の起用法に躓いてばかりで、「やってられない」といち早く離脱宣言したディーン・アンブローズ（現ジョン・モクスリー）がいるかと思えば、長期契約が残っているため自宅謹慎処分にさせられたサーシャ・バンクス他、選手たちに不満が広がっている。まして決定的というか、ミック・フォーリーを担ぎ出して旧WWFハードコア王座の焼き直しになる24/7ベルトの新設に至っては、度の過ぎた番組での見せ方に非難が集中。今回のAEW大会開催に合わせて行われたスターキャスト主催の各トークイベントでも、お約束のように集中的にやり玉に上げられる始末であった。
そんなタイミングでのPPV大会。米国内では$49.95（日本では$19.95の良心値札だった）という価格設定が危惧されもしたが、蓋を開けてみれば大成功。まだ数字は出揃ってないが、SNSのトレンドサーチでは、なんとトップ3入りしたこともあったという。マイナーなヲタク向けジャンルに落ちているわが国のマット界と違い、”AEW”が世間一般の話題にされたことを意味する。これがいかにとてつもないことかは述べるまでもない。また、ハッシュタグ#AEWDoNが広く使われただけでなく、#ChangeTheWorldもAEWが流していた。マット界2018総括を「放送権革命元年」と記録するなら、早くも2019年はAEWの出現が最大の事件になるだろう。
プロレス芸術の真骨頂！泣かせたCodyダスティンの流血戦と兄弟愛
＜第5試合 シングル戦＞
○コディ
22分30秒 DIN’S FIRE⇒クロスローズ
●ダスティン・ローズ（日本表記ローデス）
※古狸ハーブ・ヘフナーがレフェリー
Photo: Ricky Havlik
詳細分析の続きは後半に譲るが、大会の各試合ということでは、コディvs. ダスティンの兄弟対決が観客の心を打ったのではなかろうか。始まりは、コディがトリプルHの象徴的小道具であるスレッジ・ハマーを持ち出してと、露骨にWWEに宣戦布告する入場からだったが・・・。
試合経過をチマチマとなぞったりはしないが、ポタポタとダスティンの額から大量の血が流れることになる壮絶な展開もさることながら、ピンフォール後、ダスティンが「これが引退試合」とばかりにシューズの紐をほどき始めたところに、コディがマイクを要求。最後のコディの”I need my old brother”スピーチは感動だった。観客だけでなく天国の親父は泣いただろう。
笑わせ、泣かせ、ブーイングさせと、大衆感情操作をしてこそのスポーツ芸術である。ファンクス兄弟を持ち出すまでもなく、古今東西、プロレスの兄弟対決は数多く行われてきたが、これはエモーショナルという点でずば抜けていたんではなかろうか。実際、試合後のコメントでダスティンは「生涯最高の試合だった」と胸を張った。
ダスティン引退はお預け。次回は組んでヤングバックスとの対決カードとなる。
Joshi世界侵攻開始！魂のスリーカウント志田光「秋から米国移住」へ
photo by James Musselwhite