[ファイトクラブ]イケメンの居ないWRESTLE-1の風景

[週刊ファイト5月16日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼イケメンの居ないWRESTLE-1の風景
 5・3『WRESTLE-1 TOUR 2019 TRIUMPH』後楽園ホール大会
 Photo & Text by こもとめいこ♂
・井上京子vs.才木玲佳戦画像増量詳報
・芦野祥太郎の静かなる革命!
・絶好調#STRONGHEARTSだが・・・
・今後のWRESTLE-1の課題と展望


 1963年12月15日に力道山が亡くなった当時、『ファイト』編集長以前の井上義啓記者が所属した新大阪新聞の、プロレス・マスコミにおける序列は上から数えて7番目か8番目で、
「井上?ああ、お前もいたのか…の口であった」
由。
 だがその
「日頃見向きもしない私という記者」
に、悲壮感漂う再スタートを切った日本プロレスの四天王、芳の里、遠藤幸吉、豊登、吉村道明が
「よろしく頼みます」
と深々と頭を下げた。
「私がレスラーから頼りがいのある男として扱われたのは、天にも地にも、この時が最初であり最後であった」
という。
(『猪木は死ぬか! 』より)

井上義啓 猪木は死ぬか!Digital Remaster

 WRESTLE-1にとってのイケメン“黒潮”二郎の退団が、日プロにおける力道山ロスに匹敵する一大事かどうか、1969年生まれの筆者にとって中々判別するのは難しいものはある。

 プロレス・マスコミの存在感も、当時より相対的に低下しているし、当然カズ・ハヤシ社長が筆者を頼りがいのある男としてみる事も無い。
 4月3日のイケメン壮行試合からひと月が過ぎ、5・3後楽園ホールにWRESTLE-1が帰ってきた。
 人気ナンバーワンだったイケメンが去り、ファンは無論、選手からもピンチが公然と囁かれたが、蓋を開けてみれば1335人満員の観客が詰め掛けて客席はほぼ埋まった。

 GW折り返しの祝日という日の良さもあるが、当然首都圏でも興行ラッシュの中でこの動員は立派な数字。
 なるほどイケメン人気は高かったが、その声援はWRESTLE-1そのものへの支持でもあった事が証明されたとも言える。無論、WRESTLE-1の危機を察知したファンが駆け付けた結果で、次戦以後が勝負だという見方も出来る。
 その危機感は選手にも当然あるはずだが、WRESTLE-1はここで奇をてらった対策では無く、
「それぞれが自分の役割、プロレスをしっかりやる」
という、シンプルな答えを見出したのだな…それが後楽園ホール大会を見終えての感想である。

 イケメンの退団と前後してWRESTLE-1で起こった色々な施策の1つに、GENスポーツパレスでのレッスルフィットのリニューアルがある。
「レッスルワンの現役選手とリングを使ってプロレスごっこをしませんか」との触れ込みで『リングでプロレスごっこ』が始まったのだが、そのトレーナーに芦野祥太郎の名前を見つけた時はかなり驚いた。
 リングを下りたプロレスラーの素顔がリング上とは全く異なる場合がある事は今や常識ではある。会見場で、カメラが止まると素を見せるレスラーは少なく無いが、そんな中の例外が芦野祥太郎。

 ペガソ・イルミナルとのシングル戦で見せた怖さも、
「プロレスに笑いはいらない」
「(#STRONGHEARTSの連れてくる外国人選手は)どうせ飛ぶしか能の無い奴ら」
とのプロレス感を表した発言も、昭和のプロレスラーに通じるストイックさを感じさせる芦野だけに『プロレスごっこ』の響きを重ね合わせる事にかなり違和感を憶えた。
「リングでプロレス“ごっこ”だと」
と、怒り出しそうな芦野が、
「和やかな雰囲気の中でプロレス流のトレーニング方法を用いて指導し、安全かつ楽しみながら基礎体力や身体機能向上、シェイプアップ等を目的としたプロレスごっこを行うスクール」
のトレーナーを引き受けたというのは、かなりの葛藤があったのではないかと思われる。

 その『プロレスごっこ』のチビッコ版が、GWの2興行で行われた。後楽園ホールでも休憩時間に小学生以下のチビッコにリングを解放。事故が無いよう若手が周囲で見守る中、靴を脱いでリングインしたチビッコに、カズ・ハヤシ社長とペガソ・イルミナルの指導で、前転、側転、ロープワークを体験してもらったのだ。



 前転を怖がるミニ・ペガソ・イルミナルに、カズ・ハヤシ社長自ら手を引いて対角線へ走り、ロープワークの時は脇の下を当てる様にアドバイスと、濃密な10分間となった。女子の比率が高いのは、やはり才木玲佳人気だろうか?



 最後はペガソ・イルミナルを投げ飛ばして終了。営業的には物販を優先したい休憩時間を使ってのファンサービス、とても良い試みだと思う。

 前回後楽園では堀田祐美子と対戦した筋肉アイドル才木玲佳は、今回同じくレジェンドの井上京子と対戦。










 スーパーヘビー級の身体を何度も担ごうとし、そうはさせまいと踏ん張って逆に吊り天井で切り返す井上京子と試合を組み立て、場内を沸かせた。

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