ケン・片谷『メシとワセダと時々プロレス』54[ファイトクラブ]10・8 WWS 伊勢崎大会~亜利弥’ 選手 追悼セレモニー~谷津先輩

[週刊ファイト10月18日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼ケン・片谷『メシとワセダと時々プロレス』54
 10・8 WWS 伊勢崎大会~亜利弥’ 選手 追悼セレモニー~谷津先輩
・WWSのお膝下である群馬県伊勢崎市は遠いのだ
・亜利弥’ 選手 追悼セレモニー
・オカマレスラーMASAMIと闘った男女ミックスドタッグマッチ
・大先輩の谷津嘉章さんがオイラに何か言いたそう
・『家に帰るまでがWWS』ここからがまた長旅
・ラーメンマン代表、次のオファー待ってます


数ヵ月に一度のお楽しみ(笑)。
“新生”WWS興行の日がやって来ました。

ポーゴさんが亡くなって1年4ヶ月。ポーゴさんのマネージャーだったラーメンマンと、ポーゴさん最後の弟子、高瀬直也を中心に、新生WWSは確実に前を向いて進んでいます。
それぞれが自覚を持ち、ポーゴさんの力を借りなくても興行が打てるまでに成長しました。もう“新生”の二文字は取っ払っても良い時期に来ているかも知れませんね。

今日は、WWSのお膝下である群馬県伊勢崎市がその舞台です。
伊勢崎市第二市民体育館は、言わばWWSのホームグラウンド。ポーゴさんがご健在の頃から、この会場はお客さんがよく入ります。

ただ、オイラにとってはちょっぴり厄介な会場でもあります。
オイラの自宅がある横浜からは、伊勢崎は遠い遠い…。
延々と続く田園風景。電車を乗り継ぎ乗り継ぎ、片道4時間の各駅停車の旅。さらに、伊勢崎駅から会場が離れているため、重たいスーツケースを転がしながら20分以上歩くのです。
トータル4時間半の小旅行ですが、これはWWS旗揚げ当初からの恒例行事。今では、旅を楽しむ余裕ができました。

午後1時の試合開始時間に合わせ、選手スタッフの集合時間は、朝9時なのですが、当日の朝出発したのでは到底間に合う時間ではありません。
かといって、前日群馬入りして宿泊するホテル代や特急料金を捻出していたら、その日のギャラはすっ飛んでしまいます!

オイラが会場に到着する頃には、リング設営はほとんど終わった状態ですが、みんな事情をよく知ってくれているので、そこは多目にみてくれます。
みんなの優しさが、その分撤収作業は頑張るぞ!という気持ちにさせてくれます。

本来、デビュー20年近いベテラン選手がリング設営を手伝わなくても、誰も何も言わないと思います。しかし、会場設営と撤収作業は必ず行うというのが、生前からのポーゴさんとの約束事ですし、また、選手が使うリングの設営と撤収は、選手自身が行うものという考えは、誰に言われることないWWSの暗黙の習わしです。
だから、どんなベテランでも大物選手でも自主的に行うのです。

会場設営が終わると、“WWS名物”のり弁当を食べて試合開始時間を待ちます。
いつもと変わらぬ、WWSの風景がそこにあります。

《亜利弥’ 選手 追悼セレモニー》

試合に先立って、あるセレモニーが行われました。
リング上で、8月に亡くなった亜利弥’選手の10カウントゴングが鳴らされたのです。

亜利弥’選手も、旗揚げからフリーランスとしてコンスタントにWWSに上がり続けていた選手の一人です。

忘れられないのは、確か2015年の4月の興行に、久しぶりにポーゴさんからオファーがあったと、亜利弥’さんから嬉しそうに連絡がありました。

「また、楽しくやりましょうね!」と、お互い楽しみにしていた矢先、直前になって、体調不良のため試合をキャンセルしたというのです。
その時は、どこか怪我でもしたのだろうか?くらいにしか思わず、次の興行には元気に参戦するんだろうなと思っていました。

しかし、それ以降、亜利弥’さんがWWSのリングに上がることは二度とありませんでした。
今思えば、ちょうどその頃は亜利弥’さんが癌宣告を受けた時期と重なります。
まだ誰にも打ち明けられず、亜利弥’さんが“癌”という見えない敵と一人で闘っていた頃だったのですね。

リングサイドには、オイラやミス・モンゴル選手といった、特に生前亜利弥’さんと仲良くさせていただいた選手や、PURE-J女子プロレスの面々が集まりました。
10カウントゴングの間、それぞれが亜利弥’さんとの思い出を噛み締めていたことでしょう。

とにかく、楽しいことや冗談を言い合うのが大好きだった亜利弥’さんとポーゴさん。
今頃、天国で『バカ話』をしているのかなぁ…。

《超変則!? ミックスドタッグマッチ!!》

〇ケン・片谷&佐野直(逆エビ固め)ミス・モンゴル&MASAMI●

通常、男女ミックスドタッグマッチといえば、男女のタッグチーム同士が対戦したり、あるいは男子のタッグマッチの中に一人だけ女子が入ったり(またはその逆)するスタイルのことを言います。

ところが、今日のミックスドタッグマッチは、男&男vs.女&オカマという、なんとも無茶苦茶な組み合わせとなりました。

WWSの所属選手であるMASAMI選手とは、試合会場で挨拶はするものの、試合で当たったことは一度もありません。

あっ! いや、そういえば7月に新木場で行われた、ポーゴさんの一周忌興行での『WWSスペシャルバトルロイヤル』で一度だけ絡んだことがありました!

MASAMI選手については、いわゆる“ゲイレスラー”の印象しかありません。バトルロイヤルの時も、いかがわしい試合っぷりだったことをよく覚えています。

オイラが子どもの頃にも、エル・グレコ、エル・エルモソといったオカマのタッグチームが新日本プロレスに来日したことがあります。
また、暴走ファイトで知られるアドリアン・アドニスが突如WWF(現WWE)にオカマキャラで登場したこともありました。
また、弊社CMAプロレスリングでも、男色ディーノという典型的なゲイレスラーを輩出し、これまで多くの男性ファンやレスラーにご迷惑を掛けて来ました。

しかしながら、オイラが直接オカマレスラーと対戦するというのは、できれば避けて通りたい道です。

先発は、佐野選手とMASAMI選手。佐野選手が技を出す度に、MASAMI選手は「痛~い!」「いや~ん!」「助けてぇ~!」と、猫なで声を出す始末。
とても試合にはなりません。
パートナーであるミス・モンゴル選手でさえすっかり呆れ顔で、MASAMI選手からのタッチを拒み続けています。

佐野選手からオイラにタッチが回ってきました。
女々しいファイトばかりするので、ならばと男子でいう「急所攻撃」を試みてみました。
するとMASAMI選手は、まるで男のように痛がったのです!
オイラが
「おい! 女のくせに何で痛がるんだよ!?」
と聞くと、
「まだ付いてんのよぉ~。」
と、弱々しく答えました。

今度は必殺“電気あんま”攻撃です!
これにはMASAMI選手もタジタジでした(笑)。

ようやくMASAMI選手のタッチを受けたモンゴル選手の八面六臂の活躍で、女&オカマチームが優位に立ち、止めとばかりにモンゴル選手がコーナーに上がった瞬間、何とMASAMI選手は「替わって替わってぇ~っ!」と、モンゴル選手にタッチを求めたのです。
半ば強引にタッチしたMASAMI選手が今度はコーナーに上がります。
どうやら、伊藤薫選手直伝のフットスタンプを佐野選手にお見舞いしたいらしいのです。
それにしても、他力本願で優位に立ったところを、自分の手柄にしようという姑息な手段は許せません。
ところが、すったもんだしていた時間があまりにも長かったため、大の字だった佐野選手はもうすっかり起き上がっています。
MASAMI選手は、あわれコーナーから引きずり下ろされ、あっけなく負けてしまいました。

お客さんは大喜びで、中には涙まで流して笑いが止まらないといった方もいましたが、オイラ的にはこんなハチャメチャな試合はもう二度とごめんですね。

《谷津さんの天然ボケ》

全6試合が終了し、リング片付けをしている時、大先輩の谷津嘉章さんが、オイラに何か言いたそうにしています。

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