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総合格闘技団体UFC(Ultimate Fighting Championship)は日本時間2018年8月26日(日)にアメリカ・ネブラスカ州リンカーンにあるピナクル・バンク・アリーナにて”UFCファイトナイト・リンカーン”を開催した。
ライト級ランキング7位につけるジャスティン・ゲイジー(アメリカ 18勝2敗)と同10位のジェームズ・ビック(アメリカ 13勝1敗)が拳を合わせたメインイベントはビックが長い手足を生かして積極的に打撃を食らわせていくも、ゲイジーが相手をケージ際に追い込んだ後に放ったオーバーハンドライトがビックの顔面を打ち抜き、衝撃を受けたビックはそのままマットにダウン、1ラウンドわずか1分27秒でゲイジーのノックアウト勝利となった。
セミメインイベントではマイケル・ジョンソン(アメリカ 18勝12敗)がアンドレ・フィリ(アメリカ 18勝5敗)とのフェザー級マッチに臨み、第2ラウンドでは背後を取られて一本負けの危機に直面したものの、序盤に稼いだ有効打が功を奏し、スプリット判定で白星を勝ち取っている。過去3試合で黒星が続き、調子を上げられていなかったジョンソンは連敗脱出を果たした。
また、メインカードでブライアン・バーバリーナ(アメリカ 13勝5敗)とのウェルター級マッチに挑んだジェイク・エレンバーガー(アメリカ 31勝14敗)は1ラウンド半ばでTKO負けを喫してしまい、オクタゴン最後の試合を勝利で飾ることはできなかったが、試合を終えて次のようにコメントしている。
「家族や友人から盛大に応援してもらえるから、地元に戻ってくるといつも圧倒される。でも、俺はそのために生きている。名誉なことだけど、常に予定通りに行くとは限らない。人生はでこぼこ道さ。子どもたちに、真っ直ぐな道を前に進み続けるんだと教えたい。UFCのみんなと一緒にやれたことがうれしかったし、誇りに思う。誰もがいつも良くしてくれた。ここで戦えることを常に特権だと思ってうれしかった。今は次のフェーズを楽しみにしている。思っていたよりも少しだけ早い終わりなのは確かだけど、それも人生だ。自分のやってきたことを誇りに思っている」
次回、UFCはアメリカ・テキサス州ダラスを訪れ、アメリカン・エアラインズ・センターを舞台にUFC 228を開催する。メインイベントはウェルター級チャンピオンのタイロン・ウッドリーが同級ランキング2位につけるダレン・ティルを迎え撃つタイトルマッチが予定されており、セミメインイベントでは女子フライ級王者ニコ・モンターニョとナンバー1コンテンダーのワレンチナ・シェフチェンコがチャンピオンベルトをかけて激突することになっている。
■ UFCファイトナイト・リンカーン
日時:現地時間2018年9月25日(土)、日本時間26日(日)
会場:アメリカ・ネブラスカ州リンカーン ピナクル・バンク・アリーナ
<メインイベント ライト級マッチ 5分5ラウンド>
○ジャスティン・ゲイジー
1ラウンド(1分27秒)KO
●ジェームズ・ビック
勝者ジャスティン・ゲイジーのコメント
「このゲームは容赦ないな。俺がそうなっていたかもしれない。これが俺たちのやっていること。俺はこのスポーツじゃ一番小さいフェイクなヤツさ。全部、個人に対するものだと受け取る。あいつが言ったことはすべてオレ個人に向けたものだと思っている。ヤツを眠らせてやれてうれしいよ。毎回、ここに上がる時は25分間に備えている。自分自身もそうだし、相手のことも何ひとつ疑っちゃいない。ジェームズが万端なのも分かっていた。後ろに動きながらヤツに打ち込むのは難しい。だから俺は前に前に攻めながらパンチを当てていったんだ。俺について言いたいことがあれば好きにすればいい。ただ、俺はパンチを見切って額にお返ししてやる。受けるつもりはない。次は誰だ? 俺は2連敗中だったし、このスポーツは本当に容赦がない。次に誰と戦おうが構わないさ」
<メインカード フェザー級マッチ 5分3ラウンド>
○マイケル・ジョンソン
判定2-1(29-28、29-28、30-27)
●アンドレ・フィリ
勝者マイケル・ジョンソンのコメント
「フィリのようにタフな相手と戦って勝てたことは本当にいい気分。これでフェザー級の勝利が手に入った。ここにとどまってタフであり続けなければならないと分かっていた。彼のチームメイトと戦った前回の試合から学んだんだ。背中を取られたけど、うまく守れたしね。唯一、驚かされたのはものすごくうまく距離を取ってきたこと。俺の左手から距離を取り続けていたから、相手側がきっちりと課題に取り組んできたってことだ。でも、俺は俺で相手を捕らえられた。第2ラウンドでひっくり返した時に勝ったと思った。彼はとても素晴らしい相手だったし、勝利街道に戻ってこられてうれしい。ものすごくホッとした。スプリット判定勝利じゃ次の相手を指名できない。俺のファイターとしてのタイプはみんな知っているだろ。相手になってくれる人がいたら誰でもいい。ランキングを上げていきたい。トップの立場を取り戻したいんだ。ライト級とフェザー級のトップ5に入る。ただ、スプリット判定勝ちじゃ相手を指名できないよ」
<女子ストロー級マッチ 5分3ラウンド>
○コートニー・ケイシー
判定2-1(29-28、30-27、29-28)
●アンジェラ・ヒル
勝者コートニー・ケイシーのコメント
「いい気分よ。ここ2試合はフェリスとウォーターソンというタフな相手と戦った。ヒルもタフだったわ。今回の試合は直前だったけれど、タフな相手とやりたかったから。ヒルがそうだと思って臨んだ。これ以上ない相手だったし、これ以上ない殴り合いになった。彼女はストライカーとして知られているし、私はグラウンドファイターだと思われているけど、私だって打っていけるの。彼女とスタンディングで戦いたかった。自分が最強のレスラーだとは思っていないから、こういうショットを打ち込んでいきたかった。力強い打撃とかなりのカウンターを練習したわ。いつももっともっとやれると思っている。もしフィニッシュできなかったとしたら、何か間違っているということ。だから、イチから出直しね。年末に戦いたい。ティーシャとか、トップ15の相手とやりたいわ。マッケンジーが試合を望んでいるはずよ。ここからすごい試合が続くから、どうなるか見てみるつもり。ティーシャに興味があるけれど、マッケンジーが試合を望んでいるのなら。彼女は私たちのジム出身だし、彼女のことは尊敬しているけれど、彼女と戦うことに抵抗はない。彼女がトップファイターを望んでいるとすれば、私がトップファイターとして相手になるわ」
<ウェルター級マッチ 5分3ラウンド>
○ブライアン・バーバリーナ
1ラウンド(2分26秒)TKO
●ジェイク・エレンバーガー
勝者ブライアン・バーバリーナのコメント
「最高の気分だ。自分のパフォーマンスには本当に満足している。最後に試合してからほぼ1年。腕がさび付いたとは思っていない。相手の打撃を数回食らったのも別に構わないさ。何も感じなかったし、戦い続けられたからね。ランキングなんて気にしない。ファイターのタイプが気になる。エキサイティングなショーを見せたいんだ。マイク・ペリーとカウボーイ(ドナルド)・セラーニの勝者とやりたい。今回がジェイクのラストファイトになると考えていた。インタビューでも言ったことだけど、だからといって尊敬していないわけじゃないんだ。彼は素晴らしいファイターだ。レジェンドらし、このスポーツで多くのことを成し遂げてきた。彼のことは心から尊敬している」
<フライ級マッチ 5分3ラウンド>
○デイブソン・フィゲイレード
2ラウンド(3分08秒)TKO
●ジョン・モラガ
勝者デイブソン・フィゲイレードのコメント
「これで15勝0敗だ。タイトルに挑戦したい。UFCで3回のノックアウト勝利を挙げている。もし俺がタイトルに挑戦できないなら、デメトリアス・ジョンソンとやらせてくれ。俺がチャンピオンになるんだってことを示したい。目標はノックアウトすることだったし、それをやり遂げた。自分より強い相手を見たことがない。俺と向かい合ったら最後、ノックアウトされるだけだぜ」
<ミドル級マッチ 5分3ラウンド>
○エリク・アンダース
3ラウンド(4分42秒)KO
●ティム・ウィリアムズ
勝者エリク・アンダースのコメント
「ちょっと出だしが鈍かった。ラウンド終盤にリズムをつかめた感じだ。最初のラウンドはかなり気持ちが高ぶってしまっていた気がする。”この試合には負けられない”と気負っていた。だから、マウスピースを少しかみしめて、その後はちゃんと打ち込んでいけたし、左手に頼るだけじゃなくてコンビネーションも組み入れられた。常にフィニッシュを狙っている。エキサイトしたいからね。つまらない試合を見せるファイターにはなりたくない。ノックアウトして大勝利を遂げたいんだ。エリアス・セオドルよ、サンパウロに出るんだってな。がんばってくれ。ただし、トロントでも試合がしたいんだろ。12月に”あいさつ”に行ってやるよ。彼はトップ15だ。俺がキャリアの次のレベルに行くにはその試合が踏み台になるはずだ」
【プレリム】
<ウェルター級マッチ 5分3ラウンド>
○ジェームス・クラウス
2ラウンド(2分28秒)KO
●ワーレイ・アウヴェス
勝者ジェームス・クラウスのコメント
「スピード勝負だな。あの膝は自分の中でもベストのひとつだ。ローキックはフェイクで、膝を頭に食らわせてやった。いつだってあれが決まるんだ。今回の勝利は自分への宣言でもある。俺がここに来たら、いつだっていくつかの疑問に答えなきゃならない。それをやったまで。この階級では最高の気分だ。強さも感じるし、ハードに打ち込めるってことも、もちろんある。トリッキーだし、カーディオもいい。今は家族と一緒にいたい。自分の人生をこのスポーツに捧げているし、家族はそれを理解してくれている。だからこそ、家族は俺との時間を過ごすべきだと思う。マジでクールな答えを言えたらよかったんだけどね。ワーレイのことしか頭になくて。暫定チャンピオンを相手にフィニッシュ勝利したヤツだ。見過ごすことのできない相手だった」
<バンタム級マッチ 5分3ラウンド>
○コーリー・サンドヘイゲン
2ラウンド(1分01秒)TKO
●ユーリ・アルカンタラ
勝者コーリー・サンドヘイゲンのコメント
「この試合に負けるつもりはないと自分に言い聞かせていた。辞めないって声明文も出したしね。自分のやりたかったことができなかった。序盤は失敗したけど何とか対処した。マウントを取ってやり返せた。2ラウンド目は相手がもうほとんどやれていないことも分かっていたから。勝つためにあと少しやるだけだと思っていたんだ。ユーリはたぶん、トップ20には入っていただろう。今年中にはトップ15の誰かとやりたい。年内にもう1試合したいし、来年も数試合して、みんなに俺の名前を知ってもらう。テッペンを見据えるのはそれからだ」
<ミドル級マッチ 5分3ラウンド>
○アンドリュー・サンチェス
判定3-0(29-28、29-28、29-28)
●マルクス・ペレス
勝者アンドリュー・サンチェスのコメント
「全然落ち着けていなかったから、疲労のせいで2試合を落とした。今回のキャンプは冷静になることがカギだった。トレーニングして、激しいスパーリングに取り組み、トライスターには最高のコーチとトレーニングパートナーがいるからね。ガードと打撃を強化しながら、カッとならないようにメンタル面の強さも身につけた。これは試合だから打たれて当然なんだ。それを受け入れるってことを学んだ。相手をなじったのはヤツを怒らせて、いつも自分がやっていたことをやらせようと思ったからさ。これまでの俺はカッとなって大振りをかましてガス欠。相手をビビらせてやりたかった。相手のパンチが飛んでくるのは見えたしね。次に誰とやりたいかは考えたことがない。2連敗中だったから、とにかく生き残ることが大事だった。振り出しに戻して、次に誰とやりたいか考えてみるよ」
<ウェルター級マッチ 5分3ラウンド>
○ミッキー・ガル
1ラウンド(1分09秒)サブミッション(リアネイキドチョーク)
●ジョージ・サリバン
勝者ミッキー・ガルのコメント
「パフォーマンスには満足しているけど、いつだってやれるような内容だ。自分にとって新しいものは何も見せられていない。練習再開だな。ひたすら打撃に取り組んできたし、それを見せたくてうずうずしているんだ。試合で見せたかったのに、チョークでいけたからな。もっとがんばらないと。まだ表面を触ったにすぎない。ジョージ・サリバンのことは尊敬しているんだ。ジャージーのレジェンドと戦えて光栄だった。マディソン・スクエア・ガーデンで戦いたい。そこで俺を倒したいと言うやつがいたら、そいつとやりたい。ここはコーンハスカー州(ネブラスカ州の別名)だろ、セージ・”コーンカット”か、レジェンドのディエゴ・サンチェスかな。ディエゴとならすげえ試合になりそうだ」
【アーリープレリム】
<女子フライ級マッチ 5分3ラウンド>
○ジョアン・コールダウッド
1ラウンド(4分57秒)サブミッション(アームバー)
●カリンドラ・ファリア
勝者ジョアン・コールダウッドのコメント
「みんなが自分に対してどこに付け込もうとしているのか気づき、自分が改善すべきところに気がついた時、なぜファイターたちが私をテイクダウンしてくるのか理解した。だから、柔術をしっかり仕上げないといけなかったの。シンジケートMMAに移籍したら、彼らがすべてうまくやってくれたわ。今の私の柔術はものすごく良くなっている。よりバランスが取れた感じね。アクティブでい続けたい。この階級は私が活動的でいられるところだと思う。2カ月ごとくらいに戦いたい。目標はアクティブでい続けること、目の前に用意された相手なら誰とでも戦うことよ」
<ライト級マッチ 5分3ラウンド>
○ドリュー・ドーバー
判定3-0(30-26、30-26、30-27)
●ジョン・タック
勝者ドリュー・ドーバーのコメント
「この大きなショーを見たのは17歳の時だった。前回はオマハで、一番高いところにある席からUFCを見ていたんだ。現実じゃないみたい。うまく説明できないけど、新たな一歩に過ぎないとは思っている。まだまだここからだ。自由な発想が創造力を養う。自分のオプションも武器も制限したくなかった。相手が柔術の黒帯なのは分かっていたけど、世界のどんな黒帯だって倒せると思っている。スキを見せたらそこを突く。次? 誰だろうと、どんなケージだろうと、どの場所でもいい。気にするもんか」
<バンタム級マッチ 5分3ラウンド>
○ハニ・ヤヒーラ
1ラウンド(1分31秒)サブミッション(ヒールフック)
●ルーク・サンダース
勝者ハニ・ヤヒーラのコメント
「相手はかなり手強そうに見えたけど、ニーバーが弱かった。あまり防御ができていなかったから、レッグロックが弱点なんだなと思って。そこを攻めていったんだ。体はかなり強かったけど。この階級のトップと戦いたい。タイトルを狙いたい。ディラショーとやってチャンピオンになりたいんだ。サンダースをタップさせたように、彼のこともタップさせてやる。今は自分の最高のレベルに達している。トレーニングキャンプでいろんなことを変えて自信がついた。最高潮だからこそ、この階級の誰でも打ち負かせると思っている」