[週刊ファイト7月26日号]収録 [ファイトクラブ]公開中
▼井上譲二の『週刊ファイト』メモリアル第44回
毎年7月になると破壊王の年を数えてしまう・・・
・彼の強烈なキャラはスターの証
・橋本はきついジョークで周囲の者を笑わせていた
・最後に会ったときの橋本の表情は別人のように暗かった
・私は破壊王の復活を信じていた
“破壊王”橋本真也さん(享年40)が他界して丸13年・・・彼の試合に熱狂したファンもきっと同じだと思うが、私は毎年7月になると橋本さんを思い出す。
彼の強烈なキャラはスターの証。健康を維持していたら53歳の現在、まだまだ第一線で活躍していただろう。プロレス人生のやり直しも可能な年齢だっただけに、亡くなったときに橋本さんの無念の思いが伝わってきたものだ。
橋本真也
同期の武藤敬司や蝶野正洋の人間性は2人がスターダムにのし上がってからも変わらないように見受けられたが、根が単純な橋本真也は人気が上昇するにつれ下の者に威張り始めた。
我がままかつ短気。最初の大阪ドーム大会の前、大阪・難波でのプロモーション・イベント出演後にタクシーが到着していないことにイラつき営業の菅林直樹氏(現・新日プロ会長)を思い切り怒鳴りつけたこともあった。
「タクシーが遅れたぐらいで・・・」と私は狼狽する菅林氏に同情したものだが、実はその菅林氏に限らず日常的にどやされている後輩たちも橋本を慕っていたのだ。
口は悪いが他人に対し思いやりがあったのだろう。それは私も取材中に感じたことがある。
さらに、橋本はきついジョークで周囲の者を笑わせていた。
新日プロ在籍時に他社の記者、カメラマンのいる所で橋本にインタビューしたときだった。
私が「○○さんの付け人をやっていた頃、1番苦労したことは?」と聞くと、彼はニヤつきながらこう答えた。