ケン・片谷『メシとワセダと時々プロレス』㊿[ファイトクラブ]早慶戦いろいろ

[週刊ファイト7月19日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼ケン・片谷『メシとワセダと時々プロレス』㊿
 早慶戦いろいろ
・『第69回 早慶サッカー定期戦』『第76回 早慶バスケットボール定期戦』
・“七夕決戦”として行われたサッカーとバスケットボール
・“ア式蹴球部”とは「アソシエーション式フットボール」に由来
・『早慶レガッタ』『早慶アメリカンフットボール定期戦』
・『早慶アイスホッケー定期戦』『ラグビー早慶戦』『ラクロス早慶戦』
・格闘技『早慶対抗柔道戦』『レスリング早慶戦』『早慶ボクシング定期戦』
・『囲碁早慶戦』~対戦相手がいるから自分自身が輝くことができる


野球だけじゃない! こんな早慶戦も? 七夕決戦! サッカーとバスケットボール
ア式蹴球部とソッカー部って何? 学生スポーツの誇り! エール交換

例年になく早い梅雨明けで、連日猛暑が続いています!
また、西日本を中心とした豪雨・水害により、被害に遭われた方々におかれましては心よりお見舞い申し上げます。

七夕前に梅雨が明けたことで、今年は織姫と彦星も大いにデートを楽しんだことでしょう。
その日、下界では熱い闘いが繰り広げられていました。

『第69回 早慶サッカー定期戦』
『第76回 早慶バスケットボール定期戦』

二つの“早慶戦”が、七夕の日に同日開催されたのです!

早慶戦といえば、すぐに野球が浮かぶと思います。
東京六大学野球連盟に属する、早稲田大学野球部と慶應義塾大学野球部の2校は、特にライバル視され、リーグ戦の中でも最も注目を集める対戦です。
春と秋に行われるリーグ戦では、最終戦の早慶戦は優勝の行方には関係なく、神宮球場に多くの学生、卒業生、ファンを集めて行われます。

その歴史もさることながら、両校の試合は必ずリーグ戦最終戦に行われ、通常2試合ずつ行われるリーグ戦もこの対戦に限り、1試合単独で行われるという特別待遇です。

プロ野球でいえば、巨人vs. 阪神の“伝統の一戦”がこれに当たると思いますが、実は、大学野球の歴史は、プロ野球のそれよりもずっと古く、プロ野球(NPB)発足当初は大学野球の方がプロ野球よりも人気が高かったということはあまり知られていません。

早稲田大学と慶應義塾大学。この両校が日本における私学の雄であることに異論を唱える人は少ないと思いますが、両校のライバル意識たるや、周囲が思っているレベルとは比べ物にならないほど、内部の人間は強く抱いているのです。

入学難易度のひとつの物差しである偏差値はもちろんのこと、一流企業への就職率や親の職業等々、ありとあらゆる事柄で常にお互いを意識し合い、時には高め合っているのです。

そんな中、両校の学生が最も闘志をむき出しにし、激しい応援合戦を繰り広げているのがスポーツです。
日本のスポーツシーンにおいて、長い歴史を持ち不動の人気を誇ってきた野球は、その最たるものと感じます。

しかし前述の通り、早慶戦はなにも野球だけに限ったものではないのです。

“七夕決戦”として行われたサッカーとバスケットボールも、早慶戦の歴史を刻んできました。
特筆すべきは、野球のようにリーグ戦の中で行われるわけではなく、『定期戦』として年に一度(あるいは二度)単独で行われるのです。

特に、今年はワールドカップと開催時期が被ったため、いつも以上にサッカーには注目が集まりました。
定期戦が行われる4日前には、早稲田キャンパスにおいて、早慶定期戦に臨むサッカー部の壮行会まで開かれました。

応援部やチアリーダーの指揮により、部員を鼓舞し、またキャンパス内にいる学生を会場である等々力陸上競技場に呼び込もうという目的です。

あいにくの天気にも関わらず、たくさんの学生が応援部の前に集まりました。
部員を代表して、数名からあいさつがありました。
その中の一人、スポーツ科学部4年の相馬勇紀選手は、すでにJリーグ、名古屋グランパスへの入団が決まっているそうです。
ミーハーなオイラは(笑)、すぐに相馬選手を捕まえて、ちゃっかりツーショット写真を撮らせていただきました。
ぜひ、名古屋グランパスで活躍を重ね、近い将来日本を代表するプレーヤーになって欲しいと思います。
その時には、この写真の価値が上がるかなぁ!
オイラと同期の、相馬選手をよろしく(笑)!

試合は、等々力陸上競技場におよそ18000人の大観衆を集めて行われました。
一点を先制されたものの、注目の相馬選手からのコーナーキックを、武田選手がヘッディングで合わせ同点!
さらに、同じようなシチュエーションで、相馬選手のコーナーキックを武田選手がゴールし大逆転!
見事、早稲田大学ア式蹴球部が慶應義塾大学ソッカー部を2-1で下しました!

ちなみに“ア式蹴球部”とは、「アソシエーション式フットボール」に由来するとか。また、慶應義塾のサッカー部が“ソッカー部”という理由は、初代部長の浜田諭吉氏が“soccer”の発音は、サッカーよりもソッカーに近いということで、そのように命名されたそうです。

早稲田大学ア式蹴球部は、女子も3-1で勝利し、男女ダブル優勝!
さらに、大田区総合体育館で行われたバスケットボールも、男子が84-58、女子が102-50でそれぞれ慶應義塾に勝ち、サッカー、バスケットボールとも“真夏の早慶戦”は、男女完全優勝を果たしたのです!

選手と学生が、ライバル校に勝つために心をひとつにする。そんな早慶戦ですが、実は他にもこんなにたくさんの早慶戦があることをご存知でしょうか?
中にはこんなに珍しいものもあるんです!

『早慶レガッタ』

毎年4月に隅田川で開催される、ボートの団体戦です。日程的にいうと、“年度で最も早い早慶戦”となります。。1隻のボートを8人で漕ぎます。8人の息がピッタリ合わないと、絶対に勝利はありません。
ちなみに、オイラが入学した年は、早稲田がコースアウトによる失格。2年生の時は、転覆による失格。3年生の時にようやく勝利したという経緯があります。

『早慶アメリカンフットボール定期戦』

こちらもリーグ戦に関係なく、毎年ゴールデンウィーク頃に駒沢陸上競技場で行われます。野球やサッカーとは一味違った華やかさと、アメリカナイズされた応援合戦が見ものです。

『早慶アイスホッケー定期戦』
例年ですと、1月に早稲田大学の主催、5月に慶應義塾大学の主催で年に2回行われます。アイスホッケーは“氷上の格闘技”と言われるだけあって、生で観ると超ド迫力です! 学生スポーツですので、さすがに乱闘はありませんが(笑)、激しいぶつかり合いは必見です!

『ラグビー早慶戦』
野球に匹敵するほど早稲田のラグビー部は名門ですね。ラグビーといえば“早明戦”の方が注目されがちですが、慶應義塾のラグビー部も歴史があります。「タイガージャージ」と呼ばれる黄色と黒の慶應のラガーシャツがカッコいいんですよ! オイラは何故かそそられてしまうんです(笑)。

『ラクロス早慶戦』
メジャースポーツとは言い難いラクロスですが、観ていてとてもエキサイティングな競技です。ラクロスというと、なんだか高貴なイメージがありますよね? そのせいか、どうやらやや慶應に分があるようです(笑)。

『早慶対抗柔道戦』
『レスリング早慶戦』
『早慶ボクシング定期戦』

もちろん、格闘技にだって早慶戦はあります。面白いのは、柔道の団体戦のルールです。通常、柔道の団体戦は、5対5または3対3、まれに7対7なんてのもありますが、早慶戦はなんと20対20の勝ち抜き戦で行われるのです!
当然、時間も掛かります。かなり根気の要る対抗戦ですね。

珍しいところで『囲碁早慶戦』というのもあります。
えっ!? スポーツじゃないって(笑)?
確かにそうですね。
でも、こんなところでもライバル心を燃やす! 早慶ならではと思いませんか?

早慶戦をはじめ、アマチュアスポーツには、プロスポーツには存在しない、ある良さがあります。
それは「エール交換」です。
早慶両校が、どれだけライバル心を燃やしていても、決して憎しみあっているわけではありません。
エール交換では、自チームの勝利を願い、相手チームの健闘を讃えるのです。
汚い野次を飛ばしたり、相手を非難したり侮辱する行為などは絶対にありません。
正々堂々と闘い、勝っても負けても試合が終わればノーサイド。
対戦相手がいるから、自分自身が輝くことができる。またその逆も然り。
相手に最大の敬意を表することが、アマチュアスポーツの原点なのです。