気になっているファンも多いと思うが、ここ数年、ノアなどのメジャー・マットに上がっていた20代、30代前半の発展途上の選手のレスラー廃業が増えつつある。
例えば入門テストに合格した数人の練習生が、デビュー前に次々に辞めてしまい、結局デビューできたのは1人か2人というパターンはずっとあった。
しかし、苦しい練習生期間を耐え抜き、晴れてプロレスラーとしてデビューしたというのに、わずか数年したら辞めてしまうというのは何とも解せない。
ある意味、1 番つらい新弟子時代を乗り越えたらプロレスほど気楽な稼業はないからだ。やはり辞めていった連中は根性が足りなかったのか?
いや、そうではない!
彼らは夢を見られなくなったプロレスに見切りを付けたのだ。幼い頃から夢見ていたプロレスラーになるため、プロレス団体に入門し、厳しい練習や雑用作業を日々こなし、半年か1年後にデビューしてプロのレスラーになったものの、とてもプロレスだけで食べていけないとなれば自分の人生を見つめ直しても仕方がない。
インディー団体の選手はほかで仕事をしながら、好きなプロレスを“副業”的にしている者も多いが、いわゆるメジャー団体に入門したのに、「プロレスを続けていてもまともに食っていけない」と、泣く泣く夢を捨てざるを得ない状況にあるというのは、ある意味衝撃的だ。
今週号ではその中の1人として、ノアから突然引退が発表されてファンを驚かせた伊藤旭彦が、なぜ引退という道を選んだのかを追っている。
伊藤は若い頃の小橋建太のイメージカラーであるオレンジを受け継ぎ、将来を有望視されたレスラーにも関わらず、「2010年2月7日(日)をもちまして、弊社所属 伊藤旭彦選手が引退しましたことをご報告いたします。」というリリース文のみで突如引退が発表された。
会見が行われることもなければ、引退の具体的な理由が明かされることもなかったため、ファンの間でも様々な憶測が飛び交っているようだ。
元週刊ファイト編集長の井上譲二記者は、ほかのマスコミがどこも報じない伊藤の引退理由をキッチリ調べて報じているので、そこはぜひ本誌を読んでいただきたいが、決してケガをしたわけでも、病気になったわけでもない。
伊藤も泣く泣く夢を諦めなければいけない“理由”があったのだ。
ぜひ伊藤の引退理由を読んでいただき、プロレスファンには考えてもらいたい。伊藤はプロレスを続けるべきだったのか、それとも辞めて正解だったのかを・・・