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障害者プロレスレポート 4/25「ここまで生きる」

 五年ぶりくらいの障害者プロレス観戦になる。パンフレットを買うと、だいぶ選手が入れ替わっていることに気づいた。
 いずれも個性的な障害者レスラーたちのプロフィールを紹介しつつ、試合の模様をお届けしたい。
 選手の障害の程度はさまざまで、脳性麻痺の選手が最も多いが、難聴や糖尿病による下肢切断までいる。

 第一試合は世界障害者ミラクルヘビー級選手権試合。ちなみにヘビー級、スーパーヘビー級、ミラクルヘビー級はそれぞれ障害の重さでクラス分けされている。ヘビー級は立って戦えるが、スーパーヘビー級は這って戦い、ミラクルヘビー級となると転がって移動するのがやっとである。

 王者のノーシンパシーに挑むのは、本日がデビュー戦のたれごりら。あがり症で1ラウンド終了時の休憩時に吐いてしまったほどだが、2ラウンドに下からのチョークスリーパーでノーシンパシーを仕留め、新チャンピオンとなった。

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 第二試合。ドキュメンタリー映画「無敵のハンディキャップ」で主人公となったことで最も名が売れているレスラー、サンボ慎太郎が日向野亮とタッグを組み、ローIQコンビ、天才まるボン・ワンミリオン松尾組に挑む。見た目も試合運びも、慎太郎組が「いいひと」、まるボン組が「悪い人」な展開になったが、慎太郎がワンミリオンをチョークスリーパーで無難に仕留めた。

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 第三試合。10年のキャリアを持つE.T.選手の引退試合である。
 何しろE.T.なので、宇宙に帰るという設定で、ウルトラセブン最終回のパロディ映像が試合前に流れた。
 対戦相手は首を脱臼しているよっこいしょ選手。首を攻撃されるとギミックではなく本当に死ぬので、首を攻撃してはいけないルールで試合開始。
 E.T.は引退試合の意地を見せ、10年のキャリアの中で初の3ラウンド突入を果たすも、フットチョークでよっこいしょに仕留められた。

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 第四試合は難聴の陽ノ道と足に障害を持つ永野・V・明。陽ノ道は対等に戦うため、自らも足に拘束具をつけることを申し出るが永野が拒否。ハンデなしの試合となった。
 ちなみに陽ノ道は難聴なので入場テーマはなし。
 試合は陽ノ道が積極的に打撃で攻め、掌底で永野をKO。ある意味永井が望んだとおり、全力で叩きのめされた試合となった。

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 第五試合はガン再発を恐れ、心の病を抱える中嶋有木と、難病のため医者からリングに上がることを止められていた関口洋一郎。
 中嶋は胸を血まみれにしながら戦うも、試合は関口がマウントからのパンチでTKO勝ちであった。

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 第六試合は障害者の會澤昌宏対引きこもりの虫けらゴロー。意外にも引きこもりの虫けらゴローがチョークスリーパーで勝利。

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 第七試合も障害者対健常者。マスクマンで片足が義足の激・大玉と、ドッグレッグスの創設者であるアンチテーゼ北島の対決である。
 あえて義足をつけて試合に臨んだ大玉だったが、北島がマウントから殴りまくって腕十字で仕留めた。
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 セミファイナルは世界障害者スーパーヘビー級選手権試合。このタイトルの他に無差別級のタイトルも持つ二冠王者の鶴園誠に、本日がデビュー戦のペイントレスラー大阪デビルが挑む。
「マックのドライブスルーに電動車椅子で入るほどのワル」を自称するデビルであったが、鶴園は殴りまくってチョークで秒殺した。

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 メインイベントは、アルコール依存症で女装マニアの愛人(ラ・マン)と、筋萎縮症で体重120キロの霊子の試合。両者ともミラクルヘビー級の障害者である。霊子は元看護師なのでナース服で、愛人は女装マニアなので自前のセーラー服で登場。

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 愛人の体重は41キロなので体重差はなんと3倍。しかも両者ともミラクルヘビー級なので転がって動くことしかできない。霊子に上に乗られると何もできない愛人だった。何とか2ラウンドまで耐えるが、レフェリーストップで霊子。

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 五年ぶりの観戦であったが、熱気は相変わらずで安心させられた。
 何かと誤解を招きがちな団体であるが、障害者を見せ物にしたいる訳ではなく、障害者自身が望んでリングに上がっているのである。
 妙な偏見や、「差別をなくす」と言いながら差別を助長している団体の声に負けず、興業を続けていって欲しい。

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2009年04月27日 09:38に投稿されたエントリーのページです。

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