みちのくプロレスの期待の若手レスラー、フジタ・Jr.ハヤト。
ーーー彼ほど感情を体現できるレスラーは、稀である。彼の両親は障害者であり、父親は障害者プロレス・ドッグレッグスにてゴットファーザーという名前で活動している。兎に角、彼のデビュー戦は感動的だった。
つまり…、『眼』である。
絶対無敵を感じさせる 彼のギラギラした眼光は、今のプロレス界が必要としている「光」そのものなのだ。両親が障害者であり、幼き頃からその言われ無き差別と闘ってきた彼の眼には、闘争心が溢れている。彼の眼は社会との熾烈な戦いの結果生まれたものなのだ。
思い返せば、リング上で相手を見据える猪木の眼は、常に試合の緊張感を演出していた。
圧倒的な鶴田のパワーと攻撃を受けても立ち上がる菊地の眼は、金子アナの言う通り「沖縄のシーサー」そのものだった。
前田が放つピリピリした視線が生む喧嘩腰の空気感は、ファンに最高の刺激を与えてくれた。
鈴木みのる の刃物のような眼は、白目になった時でさえ、観る者をゾクゾクさせた。
安生の攻撃を受けても微動だにせず、仁王の如く相手を見下ろす 長州の眼は、世界一 怖かった。
小川の眼は、薬物投与を疑わせる程、別世界にイッていた。
試合後、死人のようになってしまう程 完全燃焼する リング上の北斗の眼に、いつも胸を締め付けられた。そして、神取の眼に、ただただ萎縮した。キワモノのデスマッチを男の美学に変えてしまう程、大仁田の激情な眼は 観る者の心を動かした。
三沢、そして対峙する小橋の「プロレスの究極形」たるファイトは、互いの熱い「眼」の産物である。
かつて、プロレスブームの最前線には、この ギラギラした眼をもつ猛者たちが、自身のプライドと情念を、鍛え抜かれた肉体をフル稼動させ表現していた。
プロレス界が低迷している。言葉悪く言えば「なめられている」。今のプロレス界に欠けているもの…それは、あの獣の如き怪物たちのが生み出す「緊張感」なのだ。その バロメータが『眼』なのである。プロレスという信仰の根幹が「あのオーラ」の中にある。
悲しいかな、感動的であった 長州や菊地の眼も、今はその輝きを失っている。
だが、失望はしていない。Jr.ハヤトやKENTAのような「怖い者知らず」の若者がいる。あの闘争本能の塊が放つ「ギラギラした眼」が プロレス界の未来を支えてくれる気がしてならない。
さらなる若き獣たちが 生まれ育ってくれる事を ひたすら渇望する。
イラスト上・眼光鋭きレスラー 下・腕ひしぎ
櫛引圭太・漫画家(山口敏太郎事務所)