“ハイブリッドレスラー”船木誠勝(パンクラス創始者)独占インタビュー!

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 9月18日(金)に後楽園ホールで開催されるリアルジャパンプロレス『初代タイガーマスク黄金伝説~LEGEND OF THE GOLD II』では、「佐山サトルプロデュース試合」として第7代王者スーパー・タイガーに船木誠勝が挑むレジェンド選手権試合が行われる。船木にとっては6月末にWRESTLE-1を退団して迎える大一番。今も初代タイガーマスクに抱く憧れ、ストロングスタイル、そしてタイトルマッチへの思いを静かに、しかし熱く語った。(取材・文:長谷川亮)

――6月30日付でWRESTLE-1を退団し、フリーとなった船木選手です。退団会見では「最後の挑戦を、限定で期限つけて。50まであと4年、本当に踏ん張りたいと思います」と話をされていました。

船木 ダラダラやりたくないっていうのが、去年45の時からありました。40になってプロレスへ戻ってきて、そこからはほんとアッという間でした。もう巡業とかに行っていると考えてる暇がないんです。1年の半分ぐらいが旅ですから、考える間がなく毎月毎月が終わってしまう。それでアッという間に45になった感じです。それが悪いことではないんですけど、“このまま年を取るのかな”って考えて、自分の人生を振り返った時に“停滞してるな”って思っちゃったんです。

――同じく退団会見で「自分は何かしらの分岐点で突然場所を変えて生きてきた人間なので」という言葉も印象に残りました。

船木 それで今しかないって思ったんです。毎年夏に契約の更改があって、去年はWRESTLE-1をやって1年、“1年じゃ何も答えが出ないな”と思ってもう1年やったんですけど、そこで自分の中では大きな変化はなくて、今年もやったら来年はもう47になるので、1回フリーになって船木誠勝個人に戻ろうと思いました。

――フリーになって2ヵ月が経ちますが、どんな心境でいらっしゃいますか。

船木 心境は正直、鎖が取れた感じです。組織ってそういうものだと思いますけど、属していると保障はありますけど、ただ自由はないですよね。上から降りてきた仕事をやらなきゃいけない。それで1年が回るというか。

――団体に属している時でも、船木選手にはどこか孤高なイメージがあります。

船木 こういう仕事で、いつ誰と戦うことになるか分からないですから、あんまり仲間とかを作らないんです。これはずっと一貫していて、選手とはこういうスタンスで付き合ってきました。だからプライベートでは全く交流がないんです。たとえば携帯を変えて番号が新しくなったら、ふつうは番号が変わりましたって連絡を送りますけど、自分は送らないんです。なので、電話番号が変わったら番号を交換していた選手とはその時点でお別れになります。ただ、団体にいた時はその団体の選手には伝えていたんですけど。

――仕事の上で何か支障はなかったのでしょうか?

船木 仕事関係は全部妻がやっているので大丈夫なんですけど、レスラーの友だちはいないし、携帯が変わる度に連絡先が消えてます。でも、業界は狭いから、みんなどうにか調べてまた掛けてきますね。レスラーとか格闘家じゃない人とは普通に連絡先を交換してるんですけど、格闘家・レスラーとは近くなり過ぎないようにしています。いつ、誰とどうなるか分からないので。同じ団体になれば連絡先を交換しますけど、後はあんまりしないです。あまり交流しないようにっていうのは常に心掛けていました。

――船木選手から受ける孤高のイメージの理由が垣間見えるエピソードです。そういった中でデビューから30年を迎え、「最終章」と言うべき戦いがスタートしました。

船木 最近は本当に「最終章」だと思っています。その中で自分が憧れた人の団体で、憧れた人が設立したベルトに、憧れた人の弟子に挑戦するっていう、10代の頃の自分からしたら夢のような状況ですよね。

――まさに原点に戻るというか。

船木 原点もそうだし、終着点というか。そんな感覚でいます。このタイトルマッチが決まった時は“もういいや”って思うぐらい、思い残すことがないぐらい、本当に嬉しかったです。今でも自分の中に、どこか15歳のままの気持ちがあるんですよね。自己流でスクワット300回とかブリッジ3分とかやったり、通信販売で55㎏のバーベルを買って、リンゴの箱をベンチの替わりにして自己流でやっていた14、15歳の頃のことを思い出します。

――まさにそういった憧れが今の船木選手に繋がる原動力で、それから30年経った今も変わっていないと

船木 変わってないですよね(苦笑)。まず朝起きたらトレーニングしてますから。基本は同じですね。それが仕事になってるっていうのがほんとにありがたい話だと思います。それでこれから先の話になるんですけど、何とかしてこのスタイルを残したいっていう気持ちがあります。このストロングスタイルのプロレスっていうのは日本独自のものじゃないですか。格闘技っていうものがバックグラウンドにある、強い人間が行うプロレスっていうのはやっぱり無くなってほしくないです。

――やはり船木選手ご自身がストロングスタイルに強い思い入れ持っていると。

船木 ありますね。それが自分はプロレスだと思って若い頃に叩き込まれたし、今もそう思っていて、そうあるべきだと思っています。

――リアルジャパンプロレスはまさにストロングスタイルを標榜し、それを実践している団体です。

船木 最後にそれが残っている団体という感覚でいます。でもそれも、佐山さんが現場から姿を消すとまた変わってきてしまうと思うんです。徐々に元ある姿から変わってきてしまうのが人間じゃないですか。だから佐山さんはいなくなっちゃいけないんです。なので佐山さんが帰ってくる場所を残していきたいっていう気持ちはあります。

――6月のタッグで対戦した後、スーパー・タイガーを「素晴らしい選手」と評していましたが、それはやはり戦いからストロングスタイルを感じたからでしょうか。

船木 本当に実力があった上でのプロレスで、このスタイルを知ってる選手だと思いました。緊張感があったし、向こうにもそういう風にこっちを見たんじゃないかと思います。実際に組んで、体と体って正直なので、技を掛け合い蹴りの交換をする度に「強い」って思いました。それってすごい重要だと思います。プロレスは“戦い”ですから。やっぱりプロレスは誰でもかれでもできるものではないし、それは守っていかないといけないですよね。

――船木選手が思われるプロレスとはそういうものだと。

船木 特別な人がやるのがプロレスだと思います。誰でもはできない。実際にやるまでには1年、ほんとに厳しく苦しいトレーニングをして、それでデビューしてからもまた苦しい。第1試合からメインイベントへ上がっていく度にハードルが高くなっていく。誰でもがパッと見てパッとできるものじゃいけないし、苦しい練習が必要でなくなっちゃう時代が来てはいけないと思います。

――ではスーパー・タイガーはそこをクリアし、ストロングスタイルの王座を持つにふさわしい選手だと。

船木 そう思いました。しっかり実力があって、その上でプロレスラーっていう。あとタカ・クノウ選手にもそれを感じました。触られた瞬間からこの力はなかなか味わえない、特殊な寝技の力というか、本当に強いと思いました。

――では、リアルジャパンプロレスはそういう強者が集うリングというか。

船木 そう思います。やはりプロレスはそういう特殊な人の集まりであるべきだと思います。やっぱり戦いを表現してる訳ですから、“強い”っていうのが一番だと思うんです。だからレスラーは強くなければいけないし、ちょっと柔道とか空手をかじった人がポッと入門して倒されるようじゃダメですよ。昔の新日本はオリンピックに出たりバックグラウンドのある人がどんどん入門してきましたけど、それでも簡単には勝てないリングだったと思います。

――ストロングスタイルはそうした船木選手のプロレス像を表したものでもあるのですね。

船木 自分もストロングスタイルを残したいので、人を育ててみたいっていうのもあります。今はショー的なプロレスがクローズアップされているのでなかなかいないと思うんですけど、若い人に教えてみたい、伝えたいっていう気持ちがあります。それはこの年になって特に思います。佐山さんにはスーパー・タイガーっていう一番弟子がいるので、自分もそういった選手を作りたいです。

――フリーとなり、自身が望むストロングスタイルでのタイトルマッチと、今回はまさに大一番となります。

船木 これから先の勲章にもなるし、今後の展開も違ってくると思うので、今回は是が非でもタイトルを獲りたいです。最初決まった時は嬉しくて“もういいや、もうこれ以上望むことはないって”いう気持ちになりましたけど、一晩寝て“そのタイトルを獲りたい。憧れの人の目の前で獲りたい。できれば憧れの人に巻いてもらいたい”っていう夢に変わってきました。やるからには勝ちたいです。

――最後に改めて意気込みをお願いします。

船木 いろんな自分が思ってる気持ちとか全てを9月18日のタイトルマッチ、その瞬間に向けて持っていきたいと思います。もちろん相手との戦いでもあるんですけど、最終的に勝負って自分がどこまで耐え切れるかっていうところに掛かっているので、そこは集中力と気力、最後は精神力になるのかなと思って準備をしています。自分自身との戦い、自分の限界への挑戦でもありますし、そういう自分との戦いをしている自分を観に来てもらいたいと思います。

大会概要・対戦カード
9・18リアルジャパン後楽園! スーパー・タイガー×船木誠勝“衝撃の歴史的一騎打ち”

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