12.4リアルジャパン後楽園大会「conclusion~決着~」でリアル男度を検証する

 平日の18時30分試合開始にもかかわらず、初代タイガーと2代目タイガーの遭遇に対するファンの期待値は高く、立ち見続出の満員御礼となった本日のリアルジャパン。
 毎度、男臭溢れる熱い闘いが見られる後楽園大会は、今回は選手のリアル男度を
検証する形でレポートする。

■第一試合■ 
○間下隼人
VS
●齋藤彰文
(9分29秒/ラリアット→体固め)
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 毎度おなじみリアルジャパン的ヤングライオン杯。
 いまいち体の厚みが出てこない齋藤とパワー系やんちゃファイトの間下というおなじみのカードでおこなわれた第一試合では、場内からの「隼人コール」でニヤけて油断してしまった間下に齋藤が先制攻撃を仕掛ける形で試合開始。
しかしあっというまに形勢逆転。
 齋藤は細い体を活かしたサブミッションでなんとかしのぐが、まだまだ間下のパワーが上回った。
 間下のグーパンチや対角線上から放った両膝での打撃は強烈で、同じリアルジャパン所属の新人ライバル対決とはいえ、体つきや血の気の多さも含め完全なる格差が……。齋藤、普段の練習時からボコボコにされているのではないかと
心配にすらなってくる。
 特筆すべきは、フィニッシュのラリアットにつなげる前に間下がニヤリと笑ってから放ったラブポーズ(小さめ)からのシャイニングウィザード。これは2人の全力系第一試合のなかに輝く小さなエンターテイメントであった。
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 しかしそのノリといい、血の気の多さといい……ヤンキー間下のリアル男度:★★★

■第二試合■
●グラン浜田
ブラック・シャドー
VS
○折原昌夫
タイガー・シャーク
(8分3秒/体固め)
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 試合開始前、「プロレスの技術も超一流」というふれこみのナゾのマスクマン、ブラックシャドーの登場が話題をなっていたが、結果、シャドーが浜田を裏切り攻撃。シャドーと折原の合体ファンタスティックフリップで試合は決した。試合後、激しく乱闘を繰り広げているところへケンドー・ナガサキと仮面シューター・スーパーライダーが浜田を救出。折原率いるリアルダークと対立する構えを見せた。
 折原お得意の椅子を使った攻撃や場外乱闘で、流血に追い込まれた浜田がなんとか生還してタッチを求めた序盤の流れのなかで、すでにそれを一度無視していたシャドーに場内は疑惑の眼差しを向けた。さらにフィニッシュ以外はこれといって積極的に試合に関わろうとはしなかったため、ファンは四面楚歌になってしまった小さな巨人・グラン浜田に声援を送った。
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 最近58才の誕生日を迎えたばかりのベテラン浜田が顔面を鮮血で染めながらも必死で戦う姿は……リアル男度:★★★
 また、「クソおもしろくねぇ、リアルジャパンに…」とマイクアピールした折原に対し、「それは言いすぎだよ!」と返した常連ファンもいい感じのリアル男であった。

■第三試合■
●石川雄規
スーパータイガー
VS
○高山善廣
長井満也
(16分18秒/スリーパーホールド)
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 妙なタイミングでカットに入ったりとフォローが遅れがちなスーパータイガーに頼ることなく、帝王・高山と若獅子・長井にあくまでもバチバチスタイルで向かっていった石川は間違いなくリアル男。
 高山は終盤、スタミナ切れしたスーパータイガーを投げ飛ばし、石川と勝負をつけようとエベレストジャーマンを繰り出すが、石川はカウント2.9で肩をあげる。高山はあわてて虫の息の石川をスリーパーで締め上げて勝利をもぎ取った。
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 誰もが決まったと思ったエベレストジャーマンに屈しなかった石川のリアル男度:★★★★★

 試合後引き上げる際に熱いファンのハイタッチを受けながらも、期待に答えられなかった無念の表情とやりきった充実の表情を見せた石川は男前であった。
 ちなみにスーパータイガーは試合後「恥ずかしくてしょうがないです…」と自身の無力を嘆いていた。

■第四試合■
*レジェンドチャンピオンシップ(第3代王者決定戦)
●ザ・グレート・サスケ
VS
○アレクサンダー大塚
(16分33秒/SSD→体固め)
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 まずは両者入場後、スペシャルレフェリーとして起用されたユセフ・トルコの挨拶「私はタイガーマスクの大ファンです」「お菓子は森永!」「車はHONDA!」など試合とは無関係のCM的マイクが続くなか、コーナーでそれぞれ黙々と集中力を高めた両者をリアル男に認定したい…。

 試合はクラシカルなグラウンドの攻防から始まり、痛々しい頭突き合戦へ。
 サスケは場外への華麗なケブラーダや、コーナートップからのダイブなど満身創痍とは思えないほど的確に空中技をぶつけていく。大塚も場外での弓矢がためからのジャイアントスイング、さらに場外でのパイルドライバーを放つなど、次第に攻防は激化。
 終盤は大技を出し合う消耗戦となったが、最後は垂直落下式のブレーンバスターからSSDで大塚が勝利をあげ、プロレス人生14年目にして初めてベルトを手にした。
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 試合中は最近よく見られるサスケ独特のキテレツな攻撃が見られず、終始シリアスモードだったが、引き上げてきた後、ベンチに横たわりながら左手をプルプルと動かしながらコメントを出すサスケはいつものサスケであった。

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○サスケの談話
「アレクとこうやって肌を合わせるのは9年ぶりくらい。ヤツの魂を感じましたよ。(ケガの状態は)頚椎と胸ついと背骨の上半分がゆがんでマヒしています。試合ではどうにか動けるけど日常生活が大変で…ご飯の時茶碗が持てないんですよ。病み上がりシングル1発目ということで…自信がつきました。左半身失っても戦える! 現在、首にギブスを巻いた状態で戦えるようなマスクを発注しています。
(12.12みちのくプロレス後楽園大会でおこなわれる宇宙大戦争の)勝負は大道具・小道具になってくるでしょうね。また、後楽園で瞬間移動もしくは空中浮遊ができるかどうかやっているところです」
 ……こんなザ・グレート・サスケのリアル男度:★★★★★★★

■第五試合■
初代タイガー・マスク
●ウルティモ・ドラゴン
VS
○三沢光晴
鈴木鼓太郎
(15分24秒/エメラルドフロウジョン)
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 とにかくこの試合は、初代タイガーが三沢と対峙して1発目に放った目の覚めるような張り手に尽きる。三沢は手を広げてロックアップの様相を呈していたが、初代タイガーの一閃で着火し、エルボーで応戦。この2つのムーブだけで場内の客は魅了された。
 とはいえ、初代タイガー、三沢ともに必殺技を出そうとするとカットに入られ、ファンはじりじり。結局、両者のカラミは初代タイガーのソバット、三沢のエルボーなど打撃系の攻防に終始し、タイガードライバーおよびエメラルドフロウジョンはウルティモに対して浴びせられ、夢の競演は幕を閉じた……。
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 三沢は試合後「物足りなかった」と話していたが、それはファンも同様。しかし、こういう夢の対戦は寸止めがちょうどいいのかもしれない。
 個人的には、ベテラン・ウルティモが、伸び盛りの若手である鼓太郎との攻防において、スピードと技の重厚さの両方の面で上回っていたことに驚き。
 しかし、鼓太郎もベルトホルダーとしての意地を見せ、このそうそうたるメンツのなかで3カウントをとられなかったことは充分、称賛に値する。
 夢の競演に花を添えたウルティモと鼓太郎のリアル男度:★★★★★★

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○三沢の談話
「物足りなく終わったっていうのはあれかなと思うけど、こればっかりは仕方ないかなと思うけどね…。(佐山さんの打撃は)効いたねー。一発一発が急所に入ってくるのでね。
見てたら反応が間に合わない。時代の流れで(対戦が)今日になっちゃったっていうのは悔いの残ることなんだけど、やれただけでもよかった」