豊中 DEEP☆KICK ZERO 32 &33期待に違わぬ熱戦の連続となった

 挑戦者決定戦と王座決定トーナメント準決勝2試合。オープニングファイトはNEXT☆LEVELvs.KPKBの対抗戦。10月18日、豊中市・176BOXで行われた『DEEP☆KICK ZERO 32』は期待に違わぬ熱戦の連続となった。

(文・布施鋼治/写真・石本文子)

<メインイベント>
KING弥百希 vs. 狂介

 3度目の正直に向け、KING弥百希(ROYAL KINGS)が一歩前進。狂介(道化倶楽部)とのDEEP☆KICK-70kg挑戦者決定戦。試合は想像を遥かに超える緊迫した攻防が続く中、弥百希が3-0の判定勝ちを収めた。
 1R、先制したのは狂介の方だった。先手必勝とばかりにワンツーと右ローを畳みかけ、弥百希に付け入る隙を与えない。試合の流れが変わったのはお互いローブローを打ち合った直後だった。
 弥百希は痛烈な右をクリーンヒットさせ、悪い流れを断ち切るとともに狂介に大きなダメージを与えたのだ。その後は弥百希のペースで試合は進み、2Rも左ストレートで2度目のダウンを奪う。KOは時間の問題と思われたが、3Rになると勝利を意識しすぎたのか失速。逆に狂介に反撃を許したまま試合終了のゴングを鳴らした。勝ちは勝ちながら、メインイベンターとして課題が残る試合内容になってしまった。
 試合後、弥百希は狂介に「試合前から(挑発的な発言で)試合を盛り上げてくれてありがとう」と感謝の気持ちを述べ、「次は絶対に王者の本野にやり返す」と雪辱を誓った。
 2度あることは3度あるのか。それとも3度目の正直となるのか。

<セミファイナル>
駿希 vs. 和美

 第10代王者・井上大和(NJKF TOKEN KICKBOXING GYM)の王座返上を受け、4名参加のDEEP☆KICK-55kg王座決定トーナメントがスタートした。一方のブロックの組み合わせは同級4位の駿希(BK GYM)vs.和美(ヒデズキック福岡)。駿希はプロのキャリア全てをDEEP☆KICKで積み上げてきた生え抜き。デビュー以来5連勝をマークしていたが、昨年6月の王座決定戦では保井広輝(LoTgym)にプロ初黒星を喫してしまう。
 1年以上ぶりとなる今回の復帰戦のセコンドには、この日タイから戻ってきたばかりのラジャダムナン王者・中村寛が就く。
 青コーナーから登場した和美はヒデズキック福岡に所属する長髪の35歳。DEEP☆KICKには初参戦となるが、昨年11月には主戦場とするKPKBで元WMC日本スーパーフライ級王者である佐藤九里虎(FAITH)からダウンを奪った末に勝利を収めている実力者だ。
 そんな和美に対して駿希は1Rから右のカーフキックを効かせ、右フックでスリップダウンを奪う。2Rになっても、駿希の勢いは止まらない。三日月蹴り、テンカオで追い込み、ローキックでスリップダウンさせる。ラウンド終了間際には右フックをヒットさせ、勝負の流れを決定づける。
 続く3R、駿希は打ち合いの中、再び左フックを決め、和美からダウンを奪う。和美は立ち上がってきたものの、ファイティングポーズをとれずストップを宣告された。
 試合後、マイクを握った駿希は「皆さんの声援が力になりました。決勝に進めたけど、まだまだトレーニングが足りない。決勝に向け、精進したい」と謙虚に語った。

<第3試合>
平尾一真 vs. 細濱辰

 前日計量で「俺が強い。明日は自分を見せる。階級を上げての1戦、楽しみ」と語っていた細濱辰(TEAM MMK)が有言実行で、学校の先生からキックボクサーに転向した平尾一真(ReBuild)の勇気を粉砕し、12月6日開催のDEEP☆KICK-60㎏挑戦者決定トーナメント決勝に駒を進めた。
 1R、細濱は左フックと右ローのコンビネーションを武器に攻撃のリズムを掴む。さらにテンポのいいダブルのボディブローで平野のスタミナを削っていく。
 2R、平尾はカーフキックで効かせる場面もあったが、あとが続かない。逆に細濱は左フックで平尾をグラつかせ窮地に追い込む。
 3R開始早々、両者は激しいパンチの打ち合いを繰り広げる。平尾が左ストレートをヒットさせる場面もあったが、試合の流れは細濱がガッチリと掴んでいた。
 判定は3-0で細濱。試合後のヒーローインタビューでは「平尾選手はいい選手でした。トーナメント決勝では僕が一番上にいく」と興奮気味にまくし立てていた。

<第2試合>
崇斗 vs. 太田優

 前回DEEP☆KICKデビュー戦で悔し涙を流した太田優(BLOW GYM)が再起戦に臨んだ。その風貌はかつて日本とタイを股にかけて活躍した大田原友亮にどことなく似ている。
 DEEP☆KICKでの初勝利を目指し、サウスポーの太田は崇斗(HAKUBI GYM)を相手に1Rから左の飛び蹴り、横蹴りをミックスさせたような前蹴り、ハイキックと蹴りを中心に積極的に攻め込む。
 ラウンド終了間際にはボディに左のテンカオをクリーンヒットさせ、先制のダウンを奪う。2Rになっても、太田の猛攻は止まらない。ヒザでの攻撃に的を絞り、最後は飛びヒザ蹴りにで崇斗に引導を渡した。今後、-53kgをかき回す存在になるか。

<第1試合>
KING偉楓 vs. 新崎暖人

 プロ1戦1勝(1KO)のKING偉楓(ROYAL KINGS)がDEEP☆KICK初参戦。この日がプロデビュー戦となる新崎暖人(Striker.Fist.Gym)と激突した。
 決してスピードはないが、この階級では長身(175㎝)から繰り出すワンツーは破壊力十分。リズムに乗りかけたと思いきや、新崎のカウンターの右を食らい、先制のダウンを許してしまう。
 良薬、口に苦し。このダウンが効いたのか、その後偉楓は左のフックとテンカオを武器に猛然と新崎に襲いかかる。
 2Rになると、白熱したシーソーゲームに。ドスドスッという音が聞こえてきそうな、フルコンタクト空手的な攻防になった。セコンドからは「近づくな」という指示が出ていたが、偉楓は接近戦を選んでしまう。
 3R、もう倒すことしか勝利への道はない偉楓は「まとめろ」という声を背にさらに攻撃の手を加速させる。しかし新崎も粘って試合終了のゴング。スコアは三者とも28-28の痛み分けに。両者がキャリアを積んだ数年後に再戦を見てみたいと思わせる熱戦だった。

〈オープニングイベント〉
NEXT☆LEVEL提供試合

 関西vs.九州。オープニングファイトはNEXT☆LEVELとKPKB(九州プロキックボクシング)の5対5対抗戦。KPKBはひとつのジムに固まらず、5つのジムから選手を選出したため、セコンドやリングサイドにはKPKBの渡邉真治代表を筆頭に、エクシンディゴンジムの石井要代表ら個性(あく)の強い顔が並んだ。
 一方、NEXT☆LEVELの方もTEAM BONDSの塚本祐大代表の甥・川端大心ら精鋭が出場したので、第1試合から会場は熱気が充満していた。その熱に押され、試合の方も熱戦の連続。対抗戦の結果はNEXT☆LEVELが2勝1敗2分で辛うじて勝ち越した。対抗戦第2弾の開催が待たれる。

【10.18 豊中 DEEP☆KICK ZERO 33 試合結果】

 10月18日15時スタートのDEEP☆KICK ZERO33は第1試合からメインイベントまで発熱した試合が続く興行となった。中でも逆転KOで津留淳平(FASCINATE FIGHT TEAM)を退け、-60㎏トーナメント決勝に進んだ荒尾彰(OISHI GYM)の″キックに懸ける覚悟″は見る者を惹きつけて止まなかった。DEEP☆KICKの次回大会は11月22日、豊中・176BOXでDEEP☆KICK ZERO 34と魁塾30周年記念大会が行われる。

(文・布施鋼治/写真・石本文子)


<メインイベント>
田中恒星 vs. 川本勝一郎

 メインイベントは田中恒星(FASCINATE FIGHT TEAM)と川本勝一郎(ESPERANZA)によるDEEP☆KICK-55㎏王座決定トーナメント準決勝。巷の予想ではキャリアに勝る田中有利という声が多かったが、案の定田中が川本を圧倒して3-0の判定勝ちを収めた。
 1Rから田中は自らのグローブを上下に揺らすフェイントから右ストレート、左ハイ、ボディブローなど多種多彩の攻撃を仕掛けていく。そのまま川本をコーナーに追い詰めると、連打で早くもスタンディングダウンを奪う。セコンドに就いた原口健飛からは「もっとゆっくり。カッコよくまとめろ」という指示が出ていた。
 2Rになっても、田中の勢いは止まらない。川本に左ジャブの3連打を浴びせるなど、付け入るスキを与えない。3R、もう後がない川本はセコンドからの「自信を持って」という指示を受け、飛びヒザ蹴りからの打ち合いで一瞬あわやという場面を作ったが、その猛攻を凌いだ田中は再び連打を浴びせ、2度目のスタンディングダウンを奪う。
 過去プロ戦績は3戦全勝(2KO)という川本だったが、田中の相手を務めるのは少々荷が重すぎたか。それでもヒーローインタビューで田中は「自分の悪いところが出た試合なんですけど、そこをしっかりと修正して、12月には(この日、もう一方のブロック準決勝を勝ち抜いた)駿希選手に勝って絶対僕がチャンピオンになる」と謙虚に王座奪取を宣言した。


<セミファイナル>
津留純平 vs. 荒尾彰

 セミファイナルは津留純平(FASCINATE FIGHT TEAM)と荒尾彰(OISHI GYM)によるDEEP☆KICK-60㎏挑戦者決定トーナメント準決勝が組まれた。津留は過去に3度もDEEP☆KICKのトーナメント出場経験があるものの、いずれも準決勝敗退と苦い汁を呑まされている。今回は″4度目の正直″ともいえる挑戦だった。
 対する荒尾は九州の大手銀行マンだったが、その職を辞してまでキックに懸ける25歳。会場では今年3月まで面倒を診てもらっていた九州時代の師である・石井要エシンディコンジャパン代表と現在の師・OISHI GYMの大石陽一郎代表と仲良くスリーショットに収まる場面もあった。OISHI GYMに移籍したのは、名古屋店勤務になったからだ。
 試合開始早々、試合の主導権を握ったのは津留の方だった。左ジャブでリズムを掴み、左ボディブローやテンカオを荒尾のボディに突き刺していく。続く2Rも津留のボディ攻撃が冴え渡っていたが、そうした最中荒尾は「左」を一閃。この一撃を思い切り食らった津留は立ったまま試合を止められた。
 荒尾の大逆転ともいえるKO勝ちに応援に駆けつけた一貴と孔稀の大﨑兄弟らOISHI GYM勢は大喜び。ちなみに彼らは前日東京でRISEに出場した仲間の応援をしたのち大阪に移動し、NJKFの大会に出場した同門に声援を送ったうえでのDEEP☆KICKの会場入りだった。この熱こそがOISHI GYMの好調の原因なのか。
 試合後は12月6日、決勝を荒尾と争う細濱辰がリングイン。「決勝は絶対バチバチに打ち合いましょう」と宣戦布告すれば、荒尾も「覚悟を持っているのは僕の方。いい試合をしましょう」とさわやかにやり返す。こういう試合が一番荒れる。


<第3試合>
上田樹那 vs. 永野美早姫

 RIZINにも参戦した上田(こうだ)樹那(山口道場)がうれしいプロ2勝目を挙げた。この日はプロ2戦目の永野美早姫(TEAM TEPPEN)との対戦となったが、1Rから前蹴りでスリップダウンを奪うなど、成長の跡を見せる。上田より9㎝も背が高い永野もリーチを活かしたボディストレートなどで反撃するが、劣勢は否めない。2Rになると、上田は左で永野をグラつかせる。3R、必死に反撃する永野だったが、ポイントを奪うには至らず、上田が3-0で判定勝ちを収めた。

<第2試合>
大成 vs. ゆいら

 これまで-53kgを中心にキャリアを積んできたゆいら(健心塾)が階級を2つ上げ、-57.5㎏での闘いに挑んだ。対戦相手は今年1月の試合でTKO勝ちを飾っている大成(TeamFreeStyle)。試合開始早々、大成は不敵な微笑を浮かべながら前に出て自慢のパンチを振り回していく。大成の左フックがライトヒットしたが、ゆいらは身体をロープに預け助けられる場面も。
 その後も大成が前に出る攻防が続く。ゆいらは足を使って、相手のパンチをさばきながら、ときおり右の的確なパンチを当てるなど、徹底したアウトボクシングで勝負する。2R終了時点でのオープンスコアは2者が1ポイント差でゆいらを支持した。
 その後もゆいらはゆらゆらと大成のパンチを避けながら、カウンターの攻撃を当て試合終了。判定は2-0でゆいら。ジャッジは最後までゆいらのアウトボクシングを評価した。

<第1試合>
KING澪斗 vs. 久田翔愛

 プロ4戦のKING澪斗(ROYAL KINGS)とプロ3戦の久田翔愛(TEAM SBS)というフレッシュな対決。最初はやや固い動きを見せていた澪斗だったが、ローキックを打ちながら次第に自分のリズムを掴む。そうした中、「左」をジャストミート。久保を前のめりに倒れ込み、そのまま試合終了のゴングを聞いた。1R1分8秒、澪斗のKO勝ちだ。目の覚めるようなKO劇に応援団は大はしゃぎだった。

〈オープニングイベント〉
NEXT☆LEVEL提供試合

 NEXT☆LEVEL提供のオープニングファイトは4試合。中でも観客席を湧かせたのは第1試合に組まれた馬本凛星(心将塾)と森永煌彪(VALIENTE)の一戦だろう。馬本が12歳ならば森本は11歳で、契約体重は-31㎏契約という本来ならば、ジュニアの域に止まる試合だったが、両者の気迫、技の切れ、スピードは決してプロに劣らないレベルのものだった。
 結局、2-0で森永が勝利を収めたが、敗れた馬本も逆に評価を上げた一戦だったのではないか。そういう意味でいえば、第2試合で黒岩理沙(ROYAL KINGS)と木下采音(キックボクシングジム3K)も関西の女子キックの明るい未来を感じさせる一戦だった。黒岩が15歳ならば、木下は16歳。勝負は2-1で木下が辛勝したが、両者とも伸びしろを感じさせる内容だった。