元キックボクサー佐藤蓮真、妊娠告白で殺害決意:岩沼保育士殺害事件初公判

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 宮城県岩沼市で発生した保育士殺害事件の初公判が2026年3月4日、仙台地裁で開かれた。交際関係を巡るトラブルと金銭問題が背景にあったとされるこの事件は、幼い子どもを残した悲劇として大きな注目を集めている。

 事件が起きたのは2025年4月12日の夜。宮城県岩沼市の海岸防波堤付近で、仙台市の保育士・行仕由佳さん(当時35歳)が胸などを複数回刺されて死亡しているのが見つかった。検察側によると、行仕さんはマッチングアプリで知り合った佐藤蓮真被告(22)と関係を持つようになり、被告は行仕さんから100万円以上の借金をしていたという。

 起訴状などによれば、被告は被害者宅から持ち出したペティナイフで胸などを複数回刺し、失血死させたとされる。その後、遺体を岩沼市の消波ブロックの隙間に遺棄。さらに被害者のバッグを持ち去り、財布や現金約1,144円、キャッシュカードなどを奪ったとして、殺人、死体遺棄、窃盗などの罪に問われている。

 初公判で被告は、殺人と死体遺棄については大筋で認めた。一方で、バッグの持ち去りについては窃盗の意図を否認し、「証拠を隠す目的だった」と主張している。

 検察側は、妊娠を巡るトラブルと借金問題が動機だったと指摘。行仕さんが被告に妊娠を告げ、「2人で子どもを育てたい」と伝えたことがきっかけになったとした。被告はこれを「煩わしい」「キックボクサーとしての将来が絶たれる」と感じたとされ、事件前にはインターネットで「人を殺せる薬」などを検索していた履歴もあったと説明。計画的な犯行だったと主張した。

 これに対し弁護側は、2人の間に交際関係はなかったと反論。借金をきっかけに関係が続いていただけで、被告は中絶を望んでいたが拒否され、ジム関係者に知られることを恐れて衝動的に犯行に及んだと主張した。また、バッグを持ち去ったのは証拠隠滅のためであり、窃盗には当たらないとしている。

 法廷では、行仕さんの8歳の息子が母親に送った「ママ早く帰ってきて」というボイスメッセージが再生され、傍聴席からすすり泣きが漏れる場面もあった。さらに証人として出廷した被害者の母親は、「孫から母親を奪い、家族の心を殺した」と述べ、厳しい処罰を求めた。

 妊娠を巡る問題と金銭トラブルが重なった末に起きた今回の事件。幼い子どもを残した痛ましい事件として社会的な関心も高まっている。裁判では今後、被告人質問などを通じて事件の経緯がさらに明らかになる見通しで、判決は3月17日に言い渡される予定だ。