2・23RISE196中村拓己の見どころコラム!選手インタビュー、梅井泰成、大森隆之介


梅井泰成インタビュー「自分の目標や夢に対して、そいつを倒さないと上にあがれないんだったら引き下がってもらうしかない」

◇梅井泰成インタビュー

–ついにフェザー級王座次期挑戦者決定戦ですが、今の心境はいかがですか?

梅井 やっとタイトルに近づくことができる、ついにこの時が来たかって感じです。

–コンディションは良いですか?

梅井 コンディションは良い感じですね。今はもちろん疲労があるけど、この疲労が抜けて試合になったら完璧なんじゃないですかね。

–前回は10月の次期挑戦者決定トーナメントの1回戦でしたが、それも含めて昨年のご自身を振り返ってみていかがですか?

梅井 4月の有井渚海戦の復帰戦からスタートだったじゃないですか。“再起”って言うのはこれで最後にするって自分でも言っていたし、一応結果的に見たら2戦2勝だけど、納得する試合ができたかと言われたらできていないし。4月の有井戦でも課題は出たし、10月の吉田戦に関しては不慮の事故で途中ストップになってしまったりもしました。だから今年は良い年になる前兆が去年できたんじゃないかなと思います。色んなパターンやスタイルを去年の2試合で出して、2試合とも全部違うことをやったし、そういう変化をつけられるようになっているので、今年は自分の番が来るんじゃないかなと思っています。

–連勝したのは久しぶりですね。

梅井 安定感がずっとなかったので連勝したのは久々でしたね。

–1回戦の吉田戦では1ラウンドにダウンも奪っていました。その後に偶発的なバッティングで終わってしまったんですけど、短い間で何か得られたことはありますか?

梅井 試合に関しては記憶が戻ってきていないところもあるんですよね。だから試合については語りづらいんですけど、試合までの練習での過程っていうのがプラスになって自分を成長させてくれたなと感じています。意外と僕が負けるっていう予想が多かった印象で、僕自身も大丈夫なのかなって不安にもなった試合だったので、だからこそ変化をつけることができたし、初めてのスタイルをみんなに見せられたかなと思います。

–今2戦連続でパンチでダウンを奪っていますよね。

梅井 まあたまたまですね笑。そんなにパンチ力があるタイプでもないし、タイミングよく当たってるんじゃないですかね。

–当て勘が良くなってきたんですか?

梅井 そういう感じはしないんですけどね。ボクシングは3年前ぐらいから志朗さんやニックさんに教わりながら作ってきてるので、それがちょっとずつ芽を出してきているのかなとは思います。

–ちなみに反対ブロックの大森隆之介vs翔の試合はご覧になられましたか?

梅井 少し映像で見ましたけど予想通りって感じですね。

–その試合の大森選手の印象はありましたか?

梅井 相変わらず自由にやりたいことをやるスタイルだなって感じですね。ただ僕はあの試合だけでは大森の実力をはかれないと思っていて。翔選手は自分らみたいなファイトスタイルの選手を光らせる戦いをするので、だからあの試合ではちょっと分からないですね。

–大森選手とはプライベートでも親交があるみたいですがどんな仲なんですか?

梅井 会見でも言っていましたけど、家もしょっちゅう泊まりに来ていたし、飯に行ったり夜に遊びに行ったりもしたし、弟のような友達みたいな感覚ですね。

–その仲でも大森選手のことは殴れますか?

梅井 全然殴れます。関係ないです。だって自分の目標や夢に対して、そいつを倒さないと上がれないんだったら、それは申し訳ないけど引き下がってもらうしかないじゃないですか。僕はちょろちょろせずフェザー級1本でやってきているし、どっちの階級(フェザー級とバンタム級)にも選択肢がある人間よりかは、ここ1本って決めているので“負けられないな”って気持ちはありますね。

–じゃあフェザー級のベルトに対する思いは強いということですね。

梅井 ベルトに対してなのかは分からないですけど、フェザー級ってずいぶんベルトの価値も上がったと思うし、チャンピオンがシュートボクシングでも世界チャンピオンになったじゃないですか。強い奴に勝ってこそ格闘家の価値は上がるので、強いチャンピオンからベルトを取りたいっていうのが今の僕のモチベーションで、ここしかチャンスがないと思っています。

–過去に1度巻いているベルトは絶対に取り戻したいですか?

梅井 なんか取り戻すっていう感覚ではないんですよね。あの時ってベルト単体が欲しかったんですよ。ベルトを取って満足していたので、強くなった気でいたんだと思います。だから防衛戦もあんな負け方をしたし、その後も勝てなかったというか。そこで長い時間結果も出なかったけど、ようやく弱さと向き合えるようになって少しずつ変わってきたのかなと感じています。

–まだ目の前の試合に集中していると思いますが、王者・安本晴翔とタイトルマッチでリベンジマッチとなったらどんな試合にしたいですか?

梅井 内容はやってみないと分からないところはあります。安本とかってエリートでスター性があると思うんですけど、僕はその部類ではないと思うし、けっこう底も見てきたし。そういうエリートやスターを倒して勇気を与えることができる試合をしたいです。

–大森選手に「梅井選手に何か一言ありますか」と聞いたら、「バッティングしないでくれ」と言っていました。逆に梅井選手から大森選手に何か一言はありますか?

梅井 バッティングに気をつけてくれ笑。

–最後にファンの方に向けてメッセージをお願いします。

梅井 約3年半の間、RISEフェザー級王者という頂を目標にしてずっとやってきて、やっと挑戦者決定戦まで来られました。僕は夢とか目標とかは、そこに対して逃げずに向き合ってやり続けたやつは絶対に叶うって信じているし、そう思っているので、僕がそれを自分の試合を通して体現できたらなと思うので、それで1人でも勇気をもらってくれたり“俺でもできる”って思ってくれるのが1番嬉しいです。やってきたことを信じて勝ちます。


大森隆之介インタビュー「1ラウンドで倒すつもりでいるし、普通に僕の力を出せば倒れる」

◇大森隆之介インタビュー

–フェザー級次期挑戦者決定戦となりますが、今の心境はいかがでしょうか?

大森 来るべくして来たなみたいな。正直安本よりも強いと思っているし、なので別にびっくりもしないですね。来るだろうと思っていた相手も来たし、いけるだろうなと思っていました。

–試合に向けて心身ともにコンディションは良好ですか?

大森 体も調子良いです。ぶっちゃけ翔戦の時は格闘技に対してのモチベーションがすごく下がっていて、「このままで大丈夫なんかな。いつ辞めよう」くらいの気持ちは正直あったんですよ。だけどタイに行って向こうにいる人に会って、あれだけしんどい練習しているくせに楽しく格闘技をやっていて。ONEの舞台を見て盛り上がりがすごいなと思って、自分の中ですごく明るいものを見たんですよ。こういう舞台にしていくのもすごいし、自分が上がるのもすごいし、自分の中で格闘技の可能性が広がったっていうのがあって、今はメンタルもめちゃくちゃ良いです。

–会見での発言で、今まではマイナスな面が強調されるようなことが多い印象だったんですけど、最近はポジティブな面が強調されている気がするのですが、何か心境の変化はありましたか?

大森 自分で仕事し始めたのもそうだし、色んなストレスが増えたのもそうなんですけど、自分の人生に対して心配がなくなりましたね。このまま勝ち続けてやっていけばいけるなっていうのもあるし、格闘家としても成功できるなっていう気持ちはすごくあります。

–最近経営者になってビジネス的な話もよくするようになってきて、そういうところが心境の変化というか人間的に成長した面になったんですかね?

大森 経営者とか言えるレベルではないんですけど、考え方は周りのおかげで変えられたなっていうのはあるし、自分自身がやりたいことのためにどう動いたらいいかっていうのは考えるようになりましたね。

–昨年のご自身の試合を振り返ってみていかがですか?

大森 全部勝ってるんですよ。全部勝っている割に、納得のいく試合は一つもなかったなっていうのはあって。

–鈴木真彦戦も納得いかなかったですか?

大森 そうですね。守りに入ったなっていうのは感じていて。というか大きいことをずっと言っていたじゃないですか。ずっとどこかで“勝たないといけない”っていう気持ちもあって、勝たないといけないのはずっとあったけど、“本当に負けたらダメだ”っていうのがすごくあったんですよ。なので守りに入る戦い方をしているなっていうのはKO率にも出ているし、自分のスタイルには合っていないなと思っています。

–それは何が原因だったんですか?

大森 背負い過ぎていたっていう部分もあるし、自分が本当に変えてやろうっていうのは感じていたんですけど、今は自分が勝って報われたい、有名になりたい、チヤホヤされたいっていう思いがあるので、そこに正直になるとスパーリングでも全然いけるようになりました。『倒しにいく』ていうのが今回のテーマです。

–今回対戦する梅井泰成選手の印象はいかがですか?

大森 気持ちの入った気持ちいいファイターですよね。それが1番というかそれしかないというか。色んな武器もあるし色んな良いところや成長しているのも僕も感じているんですけど、1番先に来るのは“良いファイターだな”っていう印象ですね。僕が敵ながら応援したくなるファイターだなと思います。

–個人的にも親交があったということなんですけど、どのくらいの仲なんですか?

大森 東京に行ったら毎回泊まりに行っていたし、僕が東京に行くっていうのを当日の朝に連絡しても、それでも泊めてくれるみたいな感じです。東京に来たら絶対に飯代とかを出させてくれないんですよ。それくらい可愛がってもらっていましたね。

–お互いを殴れるかっていう質問があった時に、梅井選手は「殴れない」って仰っていて、大森選手は「殴れる」って仰っていて、それを見た梅井選手は「殴れないって言ってる自分がバカみたいだ」って開き直ってました笑。

大森 僕は殴れるんだけどなって思ってました笑。でもできる事なら通らなくてよかった道だとは思うんですけど、心の中でいつかやるかなとは思っていました。ただ別にやるからといって、この試合が終わった後に僕は何も思わないし、大好きな先輩は先輩なんで。

–梅井選手は会見からタイトルマッチに向けて気持ちが入っている感じがしますよね。

大森 それは感じました。気持ちは絶対に入っていると思いますね。

–タイトルマッチにいきたい気持ちは大森選手も同じくらい持っていますか?

大森 タイトルマッチにいきたい気持ちはめっちゃあります。タイトルマッチにいって安本とやりたいっていう気持ちがすごいあります。安本が待っている今の状況もちょっとイライラするので、チャンピオンだから当たり前だけど何でお前が待ってんの?って思うので笑。

–ベルトが欲しいというよりも安本晴翔に対する気持ちの方が強いですか?

大森 そんなに強いんかお前みたいな。なんかやってみたいんですよね。

–そういう強い思いがあるとファンは感情移入しやすいですよね。

大森 確かにそうですよね。僕は何かにとらわれたくないっていう思いがあって、やりたいやつとはやりたいし、勝ちたいやつには勝ちたいんですよ。そこは変わらずあるので、安本には負けたくないんですよね。大﨑孔稀もそうだったんですけど、なんかムカつくんですよね笑。大﨑孔稀は根っこの悪さを感じるし、安本は根っからのアホだからムカつくんですよ笑。

–タイトルマッチまで楽しみになりましたが、今回の本番はこの挑戦者決定戦の試合ですね。改めて梅井選手と殴り合えますか?

大森 もちろんです。1ラウンドで倒すつもりでいるし、普通に僕の力を出せば倒れると思っています。

–どんな試合がしたいですか?

大森 ガチャガチャはしたくないですね。すっぱり終わると思っています。

–梅井選手はガチャガチャを狙ってくると思います。

大森 絶対ガチャガチャくると思います。このインタビューがオフィシャルなので本当に書いてほしいんですけど、“バッティングだけ注意してほしい”。梅井泰成はバッティングがめっちゃ多いんですよ。あんなに金的蹴られるのもおかしいんで、バッティングと金的はほぼほぼ梅井本人の責任なのかなと思っています。

–気をつけろよって話ですか?

大森 そうですね。だって毎試合やばくないですか?バッティングだけは絶対にあかんで笑。もし当たったとしたらそっちが悪いです。

–最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。

大森 僕は吹っ切れた部分があって、自分自身がやりたい格闘技を自由奔放にやっていくっていうのが自分に合っていると思うので、今回も勝ちは変わらないですけど、楽しい大森隆之介が見れるように作っていくので、ぜひ楽しみに会場に来てもらえたらなと思います。

「怖いものなしの棚澤と悔しさを知る松本の王座決定戦。旗揚げ記念日興行で見せるRISEの王道」=中村拓己さん見どころコラム

今や恒例となった2月23日に開催される旗揚げ記念日興行。3年前の20周年記念となった2023年は「RISE165」&「RISE166」として昼夜興行が行われ、出場4選手が全員高校生というRISE NEW WARRIORS フライ級(-51.5kg)トーナメントを実施。2024年は出場26選手中16選手が25歳以下、5選手が10代という今後のRISEを担う選手たちが集まる大会となった。

そして今年のメインイベントには那須川龍心が返上したRISEフライ級王座をかけたトーナメントの決勝戦=18歳・棚澤大空vs21歳・松本天志という若いファイター2人による王座戦がマッチメイクされた。新世代ファイターたちの躍進が目覚ましいRISEらしいカードではあるが、ここまでの両者の道のりは対照的だ。

2024年4月にプロデビューした棚澤はデビューから6連勝を飾り、2025年5月のRISE初参戦となった末國龍汰戦では鮮やかな右ハイキックで末國をマットに沈めてインパクトを残す。さらに8月のRUF presents 200万総取りトーナメント GACHI!!では酒寄珠璃と麗也を下してトーナメントを制覇。11月からスタートした王座決定トーナメント一回戦では第2代王者の数島大陸を撃破し、11戦11勝と無敗のままベルトに手をかけた。

対する松本は2021年8月に17歳でプロデビューし、2023年に前述のRISE NEW WARRIORS フライ級トーナメントで空龍と塚本望夢に勝利して優勝を果たす。しかし同年10月の第2代RISEフライ級王座決定戦では数島に判定負けすると、続く2024年3月の那須川龍心戦にも敗れてキャリア初の連敗を味わう。

再び勝ち星を積み重ね、昨年の旗揚げ記念日興行で数島とのリベンジマッチに挑むも、ここでも数島の壁を超えることが出来ず涙をのんだ。そこから松本は立ち上がり、6月の平山裕翔戦を挟み、王座決定トーナメント一回戦で塚本とのリマッチに勝利して決勝進出を果たした。

ここまで負け知らずで怖いものなしの棚澤が無敗のままベルトを巻くか。それとも目の前でベルトを逃す悔しさを知る松本が悲願の王座奪取を成し遂げるか。今回のタイトルマッチは2人がこれまでのキャリアで培ってきたものをぶつけ合うような戦いになるだろう。

セミファイナルは王座返り咲きを目指す元王者の梅井泰成と2度目の王座挑戦&初の王座戴冠を狙う大森隆之介によるフェザー級王座次期挑戦者決定戦。プライベートでも親交がある両者だが「自分の目標や夢に対して、そいつを倒さないといけないんだったら、引き下がってもらうしかない」(梅井)、「お互いの磨いてきたものをぶつけるだけ。普通に自分の力を出せば倒せる」(大森)と目の前の相手を踏み台にすると宣言する。

第9試合の麻火佑太郎vs木村“ケルベロス”颯太は約4年ぶりの再戦。前回の対戦ではケルベロスが勝利を収めているが、この敗戦以降の麻火がGLORY×RISE世界トーナメント出場や白鳥大珠との王座戦を経験するなどトップファイターの仲間入りを果たす一方、ケルベロスは今一つ突き抜けきれないでいる。麻火が過去の敗戦にけじめをつけるか、ケルベロスが今の立ち位置を逆転させるかがテーマの試合だ。

この3試合以外には翔vs戸井田大輝のランカー対決やStand up King of Rookie優勝者を交えた試合(松下竜之助vs有井渚海・水野夢斗vs正木翔夢・福井萌矢vs堀本祐惺)があり、前半戦にはRISE Nova=RISEのアマチュア大会出身者の試合が続く。

それぞれ異なるキャリアを積んできた選手たちがリングに立ち、チャンピオンの座を目指してぶつかり合って勝ち負けを決める。そんな勝敗のコントラストが格闘技の醍醐味であり、それを見せてきたのがRISEだ。今年の旗揚げ記念日興行は改めてRISEが歩む王道が何かを示す大会と言えるだろう。

対戦カード・大会概要
2・23RISE196選手インタビュー、松本天志、棚澤大空、麻火佑太郎、木村”ケルベロス”颯太