中村拓己 見所コラム
「ベルトをかけた3度目の決着戦、階級を超えた王者対決…競技性と格を超えた試合で主役の座を掴め!」
2024年のRISE後楽園シリーズ最終戦は、政所仁vs花岡竜とテッサ・デ・コムvs小林愛理奈のダブルタイトルマッチに加え、第2代RISEアトム級王者・宮﨑小雪の国際戦など、全12試合が決定。6日後の21日に幕張メッセでビッグイベント=GLORY RISE FEATHER WEIGHT GRAND PRIXを控えているにも関わらず、普段の後楽園シリーズと遜色ない、ビッグマッチで組まれてもおかしくないようなカードずらりと並んでいる。
政所と花岡は世界タイトルを目指す大﨑一貴が返上したRISEスーパーフライ級王座決定戦で激突。政所は今年6月のRISE大阪大会で大﨑のタイトルに挑戦し、強烈なカーフキックで大﨑をあと一歩まで追い込むも5R判定負け。大﨑の王座返上を受けて、2試合連続でベルトに絡むチャンスが巡ってきた。一方の花岡は3月のRISE東京体育館大会で行われたRISE×K-1対抗戦でK-1・池田幸司を撃破。6月の後楽園大会では長谷川海翔とのランカー対決を制し、今回の王座決定戦に駒を進めた。
ランキングでは1位・政所vs3位・花岡というマッチアップで、2位の田丸辰が志朗とRISE世界バンタム級王座を争っていたことを考えれば、トップランカー同士による文句なしの王座決定戦だ。政所と花岡はここまで2度対戦して1勝1敗、ベルトをかけての3度目の決着戦という最高のシチュエーションになった。また過去2戦ともスピーディな打ち合いが展開されたなかでのKO・TKO決着で、今回も好勝負必至だ。
テッサと小林愛理奈は現RISEミニフライ級王者の愛理奈がテッサが保持するフライ級王座に挑戦する図式の王者対決だ。王者テッサは2022年12月のRISE両国大会で小林愛三から勝利を収めると、翌2023年5月に愛三とタイトルマッチで再戦。愛三を返り討ちにしてRISEミニフライ級王座に就いた。
挑戦者の愛理奈は2023年11月にerika♡をKOしてミニフライ級王座に就くと、OFGマッチや階級を超えた戦いにも意欲を示し、今年5月には小林愛三とOFGマッチで対戦し、女子格闘技の歴史に残る壮絶な殴り合いの末に勝利を収めた。この時から愛理奈はテッサとの対戦をアピールし、10月には前哨戦としてフライ級契約でビョン・ボギョンを撃破。満を持してテッサとの対戦、しかも2階級制覇がかかった王座挑戦が決まった。
それぞれシチュエーションの異なるタイトルマッチが並んだ今大会、RISE伊藤隆代表は事前インタビューで「政所vs花岡かテッサvs愛理奈、どちらをメインにするか決められていないんですよ。理屈でいけばテッサvs愛理奈なんですけど、内容やストーリーを見ると政所vs花岡なのかなとも思うんです」と試合順を決めかねていることを明かした。
これはSNS上でも大きな話題となったが、最終的にはダブルメインイベントとして第1試合=テッサVS愛理奈、第2試合=政所VS花岡に決まった。伊藤代表が言うように競技性と格で言えば、ランカー対決の王座決定戦=政所VS花岡よりも、王者対決のタイトルマッチ=テッサVS愛理奈が最終試合に来るのが妥当だ。その一方で政所VS花岡は過去2度の対戦ともRISEらしい試合を繰り広げ、ベルトまでのストーリーを作ってきた。RISEは競技であると同時にプロイベントの興行でもある。今回はそうした部分も含めて、この試合順になったと言えるだろう。
これはタイトルマッチに出場する4選手、そして他の選手に対しても非常にいい刺激になったのではないだろうか。王者対決を差し置いて最終試合に組まれた政所と花岡はその期待に応える試合をしなければならない。テッサと小林は試合を通して、自分たちの方が最終試合に相応しかったと思わせたいはずだ。
今大会ではタイトルマッチと宮﨑のスーパーファイトを合わせて女子4試合が組まれているが、ここで他を喰う試合内容・結果を見せることができれば、来年以降、より女子選手にスポットライトが当たるに違いない。
競技性や格だけに縛られないからこそ、ファンの心を掴む熱い試合をした選手がチャンスを掴んでいく。伊藤代表は常々「RISEの選手たちには相手だけじゃなく、試合を見ているお客さん、そして主催者の我々とも勝負してほしい」と話している。あらゆる勝負に勝って、12月15日の主役になるのは誰だ!?

小林愛理奈インビュー『今回は負けの声の方が多いと思うんですけど、自分はここも圧倒的に勝って次のステージに行きたいと思っているので、期待して応援よろしくお願いします』
–今年の試合を振り返ると、-49.5kg、-50kg、-52kgと着実に1試合ごとに体重がアップしていますけど、体調の変化は感じますか?
小林 体調の変化は感じないですけど、減量がないと前までは試合前って感じがあまりしなくて。いつも減量があって試合前って感じがあったんですけど、それがなくなってからはモチベーションを保って「よっしゃ試合やもうすぐ」っていう感じがなくなっていたんですけど、今回は追い込みとかも結構すごくて、試合前って感じがしています。
–それは勝てば2階級制覇という部分が大きいですか?
小林 それもそうですし、ここで勝たないと次に繋がらないので、本当に大事な1戦だなっていうところもありますね。
–ちなみに今体重は何kgくらいですか?
小林 昨日で50.5kgくらいです。
–今から増やしますか?
小林 いや、増やさないですよ(笑)
–普通は試合前だったら、食事を減らしたり甘いものを絶対摂らない様にみんなやっているじゃないですか。その中で普通に食事をしていますか?
小林 めちゃくちゃ食べています。ボギョン選手との試合の時は「体重を増やさないと」って意識が大き過ぎて、ギリギリ直前まで結構食べていたんですよ。練習ではキレが上がってきているかなって思っていたんですけど、いざ試合をしてみると久々の6ozっていうのもあって、キレが落ちてしまったように感じました。でも今回は頑張りながら増やしていない中の50kgなので、前よりかはキレも出るかなと思っています。
–今は今回のタイトル挑戦に向けて、不安よりも期待と自信の方が大きいですね。
小林 早く試合がしたいですね。
–テッサ・デ・コムの攻撃とか、攻撃をもらった時のインパクトを想像する時はありますか?
小林 小林愛三選手との試合を見たんですけど、テンプルとかで倒す女子選手はあまりいない中でテンプルで倒していたので、パンチ力は相当あるだろうなっていう風に感じています。
–逆にパンチ力がある同性の選手と戦えるっていう部分では、楽しみもありますか?
小林 そうですね。自分の方が絶対パンチ力はあるし、テッサ選手も大きい外国人選手と戦ってきたと言っても、他の外国人選手よりも自分の方が倒せるキレのあるパンチを打てると思っているので、初めて味わうパンチ力だと思います。
–テッサ・デ・コムの弱点は既に見つけていますか?
小林 それが合っているのかは分からないですけど、自分は分析力があると思っているので、弱点というか穴の少ない選手だなと思っていたんですけど、作戦が当てはまれば倒せます。
–ズバリ試合の山場は何ラウンドくらいにやってくると思いますか?
小林 自分が倒すなら1か2ラウンド目ですけど、逆に後半の4,5ラウンドでテッサ選手が上がってくる所は気合いで乗り切ります。
–小林選手がタイトル戦で過去に5ラウンドをフルに戦った試合は1回だけですが、今回も5ラウンドまで勝負がもつれ込む可能性は頭の中に入っているんですか?
小林 もちろん5ラウンドをフルで戦う気ではいるので、どこかでタイミングよく当たれば倒れると思いますけど、自分では判定になるかなと思っています。あまり倒れるところが想像つかないというか、倒しにいく試合より「倒す倒す」って思ってない試合の方が相手を倒せているので、今回も狙い過ぎずにKOってなったら勝手に相手が倒れているだろうと思って、普通に5ラウンドまでいく練習をして、5ラウンドまでいく戦い方をしているので、最後までいっても問題はないです。
–素人的な考え方かもしれないですが、階級を上げたら体力面で不安があると考えてしまいますが、その辺は大丈夫ですか?
小林 階級を上げた時は体が重いなと感じたり、試合の後半になるにつれて体重差を感じていました。5ラウンドだったら特に4,5ラウンドで体重差が出てくるだろうなとは思っているんですけど、問題ないように仕上げているのでそこは自信があります。
–息を上げるトレーニングや走り込みをやっているわけですね。
小林 そうですね。吐きながらやっています。
–吐きながらですか。
小林 めちゃくちゃ練習で吐いていますね。
–そこまで自分を追い込んでいるというわけですか?
小林 そうですね。自分では追い込みとかで満足はしていないですけど、周りの人が止めるまではやっても良いんじゃないかと思っているので、やり過ぎには注意してできるところまでやっています。
–止めるのは同門の坂田選手が止めてくれるんですか?
小林 自分はあまり坂田以外に耳を傾けないので(笑)。他がやり過ぎって思っていても、自分は当たり前のことをやっていると思っているので。ずっと一緒に見てくれている坂田が「さすがに今日は休んどき」って言ったらやっと休みます。
–じゃあ今回も試合の司令塔は坂田選手になりますか?
小林 それはもちろんです。
–2人で試合の進行を組み立てているんですか?
小林 そうですね。練って練ってという感じです。
–RISE184の5日後に原口健飛選手の大一番が控えているので、ジム自体の士気も高まっているんじゃないですか?
小林 ジムの皆も全然負けていないし皆に繋げてもらっているし、健飛くんの大事な試合の前に自分なので、そこは自分が繋げるしかないと思っています。ジムもめっちゃ良い雰囲気でチームでやっていこうって感じですね。
–原口選手の世界トーナメントはどんな形になると予想しますか?
小林 1DAYで世界トーナメントでメンバーも凄いので、自分が想像できるレベルじゃない人たちなんですけど、健飛くんを信じているので勝ってほしいですね。
–その数日後にはお兄さんの小林豪己選手がボクシングのタイトルマッチじゃないですか。これはこれでやっぱり楽しみですか?
小林 楽しみですし、良い形で繋げたいなっていう想いもあって、自分が勝って繋げたら気合も入ると思うので、そこでお兄ちゃんも自分のベルトをしっかり守ってほしいなと思います。
–お兄さんは今ミニマム級じゃないですか。いつの間にか妹の方が体重を越してしまっているんですね。
小林 そうなんですよね(笑)。元々そんなに差はなかったんですけど、今は自分の方が契約体重が上になっちゃって、変な感じですね。
–体重のことで兄弟で喋る事はありますか?
小林 前の試合の後も「無理して体重増やしたんやろ?増やさんほうがええわ。やっぱりキレが落ちてる」って言われて、そんな話もしたりして今回を迎えています。
–やっぱり妹には本音で厳しい指摘をズバズバ言ってくるわけですね。
小林 前まではズバズバ言ってきてたんですけど、お兄ちゃん自身も1回負けてから「お前の方がすごいわ。俺が言える立場じゃないわ」ってなってからあまり言ってこなくなりましたね(笑)。
–この2連戦はお互いの立場が危うくなる可能性も出てきて怖いですね。
小林 何がなんでもどっちも勝たないといけない試合ですね。
–原口選手が続いて、お兄ちゃんが続いて、更に来年の2月には坂田実優選手がDEEP☆KICKの-46kgのトーナメントに出ますが、どんどんバトンを繋いでいきたいっていう感じでしょうか?
小林 その辺はめっちゃ意識します。
–最後に小林選手の2階級制覇を期待しているファンの皆様に熱いメッセージをお願いします。
小林 FFTの小林愛理奈です。2階級制覇は負けの声の方が多いと思うんですけど、自分はここも圧倒的に勝って次のステージに行きたいと思っているので、期待して応援よろしくお願いします。
対戦カード・大会概要