ケン・片谷『メシとワセダと時々プロレス』59[ファイトクラブ]ニューヨーク珍道中(前編)

[週刊ファイト1月31日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼ケン・片谷『メシとワセダと時々プロレス』59
 ニューヨーク珍道中(前編)
・ニューヨークの冬はとっても寒いが航空運賃は安くなる
・ブルックリンのホステル一泊日本円で3000円ほど
・一度に4枚のパンやベーグルを焼くことができるトースター
・1キロほどあるステーキ肉が、何と6ドル!
・南京錠の鍵をロッカーの中に入れたままロックしてしまった
・Kマートやホームセンターに走るが・・・
・巨大なペンチをチョキチョキ(伝わるかな?)しながら現れた
・旅行中というのは、ついつい舞い上がってしまう教訓


 1年ぶりのニューヨーク! 極寒のこの時期になぜ?
 貧乏旅行の救世主現わる!? 快適! ホステルでの自炊生活。万事休す! トラブルから救ってく
れたのは?

【ニューヨーク珍道中(前編)】

今年もニューヨークにやってきました!
およそ1年ぶりの里帰りです!

毎年ニューヨークには、2回から3回来ているのですが、訪れるのは決まってこの時期、つまり1月の下旬から3月に掛けてと9月。そして、タイミングが合えば、どこかでもう1回というのが例年のパターンです。

理由は、お正月やお盆、そしてゴールデンウィークといった時期を避けるためです。
繁忙期と閑散期では、航空券の料金が倍ほど違います。だから、敢えて安い時期に渡航するのです。
オイラが普通にサラリーマンをしていたら、絶対にできないことですよね!

特に、お正月期間が過ぎたこの時期は、一年で最も航空券が安い時です。それもそのはず、ニューヨークの冬はとっても寒く、あまり観光には適していません。 
東京では、真冬でもTシャツ一枚で過ごすこともあるオイラが言うのですから間違いありません(笑)!
ピーク時は、マイナス20℃くらいまで気温が下がることもあります。
天気予報では、『摂氏』ではなく『華氏』で表示されるため、実際のところその日の気温が何度なのかよく分からないのですが、とにかく冷たい風がピューピューと吹いてとても寒いです。

では、わざわざ極寒のニューヨークにやってきて、いつも何をしているのか? その答えは…特に何もしません(笑)!
カッコよく言えば、ただニューヨークにいるだけで大満足なのです。

9月は、メジャーリーグの観戦を主な目的としています。
もちろん今の時期だって、アメリカ4大スポーツと呼ばれる、アメリカンフットボール(NFL)やバスケットボール(NBA)、そしてアイスホッケー(NHL)が盛んなので、日程が合えば観戦に出掛けます。しかし、それらのスポーツは、野球に比べると入場料金がとてつもなく高いので、毎回観に行くことはできません。
それに、先ほども言った通り、外はとても寒いので、できればあまり出たくありません(笑)。
何だか矛盾しているようですが、それでもまた来たくなる魅力がニューヨークにはあるのです。

しかし、毎度毎度ニューヨークに来るのは大変です。
ニューヨークは言わずと知れた、世界中から多くの観光客が集まる大都会です。その分、物価がとても高いのです!
もちろん、滞在中に特別贅沢をするつもりはないのですが、どうしても節約できないのはホテル代です。
いくら貧乏旅行でも、ホテルに泊まらないわけにはいきません。
バス・トイレ共用の安ホテルでも、最低100ドル以上はします!
ニューヨークの旅は、いつもこれがネックになるのです。

ダウンタウンから遠く離れたり、あまり治安の良くない場所だったら、それなりの料金のホテルはあるでしょう。
しかし、ここは世界有数の大都会ニューヨークですので、できるだけ冒険はしたくありません。

今回も急に決まった旅で、あまりお金は掛けられないので、色々と調べました。すると、なかなか良いホステルが見つかったのです!
ホステルとは、二段ベッドが置かれた大部屋で、複数の旅行者と相部屋で過ごすところです。
当然、料金も安くなるのですが、もともと人見知りのオイラが(笑)、どこの国の人間とも分からぬ人達と同じ部屋で一緒に寝ることなどできるはずないと、これまで敬遠し続けてきました。第一、知らない人と同じ部屋だなんて、セキュリティー面だって心配です。

しかし、やはりその安さは魅力です。背に腹は変えられません。
すると、たまたまインターネットで、利用客の口コミが高評価のホステルを見つけたのです。
場所は、マンハッタン島ではなく、海を渡ったブルックリン地区にあります。しかし、ブルックリン地区はここ数年非常に人気のスポットで、おまけに地下鉄の駅から徒歩5分ほどと、アクセスも悪くはありません。
気になる料金は、なんと諸税込みで一泊日本円で3000円ほどです!
よし! 今回は、思い切ってこのホステルに決めることにしました!

いよいよ出発の日、成田空港から先ずはダラスフォートワース国際空港に飛びます。そこで、ニューヨーク行きのアメリカ国内線に乗り換えます。そう、直行便でないのも、貧乏旅行では仕方のないことなのです。

フライトは順調で、ニューヨークJFK国際空港に到着しました。
ニューヨークには、国際空港が3つあるのですが、JFKはその中でも一番大きな空港です。
エアリンクというモノレールのような乗り物と、ニューヨーク市営地下鉄を乗り継いで、ホテルのあるブルックリン地区へと向かいます。
ネットの情報通りに地図を見ながら行ったので、すぐにホテルを見つけることができました。
最近では、ネットで全て予約ができてしまうので、本当に便利になりました。
20年ほど前は、空港に着いてから自分の足だけを頼りに安ホテルを探していました。飛行機の到着時間が夜の時は、深夜までホテルが見つからないこともありました。今思うと、なんて危険なことをしていたのだろうと思います。
そんな無茶なことも、若かったからできたのでしょうね。

今回の宿泊先、NYムーアホステルは、ホームページで見た通りのとてもきれいな建物でした。チェックイン時、フロントの方もとても親切でした。
部屋に案内されると、そこには二段ベッドではなく、普通のセミダブルのベッドが並んでいました。体の大きなオイラは、狭い二段ベッドが苦手なのでとても良かったです!

ホステルには、お金を節約するメリットがもう一つあります。それは、長期滞在者のために共用のキッチンが備わっていることです。
外食をすれば余計なお金が掛かってしまうところ、自炊をすればかなりセーブできるというわけです。

先ずは、ダウンタウンにある行き付けのスーパーマーケットへ行き、食材を買い込むことにしました。
オイラは、海外のスーパーマーケットが大好き! 最近、プロレスの殿堂マジソン・スクエア・ガーデンの近くに、『ターゲット』という巨大チェーン店ができたのでとても助かっています! その近くには『Kマート』もあり、買い物には事欠きません!

早速、2日目の朝食から自炊をしました。
前の晩にターゲットで買った、食パンをトーストしてサンドイッチを作ります。
どうですこのトースター! 昔懐かしいポップアップ式です! しかも、一度に4枚のパンやベーグルを焼くことができます。さすがはアメリカ、スケールが違いますね(大げさ!)。

トーストにハムとスライスチーズを挟んで、ケチャップとマスタードを塗ったシンプルなサンドイッチですが、コストは1枚当たり50セントほどしか掛かっていません。外食したら、下手をすればその10倍近く掛かってしまうでしょう。
嬉しいのは、ホテル内ではいつでもコーヒーの無料サービスが受けられるところです。アメリカに来たら、コーヒーを飲む頻度が増えますから、これはありがたいサービスです!

さらに夕食では、これもアメリカの醍醐味、巨大ステーキを焼きました!
1枚2ポンド超え、つまり、1キロほどあるステーキ肉が、何と6ドルで買うことができました!
まるでマンガのようなステーキに、心踊らせていたのですが、肉の大きさに見合うフライパンがキッチンにありません!
仕方なく、2回に分けて焼きました(笑)。
それでも、このボリュームを見てください! ステーキソースには、オイラが大好きな『A1ステーキソース』を買いました。沖縄などでも有名なステーキソースですね。

さて、快適ながらも心配していたセキュリティー面ですが、こちらは、個人に専用のロッカーがあり、パスポートなどの貴重品も入れておけるので外出の時もとっても安心!
鍵は、各自が南京錠を用意してロックするスタイルです。

と、ここで魔が差したのか、大きなミスを犯してしまったのです!


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