Photo by Mike Lano
[週刊ファイト3月8月号]収録 [ファイトクラブ]公開中
▼井上譲二元週刊ファイト編集長、プロレス秘話
日プロ時代の馬場の年俸がON砲を上回っていたのは事実か!?
90年代のプロレス・バブルによって急騰した新日プロ勢の年俸は、ユークス体制に代わってから暴落した。そして、現在のブシロード体制になって業績はかなり回復したが、所属レスラーの年棒は90年代の数字に戻っていない。
こんな状況ではプロ野球選手との差は開く一方だが、昔は日プロ・エースのジャイアント馬場の年俸が王&長嶋のそれを上回っているとの見方もあった!? さて、真相は…。
ジャイアント馬場
2001年から06年にかけて高給取り(年俸4000万~5000万円)の橋本真也、武藤敬司、長州力、藤波辰爾が新日プロを退団して以来、プロ野球選手との差は広がる一方だ。
「比べる相手が適切でない」と言われたらそれまでだが、現在の新日プロでトップを取るオカダ・カズチカ、棚橋弘至、内藤哲也の年俸(2000万~3500万円=推定)は、ギリギリ1軍にとどまっているプロ野球選手並み。昨年の契約更改でプロ野球界の最高年俸となった柳田悠岐外野手(ソフトバンク)の5億5000万円(推定)と比べると、ざっと20分の1だ。これほどの開きがあると自画自賛が多い木谷高明オーナーも選手の待遇については胸を張れないだろう。
アントニオ猪木
ファンに夢を与える商売柄、プロレス団体は待遇面でも見栄を張る必要があると思う。
新日プロのエースだったアントニオ猪木は1982年、前年の総収入として1億円を申告。一躍、プロスポーツ部門のトップに躍り出た。
「へぇー、プロレスって儲かるんだ」
プロ野球選手の間でも驚きの声が上がったようだが、実は金庫番を兼ねる坂口征二副社長(当時)や新間寿営業本部長(同)と相談のうえ、ファイトマネーを大幅に上乗せして1億円に引き上げたのだ。
当然、ギャラアップではないため、いったん猪木の個人口座に振り込まれた金はその分だけ会社に返されたという。余分な所得税や市民税を支払ってまでこのような売名行為をおこなう猪木の考え方は必ずしも間違いではないと思う。
ジャイアント馬場