[ファイトクラブ]プロレスの歴史は凶器の歴史!悪役レスラーを彩った凶器の数々

[週刊ファイト1月18日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼プロレスの歴史は凶器の歴史!悪役レスラーを彩った凶器の数々
 by 安威川敏樹
・プロレス初の凶器は鉄柱
・凶器攻撃の定番、椅子攻撃
・ブッチャーのフォーク攻撃
・タイガー・ジェット・シンのサーベル
・上田馬之助の竹刀
・ブルーザー・ブロディのチェーン
・最強の凶器、前田日明の顔面蹴り


 読者のみなさま、新年あけましておめでとうございます。
 本年も『週刊ファイト』のご愛読をよろしくお願い申し上げます。

 さて、旧年の最後を賑わせたのは、大相撲の横綱・日馬富士による暴行事件だろう。日馬富士が貴ノ岩をビール瓶で殴った、いやビール瓶ではなくカラオケのリモコンだったと、どーでもいい主張を繰り返していた。ビール瓶だろうがリモコンだろうが、凶器を使って他人を殴ったことには変わりないのである。

 貴ノ岩の頭の怪我を見たとき、タイガー・ジェット・シンでも凶器でここまでは殴らないぞと思ったものだ。相撲取りは土俵の上では決して凶器を使わないが、私生活では凶器で他人を殴るという事実を知ったとき、ショックを受けたのである。

 プロレスラーは逆に、神聖(なのかどうかは知らないが)のリング上では凶器を使うが、私生活では使わない(と、思う)。相撲社会では、実際の取組では凶器を使えないので、私生活で凶器を使ってしまうのだろうか。そういう意味では、プロレスラーの方が力士よりも、モラルがあるのかも知れない。

▼アブドーラ・ザ・ブッチャーがテリー・ファンクに、割れたビール瓶で攻撃

YouTubeキャプチャー画像より https://www.youtube.com/watch?v=j2wEvWFmsVE

 WWF(現:WWE)の常任理事を務めていた野末陳平は「プロレスにおける凶器とは、料理におけるワサビみたいなもの。適量のワサビがあれば料理が引き立つし、多すぎれば料理を台無しにする」と言っていた。

 村松友視は自著『私、プロレスの味方です(角川文庫)』の中で、「武器とは人を攻撃するために生まれた物で、凶器とは本来は別の目的で作られたのにもかかわらず、人間によって攻撃目的に使われるようになった物」と定義している。

 いずれにしても試合で凶器が使われるスポーツは、プロレスをおいて他にはないだろう。日馬富士は私生活で凶器を使ったために引退を余儀なくされたが、凶器を使ったプロレスラーが引退せざるを得なくなったなんてことは聞いたことがない。

 それでは、プロレスにおける凶器の歴史を見てみよう。

プロレス初の凶器は鉄柱

 村松友視の『私、プロレスの味方です』によると、日本で初めて使われた凶器は鉄柱だそうだ。鉄柱攻撃なんて、今では凶器という感じもしない当たり前の攻撃方法だが、初披露された当時は驚天動地の出来事だったそうである。

 力道山がジェス・オルテガに鉄柱攻撃を加えた。これが本邦初公開の凶器攻撃だったそうで、オルテガは「鉄柱に頭を打ち付けるなんて、リキの行為は絶対に許せない!」と憤慨したんだとか。

 筆者がプロレスを見始めた頃には、既に鉄柱攻撃は日常茶飯事だったが、ずっと不思議に思っていたことがある。鉄柱は危険とわかっているのに、なぜパッドなどで鉄柱を覆わないんだろう、と。

 たとえばラグビーでは、危険防止のためにゴールポストの下部はパッドで覆っている。選手の安全のためには、当然の処置だ。

▼ラグビーのゴールポストは、下部がパッドで覆われている

 ところがプロレスの鉄柱は、鉄が剥き出しである。危険で仕方がない。プロレス団体は、財産とも言うべきレスラーの安全をどう考えているのだろうか!?

 なんて真っ当な意見はヤボな話。鉄柱がパッドで覆われていたら、プロレスはつまらないものになるだろう。

 さらに最近では、鉄柱を利用して足4の字固めまで駆使するようになった。女子プロレスでこの技をやられたら、ほとんどAVである。

▼鉄柱を利用して足4の字固め

YouTubeキャプチャー画像より https://www.youtube.com/watch?v=qyJXQZqtS9g

凶器攻撃の定番、椅子攻撃

 凶器攻撃の定番と言えば椅子攻撃だ。リングサイドに座っているお客さんのパイプ椅子を奪い、相手レスラーに攻撃を加える。

 このパイプ椅子というのも、1個タイプの物もあれば3連式の物もあり、3連式でパイプ椅子攻撃を加えるのも、結構重そうだなと思ったものだ。リングサイドのパイプ椅子は1個タイプの物が多かったような気がするが、これはレスラーに”忖度”していたのだろうか?

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