ケン・片谷『メシとワセダと時々プロレス』⑲インサイド11・12 WWS伊勢崎大会ミスターポーゴ追悼興行[ファイトクラブ]WWS解散!?

[週刊ファイト11月23日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼インサイド11・12 WWS伊勢崎大会ミスターポーゴ追悼興行&WWS解散!?
 by ケン・片谷 協力:りかっち 島森竜一/他


6月23日、信じられない出来事が起こりました。
デビュー以来ずっとお世話になり、“師匠”と仰いでいたミスターポーゴさんが、突然この世を去ったのです。
最後にポーゴさんにお会いしたのは、3月のWWS熊谷大会でした。
帰り間際、いつものしがれ声で『片谷! 次は11月12日伊勢崎だからな! 頼むぞ!!』
これが、ポーゴさんと交わした最後の言葉となってしまいました。

“約束の日”11月12日の伊勢崎大会は、いったいどうなってしまうのでしょうか?

ポーゴさんの手により、すでに会場は押さえられていましたが、当然開催は危ぶまれていました。
『ポーゴさんのいないWWSなんて…。』
『ポーゴさんがいないのに、どうやってお客さん呼ぶんだよ!』
これが、大半の意見です。

ところが、事態は急変。ポーゴさんの死後一ヶ月後に新木場1stリングにて執り行われた『お別れ会』のリング上で、11月12日伊勢崎大会の開催が正式に発表されたのです!

『群馬県伊勢崎市は、WWSのお膝元。せっかくポーゴさんが押さえてくれた会場を、キャンセルしてなるものか!開催こそが、ポーゴさんの何よりの供養になる!
この日をミスターポーゴ追悼興行とし、WWSはここで終わる!』

11・12伊勢崎大会の開催は決まったものの、この日限りでWWSは解散する!
これには、誰も意義を唱える者はいませんでした。
実際問題、ポーゴさん無くしてWWSを存続させるのは不可能です。
『WWSが生まれた地で最後を迎えるというのも何かの因縁だろう。』
WWSが無くなってしまうのは寂しいけど、これがWWSに関わった人間の総意でした。

ついに“約束の日”11月12日がやってきました。

会場となる「伊勢崎市民第2体育館」までは、東武電車を乗り継いで東武伊勢崎駅で下車します。歩く時間を入れると、横浜の自宅から片道なんと4時間半掛かります!
これはWWS参戦時の“恒例行事”です。北関東のローカル団体ですから、当然ながら新幹線代や特急代は出ません。ましてや、前泊するホテル代なんて逆立ちしても出るわけがありません。自腹を切ろうものなら、たちまちギャラは飛んでしまい、いったい何のために試合をしたのかわからなくなってしまいます。

最も大変なのは、駅を降りてから会場までの距離が非常に遠いところです。ちゃんと調べたことはないのですが、早歩きで30分は掛かるので、2キロ半位はあるでしょうか? もちろん、バスなんかありません。前述の通りタクシー代も出ません。な~んにもない一本道を、ただひたすら歩くしかないのです。

それでも、伊勢崎駅に変化がありました。長いこと工事が続いていた伊勢崎駅でしたが、それもやっと終わり、すっかりキレイになっていました。
更地だった場所には、なんとホテルが建ちました! きっと、今後ますます拓けていくのでしょうね?

重たいスーツケースを引き摺りながら、歩いても歩いても会場には着きません。角を曲がり、やっとリング運搬用のトラックが見えてきました!
すでにリング設営は始まっている様子。それもそのはず、今日の集合時間は9時なのですが、現在の時間は10時を回っています。ただし、これはオイラが遅刻したわけではありません。始発電車で家を出ても、どうしてもこの時間になってしまうのです。
WWSの選手やスタッフは、オイラが横浜から来ていることはわかっているので、もちろんおとがめは無しです。それでも、中にはわざとからかってくる選手もいます!
『片谷さんは遅刻したから、弁当抜きだ!』
『撤収の時には、一人で鉄柱を全部運べ!』
などと言われることもあります。もちろんこれらは全部冗談で、家族的で暖かみのある、いつものWWSの風景です。

こういった雰囲気を作り出したのは、全てポーゴさんの人柄の賜物です。そのポーゴさんがいないなんて…。にわかにまだ信じ難い思いです。

いつものWWSの風景。唯一違うのは、ここにポーゴさんがいないということだけです。

リング設営が終わり、しばしの休憩タイムです。ポーゴさんの秘蔵っ子、高瀬直也選手から選手スタッフ全員にお弁当が配られました。このお弁当も“WWS名物”です!
プロレスバブル期ならともかく、今の時代お弁当を出してくれる団体がいったいどれだけあるでしょうか? 少なくとも、オイラがここ十年でお世話になった団体で、毎回必ずお弁当を出してくれる団体はWWS以外知りません。
これも全部ポーゴさんの優しさと気配りのお陰です。たかが数百円のことかもしれませんが、選手スタッフ全員分となるとかなりの負担だったと思います。毎回これを賄っていたポーゴさんには、本当に感謝しかありません。今回その精神が受け継がれていたのは嬉しかったですね。

今日はWWSの重鎮、島田宏さんと一緒にお弁当をいただきました。
島田さんにはWWSではもちろん、栃木のイーグルプロレスやSPWFでも大変お世話になってきました。レスリングに対してとても貪欲な方で、気持ちの優しい先輩です。

会場の片隅に、即席の献花台が設けられました。鎖鎌を手にした、最もポーゴさん“らしい”写真が中央に飾られ、その回りを懐かしい写真が囲んでいます。

ポーゴさんの遺影に手を合わせる者、懐かしそうに思い出の写真を眺める者。それぞれのポーゴさんとの思い出とともに、今日の大会は行われるのです。

客入れ前、出場全選手がリングに集められました。
今大会を成功させようと、高瀬と共に奔走してくださったラーメンマンさんからひと言あるそうです。ポーゴさんのマネージャーであるラーメンマンさんは、地元伊勢崎市でラーメン屋を経営しています。WWSの旗揚げからポーゴさんの右腕となって団体を支えてきた、言わばポーゴさんの戦友です!
『今日までの道程は大変だったが、ようやくポーゴさんの死を受け入れることができた。これでしっかりとお別れができる。明るいことが大好きだったポーゴさんの遺志を継いで、集まったお客さんに喜んで帰ってもらおう。』
たしか、こんなことをおっしゃっていたと思います。

いよいよ試合開始です。スタッフの心配をよそに、満員のお客さんが集まりました!
ポーゴさんがいなくても客を呼べる。いや、きっとポーゴさんがこんなに大勢のお客さんを呼んでくれたのです!

おそらく会場のどこかでポーゴさんが観ています。しょっぱい試合はできません。怪我無くいい試合ができるよう、どうか最後まで我々のファイトを見守っていてください!

休憩時間、会場に聞き慣れたテーマ曲が鳴り響きました。そう、数日前に引退した大仁田厚さんのテーマ曲、ワイルドシングです!
数々の死闘を繰り広げてきたポーゴさんに会うため、大仁田さんが駆け付けてくれたのです!
会場のボルテージは、最高潮に達しました。

『ポーゴさんがいなかったら、今の僕は無かった。永遠のライバルを失って寂しい。』
そう言って大仁田さんはそっと涙を拭いました。

大仁田さんが、全選手をリング内に呼び込みました。
ポーゴさんの同級生、グラン浜田さんをはじめ藤原組長、リッキーさん、ジャガーさん、ダンプさん…。リング上は、そうそうたる顔ぶれで埋め尽くされました。W☆ING時代からの同士、島田さん、茂木さん、戸井さんもいます。

ポーゴさんと本当の意味でのお別れを告げる10カウントゴングが打ち鳴らされました。
ついにこの時がやって来てしまったのです。平田リングアナの最後のコールとともに、ついにミスターポーゴは永遠のレジェンドとなりました。

メインイベントのタッグマッチが終わりました。
試合を決めたのは、ポーゴさんの一番弟子である高瀬です! しかも、フィニッシュはチェーンを使った絞首刑! 生前ポーゴさんが最も多く使用していたフィニッシュホールドです。
ポーゴさんの遺志を継いで、高瀬は確実に成長を遂げているのです!ポーゴさん、観てくれましたか?

誰もが、ミスターポーゴ追悼興行はこのまま無事にエンディングを迎えると思った次の瞬間、ハプニングが起こりました!


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