[ファイトクラブ]豊田真奈美引退興行 黒髪切って30年のリング人生に終幕

[週刊ファイト11月16日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼豊田真奈美引退興行 黒髪切って30年のリング人生に終幕
 ゾンビ52人掛け完遂!藤本つかさに”飛翔天女”伝承
 photo by 島村健 text by タダシ☆タナカ


 文化の日の11月3日、マット界の至宝、真の天才レスラーである豊田真奈美が引退興行を行った。元祖ゾンビの異名通り、膨れ上がった総勢52選手と闘い、最後はアイスリボンの藤本つかさに”飛翔天女”伝承をして、これまで髪切りマッチに負けたことがなかったのに、自慢の黒い髪を切ってリングを降りた。あっぱれな引退興行であった。
 プロレスに男女の垣根もなければ、国境をも超えることを強く意識させてくれたプロレスラーの鑑だった。筆者は合計17年米国で生活し、ニューヨークMSGやフィラデルフィアECWアリーナを取材してきた手前、特にアリーナの呼称とは裏腹に実態は汚いビンゴホールでしかなかった小会場のECW本拠地の場合、現地の日本マニアたちと親しくなる実体験があったが、マナミ・トヨタがいかに神格化されていたかは筆舌に尽くしがたい。財布に豊田の写真を入れて持ち歩いている信奉者にも複数出会っている。
 のちにROHの経営母体となるECWのビデオ制作班が、日本の海賊VHSを会場で売りまくっていたが、筆者も制作に協力した『ベスト・オブ・マナミ・トヨタ』のシリーズが常に人気のトップであった。WWE『レッスルマニア30』前夜の殿堂入りスピーチで、リタが「会ったことはないけど、トヨタ・マナミ・・・」と、その影響を語って感謝していたエピソードが象徴している。女子レスラーに与えた影響なんてモンじゃない、男子含めて、プロレスの作り方、受け方とかでお手本にされてきた最も偉大なレスラーの鑑なのは間違いないのだ。

’17年3月30日号柴田勝頼NewJapanCup真壁刀義DDT20豊田真奈美WrestleMania

“飛翔天女”も通りがイイが、やられてもやられても起き上がってくるからゾンビとも言われてきた。近年は昔のようには動けなくなり引退を決意したのだが、30年間もったのだからプロレスの神様に感謝というのが本音になる。勝った試合、負けた試合、タッグで勝敗に絡まないカード問わず、いつどこで見ても凄いというのが最大の貢献ではなかろうか。なにしろ、全女が年間300試合とか、ずっと毎日巡業していた全盛期に、例えば井上京子と休みなく動き回って60分時間切れとか、まさに称賛のゾンビworker(職人)であった。
 期せずして、日本でアントニオ猪木、ジャイアント馬場に次いで知名度のある大仁田厚が7度目の引退した翌週になったが、特に選手を目指した者への国際的な影響力という観点なら、豊田真奈美の功績は永遠に不滅であろう。

■ 豊田真奈美30周年記念興行〜飛翔天女〜 豊田真奈美引退 
日時:11月3日(金・祝)
会場:神奈川・大さん橋ホール 650人(最初から札止め)

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